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告白_2

※これは過去の記事『告白』の改訂版です。渡せる日が来る限り改訂されて行きます。(えぇ……)
内容はさほど変わりません。

お母さんへ。

お母さん 私は昔から迷惑をかける娘でしたね。
意見を聞かず、困った時だけ頼る。そういう子供でした。今でも変わらず。
これから書くこともお母さんを困らせるかもしれません。
それでも私は、自分の苦しさを解消するためにこれを書きます。良ければ最後まで読んでね。


まず、あなたの娘は「レズビアン」「バイ・セクシャル」であるという事をお伝えします。
「レズビアン」分かりやすく言うと「同性愛者」です。
「バイ・セクシャル」は、「女の子も男の子も好きになれる人の事」です。

矛盾してないですか?と思われそうですが、性的嗜好……セクシャルマイノリティは複数持ち合わせる人もいるのです。難しいね人間。

私の場合はレズ:バイ=9:1 と言った具合です。
過去には男の子が好きで、お付き合いもしたけど今は女の子に気持ちが向きやすく、男の子が少し苦手です。
好みって生きていく上で変わるらしいです。


今思えばそう言う傾向はありました。
中学生から20歳にかけて、何人か男の子とお付き合いする機会がありました。
その時でも、女の子の事を可愛いと思ったり、ドキドキする瞬間はありました。

思春期特有の勘違いかもしれないと最近までどうにか思い込んできたけど、今思えばあれも立派な予兆だったと思います。

確信したのは本当に最近です。
親戚や、友達のお母さん、お母さんのお友達 色んな人から
『彼氏は?』
『娘ちゃんも結婚もうすぐかな?』
『綺麗なドレス姿が見たいわ』
『可愛い赤ちゃん見たいね』
そんなことを言われる度に微かに不愉快だと思い、ストレスを感じて、でも怒る程のパワーはなくて
ヘラヘラ笑いながら「私は結婚しないから諦めてね」って言ってきました。

その言葉が心にストレスとなって、焦って、私なりに男の子と接点を持とうと努力したけれど、やっぱりダメでした。
やっと認められました。 私は女の子が好きだと。
2月の頭のことです。



インターネットや本を見ると、カミングアウト……家族や周りの人に自分が他の人とは少し違うよと伝えるのはごく一部の人らしいです。
そりゃそうだよね。今まで笑いあっていた家族から拒絶されるかもしれないから。 友達を失うかもしれないから。

私も黙っていようと思いました。 その方がお母さんに要らない苦労をかけないから。 結婚しない心配はかけるけど。
でも、先日のお父さんの十七回忌の帰り道、お母さんが私とお兄ちゃんに言いました。

『おばあちゃんが、お前達が結婚する時のお祝いにお金を貯めてあるんだよ』

それは前から知ってたし言われてきたけど、その中でも1番心に刺さりました。

それは使われないお金。
きっとおばあちゃんが望んでいた形では使われないお金。
私は多分もう男性の隣で白いウェディングドレスを着る未来が無いから、意味の無いお金。

その後食べたねぎトロ丼の味は実はあまり覚えていません。
嘘、美味しかったという記憶だけあります。




お母さんは、また娘がおかしなことを言い出した。いつもの思いつきでの発言だ。そう思うかもしれません。
そう思われてもいいです。
でも勘違いしないで欲しいのは

私がこうなったのはお母さんのせいではないということ。
お父さんが居ないから、こんなふうに育ったわけではないということ。
精神の病気ではないということ。
同性愛は、治せるものでは無いということ。

それだけ理解して欲しいです。
お母さんにはなんの罪も無いというのだけ分かってくれれば、私は理解されなくてもいいです。

直接話せないから手紙にするのはずるいですね。
そしてこれは直接読ませるか分からない手紙です。
渡せていますか、私。


お母さん
これはこの先生きる上で大事な告白であり、そしてあなたの想像通りに育つことの無い娘の懺悔です。
何一つ上手くいかない人生でごめんなさい。
でも私はお母さんが大好きです。それもわかっていてね。

お母さん。 うんでくれてありがとう。

娘より

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