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違う人生

another sky

パラレルワールド(並行世界)は存在し、さらにそれは相互に影響し合っている。そう主張する論文が発表され、大きな注目を浴びている。

並行世界とは「if もしも」の世界のことだ。
あの日・あのとき・あの選択肢を選んでいたら、いなかったら…誰しも考える人生の可能性。選んだ選択肢によって自分の人生は少しずつ変わっていき、人生の方向性は決まっていく。
しかし今回の論文で、その「世界線」とも呼ばれる選ばなかった選択肢の先の世界は確かに在り、しかもこの世界と無関係ではない可能性を示唆した!…とのことだ。

藤子・F・不二雄の「パラレル同窓会」という短編では、勤めた会社の社長に成り上がり、成功者と呼ばれる人生を生きる男が別の世界を生きる自分自身が集まる同窓会に参加するという物語で、人生は分岐し、無数の並行世界をつくりだすということをわかりやすく読ませた。
同じ会社にいながら窓際族に追いやられた自分、同じく社長という立場にありながら全く違う視点で生きる自分、売れない小説家として生きる自分、学生時代に身を投じた学生運動が高じてテロリストの主謀を務める自分、サド趣味が行き過ぎて連続殺人鬼になった自分…などなど、たったひとりの男の人生に無数の可能性を描いた秀作だった。

そして、それは同じことが自分にも言えるかもしれないと考える。
足を踏み入れた場所、そこで出会ったひと・もの・こと。人生を変えるのは出会いなのだと思う。家にこもっていては生まれない、人生を変える可能性が出会いには存在する。一人でも生きられるかもしれない人生だけど、誰かと共に生きればはるかに違う。だからたくさんの出逢いを選ぼう。違う人生をつくるために。

【地域情報誌フジマニvol.115(2016年4月)掲載の編集長コラムからの転載です】

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