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余談『Lucky²に出会って』

アニメ『ガル学。』からそれは始まった

Lucky²はLDHに所属する、ガールズ×戦士シリーズで主役を演じた子たちで構成されるガールズパフォーマンスグループ。
メンバーは現在6名、更に3名増えて9名編成で行くことが発表されている。

『ポリス×戦士ラブパトリーナ!』出演の山口莉愛、杉浦優來の二名と、
『ビッ友×戦士キラメキパワーズ!』出演の永山椿、深澤日彩、比嘉優和、佐藤栞菜の四名が、そのメンバーである。

自分が彼女たちと関わることになったのは「おはスタ」内放映のアニメ『ガル学。』の新しいシリーズを彼女たちで作ることになったことがきっかけだった。

前作のアニメ『ガル学。』は先輩のGirls²たちが本人と同じ名前のキャラクターとして声優として出演し、その後、実写ドラマ版も本人たちが出演して放映されたものだった。
主人公の原田トアが聖ガールズ・スクエア学院に転入し、学院生活を通して、east²(石井ラン、小田ユズハ)、west²(隅谷モモカ、菱田ミナミ)、south²(鶴屋ミサキ、小川ヨウカ、増田クレア、山口キラ)の仲間たちと出会い、そして歌とパフォーマンスを中心としたガル活を通して、夢の舞台ガールズ・アリーナでのライブを賭けたドラマであった。
それぞれのユニットの楽曲が十六曲、最終的にひとつとなって結成されたGirls²の楽曲が二曲と一年間でこれだけの楽曲をリリースしていき、最終的には実在のGirls²たちとアニメの映像を融合させた配信ライブ「ガル学。Anime LIVE 2021 ~ツナグツナグ~」をもってこのアニメを締めくくることとなった。
このライブで自分は全体の構成案と演技パートの台本・演技指導に関わり、アニメからライブとGirls²の成長を見守り役目が終わったとおもっていたのだが、その後、実写ドラマ『ガル学。~ガールズガーデン~』の脚本を書くことになり、少しだけそれが延びた形となった。

実際はこのライブと実写ドラマの制作を手掛けている最中に『ガル学。II ~Lucky Stars~』の企画は動いていたので、自分自身、ガル学から手が離れるのはだいぶ先なのだと覚悟していたりもする。

企画はまっすぐには進まない

『ガル学。II ~Lucky Stars~』はLucky²のために作られたアニメである。
企画当初、ラブパト撮影を終えた莉愛と優來がそれぞれ、リナ、ユウラ役として出演することは確定していたのだが、キラパワの四名は撮影進行中ということもありアフレコ入りが遅れることも確定していたため、前半の何話かはリナとユウラでドラマを進めなくてはならない事情もあった。

更に、前作は一話が約2分で毎週月曜日放映で一年間で50話だったのに対し、今作は一話が10分で毎日約2分ずつ放映、土曜日にまとめて配信し、各話のドラマを高めた内容を要求されることになった。

楽曲も放映期間が3ヶ月となることがある程度見えていたので楽曲同士のリリースの期間が短く、それぞれの曲の印象が薄れないようにするためにも前作よりは抑えた曲数にしなくてはならなかった。

企画というものはこうした現実の様々な事情を鑑みながら組み上げていかなくことで形となっていくものなのである。

これらの条件を元に、前作では仲間がひとつになって新たなステージへとアップデートしていく姿を見せていく物語として描いていたのだが、今作は前作で情報を仕入れているうちに、Girls²には周囲の助けがあってあの輝きを放っているのだということを知り、そうした支える人たちをもう少し織り込んで物語を書いてみたいという気持ちになっていた。
また学院以外の日常の景色を描くことで「おはスタ」を観ている子供たちが自分たちのいる場所の延長にGirls²やLucky²がいるのではないか――と思えるように作るために、なにも知らない子がパフォーマーへの階段を登っていく物語にしようと思うようになった。

そのため最初に提案したのは、Girls²登場よりも過去に聖ガールズ・スクエア学院でガールズアリーナでの初めてのライブを行った伝説のチームのひとりが学院を目指す養成所のトレーナーとなり、ひとりの少女と出会う。その少女の母親はかつてチームメイトだった親友で、彼女との夢を果たすべく、新たなチームを作り上げるというものだった。
場所も原宿竹下通りではなく、別の場所だったりもする。

企画会議を重ねていく中で、Girls²が築いてきた原宿竹下通りとの関係性や、Lucky²たちをもっと主体にという方向性にシフトして、今作の形となったのである。

この形が見えてようやく脚本を書き始めることができ、放映されたアニメのような物語となっていく。
もちろん最初にイメージした物語と、放映された物語とで内容が違う部分や初期の構想から変わった部分はある。

なにも知らないリナが夢の舞台へと続く場所に飛び込んで、夢中になっているうちは前に進めたものの、ふと現実に気づいたときに周囲と自分自身の気持ちが追いついていないことに悩み「このままでいいのか?」を自問自答しつつ、それを乗り越えて前に進む――という展開にしたかったために、最終話のひとつ前でリナが迷い、皆で山手線にのり一周をする中で元に戻るという展開をいれてみようと思っていたのだが「そんなの誰がみたいんですか?」という意見もあり、構成を考え直さなくてはならなくなった。

そこで物語を最初から洗い直し、リナと対となるように配置したユウラという存在に着目し、彼女にも役目を与えようと考え直したのだ。
それが第9話で急展開を見せる出来事へとつながっている。
急にいろいろと構成を変えたために、最後の説得シーンをどうするか――で悩んだが、最終的にはMCで意思を示すことで解決することにした。
ヒントとなったのはガル学ライブで、Girls²とのリハで観た、彼女たちの動きの中にヒントがあった。レッスンの際に鏡に向かって自身を写し、ダンスの動きなどを確かめることがそれだった。
そこには鏡の中の自分しか見えない。
なにも知らないが故に前だけを見て前に進んでいくリナと、鏡の中の自分だけを見てひとりでがんばってきたユウラという設定が見えたときに、この物語のゴールが明確になったのだ。
リナが主人公ということになってはいるものの、実のところユウラも主人公なのである。
そのイメージもあり、第1話のタイトル(配信)を「Girl meets Girl」にしたのである。

Lucky²は実在していた

制作も進み、アフレコなどが始まると、台詞の修正などが行われることもあり、脚本家が現場に立ち会うことが求められることがある。
前作は全てのアフレコに立ち会い、Girls²たちの芝居をこの目で見てきたわけだが、Lucky²のアフレコも当然立ち会えると思っていた。
――が、実際のところ、講師をしている大学の授業とスケジュールが重なってしまい、途中からリモートで参加するという形での台詞チェックとなってしまった。
ということでLucky²たちのメンバーには一度も会えていなかったのだ。
その声は聞いていたけれど……。

とにかく事務所から提供されたダンスレッスンの映像や、演技練習の映像、アンケート、そしてファンクラブの日記やインスタ、Tik tokの映像などを参考に彼女たちという人物像を作り上げていかなくては、なにができてなにができないのかがわからない。
リナとユウラはまだラブパトがあったため、それも参考にしていた。
けれど残る四名――、ツバキ、ヒイロ、ユウワ、カンナはプロフィールの情報とアンケート、そして関係者から聞いた話を元に彼女たちをイメージしていった。
だからこそLucky²へのイメージが膨らみ、アニメの映像とひとつとなったとき、彼女たちがとんでもないポテンシャルを秘めていることに気付かされたのである。

それが決定的となったのは、先日行われた『ガル学。Ⅱ - Lucky Stars - コンプリートベスト』の発売を記念して行われたHMV主催のライブであった。

このCDを自分で購入し当選したので実際に彼女たちを観ることができたわけであるが、ここで改めて思ったことがある。

「……Lucky²ってほんとうにいたんだ」

リナは経験豊富なプロフェッショナルだ。
ユウラは年長である自分の立場を考え、チームをまとめようとする。
ツバキは最年少ではあるが、勘の良さはずば抜けており、常に全力で伸びしろを広げていく。
ヒイロは控えめだがしっかりと周りをつなごうとする。
ユウワはその明るさとまとめる力を使ってチームをひっぱっていく。
カンナは持ち前のバイタリティで場を明るくする。

こうした六人がLucky²となり、キラキラとした物語『ガル学。II  ~Lucky Stars~』で輝きを放ったのだ。

そしてこの春からLucky²は新たなメンバー三人を加えて、Girls²と同じ9人編成のガールズパフォーマンスチームとなる。
後輩グループではなくGirls²のライバルチームとして成長し、GL²ファミリーを盛り上げていってもらいたい。

長々と『ガル学。II』の制作を通してLucky²と出会えた自分は、世界で一番ラッキーでした――と書いて、この文章を締めくくろとう思う。

尚、この文章は記憶に基づくものであり、備忘録として記している。
迷惑が及ばないように配慮はしているが関係者からの意見次第で取り下げることもあります。

以上、本日の余談でした。




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