■8月3日(月)マンキンで落ち込む『ピルビン酸脱水素酵素複合体欠損症』~手技練習2日目~
朝方、妻からLINE。娘がミルクを吐いたらしい。
娘のミルクは、20分間は口から飲ませ、飲み切れなかった分を、鼻から通したチューブで胃に直接流し込んでいる(いわゆる、経管栄養)。このチューブミルクが約30分。妻の話を聞くに、経口時に空気を飲み込みすぎると、チューブに切り替えた後、ぶべぇら!と吐乳(吐血と同じニュアンスで)するらしい。
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手技練習のため病院へ。担当不在ということで、小児科入る手前の部屋で20分程度待機。しかたあるめぇ。待ちが多いのが病院だ。
その後、娘を抱いた妻と合流。そのまま、担当医と共に別室へ。今日は、娘の症状について現時点での説明をして貰うことになっている。
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医師からの説明をまとめると、以下な感じ。
・遺伝子検査の結果が出ていないため確定ではないが、娘の症状を総合的に判断すると、ミトコンドリア病ピルビン酸脱水素酵素複合体欠損症(通称、PDHC欠損症)の可能性が非常に高い。
・ただまだ確定ではないため『小児慢性特定疾病医療費助成制度』の対象外。各種手帳の取得も不可。
・ミルクは特殊ミルクだが、これも診断確定ではないので、無料での提供ができないかも(市販もされてるが350gで約4000円。これの購入は娘が吐乳ではなく父が吐血のパターン)。
・症例自体が少ないため、予後は不明。芳しくはない。
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予後についての話が出た後は、誰もが沈黙。ドラマみたいな、出来すぎた間。こちらもすぐに言葉は出ないし、医師もこちらを伺うしで、できた間なんだろうなあ・・・なんてのは後からした分析。
PDHC欠損症について事前にちょろっと聞いてはいたが、予後や今後起こりうる障害・症状も含め、改めて突きつけられると、やはり心中穏やかではいられないのが事実。
これまでこういった話は娘不在の中で聞いていたが、娘が隣にいる状態で聞くと、また感じ方がかわる。理解しきれない言葉と、隣にいる娘の存在が結び付き、リアリティが、ぐっと増す。・・・まあ、リアリティというか、リアル、なんだけどね。ここが結び付かなかったのが今までだったからこそ、ずっと求めていた感覚でもある。
とはいえ、現時点で娘の症状がとてつもなく悪いわけではない。なので、8月8日(土)9日(日)、妻とバトンタッチで僕が付き添い入院を行い、そのままの流れで退院するように動こう、ということで、話が進展。これには嬉しさを覚えるが、けれどその前に話した病気へのショックも多少あり、も、感情がカオス。胸に渦巻くのは『退院できる喜び』と『娘への心配』。ほんわかとした嬉しさもあるが、それを黒々としたもやもやが包み込んでるイメージだろうか。
あと、簡単な症状(例えば肌荒れとか)のみ見て貰うためのかかりつけ医ついてどこが良いか尋ねられたが、正直、何を基準に選べばいいのか・・・予防接種をしてくれる、ぐらいの条件はあるとして、あと選ぶと言ったら家からの近さぐらいしかないのだけど・・・フウム。ひとまず、自宅から一番最寄りの病院に打診して頂くようお願いする。
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医師との話の後、病室に移って、チューブ交換2回目。初めてのオムツ交換も体験。なかなか手間取るが、「ま、初めてだし当然っしょ。何回かやればいけるっしょ」と、いけそう感はある。抱っこは、昨日よりかはスムーズになってきた。
オムツ交換時に娘の鼠径ヘルニア(脱腸)を発見。鼠径部が、寄生した人間の腹を突き抜ける直前のエイリアン、を、彷彿とさせる感じでぼっこし浮かび上がっており、ビジュアル的になかなか痛々しい。ミトコンドリア病に比べれば鼠径ヘルニアは大ごとではないだろうが、『ビジュアルを伴った痛々しさ』ちうのは、これもまたリアリティが異なる模様。
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あ、そうだ。この日は病院で訪問看護の人とも顔合わせをする予定だったのだ。が、その人が病院を間違えたとの事で、顔合わせならず。正直、任せて大丈夫か、と、心配になるが、間違えてしまったものは仕方がない…と、病院を出てその人に電話。帰りに、事務所に寄り、今日するはずだった話をする約束を取り付ける。
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夕方、訪問看護の事務所に到着。8畳ぐらいの雑然とした事務所に、6名ぐらいの訪問看護師がそれぞれデスクに向かってなにやら仕事をしていた。まあ、「訪問看護」というぐらいだから、このようにユーザーが事務所に来ること自体、あまりないのだろう。
担当は、女性。娘の情報を伝えつつ、初めての訪問日を決める。費用は子供医療でカバーされるので無料で、毎日1時間、訪問可能なようだ。
訪問看護の方にお願いする内容は、この辺の動画を観ると、『一馬力で頑張る保護者の、子供から目を離せる時間』を捻出することがメインな気がしている。
が、幸い、僕は在宅での仕事が多く、娘の世話をしてくれそうな母も、隣に住んでいる。となると、訪問看護師の方に何をどう頼めばいいのかちとわからない。今後色々勉強していこう。
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この日の妻とのLINE。
18:37 妻:大丈夫?病名がはっきりして落ち込んでるんでしょ?悲しくなっちゃったんでしょ?
19:16 僕:そりゃ少しはね。 平気なの?
19:18 妻:ん〜今はね。平気っていうか、まだ実感がないのかも?まあ、最悪その想定もしてたし、やっぱりそうゆうことになるのか、って思った。そんなにあからさまなダメージのかショックは受けてない感じ。理解し切れてないだけかしら?
19:46 僕:うーん?どうだろ。
19:58 妻:今1人で考えすぎちゃったら辛くなるだろうから、(入院は)丁度いいかも。あなたは?どうなの?
19:58 僕:まあ、兵器かなあ
最後、機動戦士(兵器)に変身した僕だった。
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そしてここからはその日の鍵垢Twitter。
そこそこ呑んで、しっかり落ち込む。
・拭いきれないヘドロみたいなささやかな絶望
・飲みすぎたみたい
・なんかよくわからないけど、スナック感覚で死にたくなってる。
・すべてが面倒くさい
病んでーら!
が、2~3日経てば大方メンタルは取り戻すこともいい加減わかってきたので『落ち込むときはマンキンで落ち込む』をやりにいってる次第です!
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