イヤイヤ期の2歳児との13時間のフライトレポート
8月10日〜17日のお盆期間中、父・姉・夫・娘・私の5人で、父方の従姉の暮らすノルウェー・ベルゲンへ行ってきました。
父方の従姉がノルウェー人の方と結婚し、彼の故郷であるベルゲンで子育てをしていると聞いて「私の娘と従姉の娘を会わせたい!」とスタートした旅行計画。
しかし、日本からノルウェーへの直行便はなく、ヘルシンキ(フィンランド)もしくはストックホルム(スウェーデン)などを経由しなければならないので、乗っている時間だけ見てもフライト時間は15時間ほど。「やんわりとイヤイヤ期を迎えている娘に、長時間のフライトが耐えられるのか?」というのが、家族共通の懸念事項でした。
「とはいえ、娘は乗り物が大好きだし、まわりに小さい子を連れて飛行機に乗った経験のある友だちもいるし、事前に調べてしっかり対策をすれば不可能ではないのでは?」と思い、数ヶ月前から下調べと準備を済ませて、万全の状態でフライトに臨みました。
先に結果から書いておくと、娘はほとんど機内で騒ぐこともなく、トイレ以外では一度も自分の席を離れることなく往復約30時間(しかもこのうち20時間は睡眠時間)のフライトを終えてくれました。えらい。えらすぎる。あんたが大将!
もちろん娘の性格や性質に助けられた部分もあるけれど、下調べと対策をしていなければこんなにスムーズにはいかなかったと思うので、私がとても助けられた情報などをここに記しておこうと思います。子連れでの長時間フライトの予定があるという人がいたら、少しでも参考にしていただければ幸いです。
フライトは夜行便に!乗り継ぎはゆとりをもって
まず私が最初にしたことは、子連れでの海外旅行経験のある友人・知人への聞き込みでした。
1歳児を連れてシンガポールへ行った経験のある友人、1歳児を連れてハワイへ行った経験のある友人、何年も2人の娘さんを連れてフランスへ行ったり来たりしている知人などに話を聞かせてもらったけれど、口を揃えて言っていたのは「10時間を超えるフライトなら、絶対に深夜発の便にしたほうがいい」ということ。
彼女たちはみんな、フライト中に子どもが退屈がったり飛行機を怖がったりして困ったらしいのですが、普段寝ているような時間になれば子どもは自然と眠ってくれたそう。その言葉を信じて、21:50羽田発の便を予約。経由地のヘルシンキと東京には6時間の時差があるので、ヘルシンキに着くのが早朝になってしまうけれど、娘の睡眠を優先することにしました。
さらに、今回はヘルシンキでベルゲン行きの飛行機に乗り換えなくてはならなかったのですが、空港での待ち時間を少しでも減らすべく、ベルゲンへのフライトは16:00(ヘルシンキ時間)発のものに。日中はヘルシンキの街で過ごせるプランにしました。
さらに、“ベルゲン→ヘルシンキ→羽田”となる帰りのフライトは、1日に2回飛行機に乗ることを避けるため、お金はかかるけれどヘルシンキに1泊し、翌日18:30発の便で羽田へ帰ることにしました。行きも帰りも、日中はヘルシンキで観光を楽しめる計画です。
このあたりのプランは、HISの窓口担当の方がとても親身になって一緒に考えてくださり助かりました!(今回はHISで飛行機とホテルをまとめて予約しました)
また、フィンエアーは事前に自分で座席指定(有料)をしておかないと、家族で席がバラバラになってしまうこともあるというのもHISで聞き、早めに一番後ろの席を予約購入しました。
一番後ろにしたのは、トイレに行きやすいというのと、もし娘が騒いでも、給湯室の前に避難できるため(結局使わなかったけれど)。席順は、窓際に娘、その隣に私、通路側に夫。娘が座席を蹴ってもほかの人の迷惑にならないよう、娘の前の席には姉に座ってもらうことにしました。
「飛行機好きな子」になってもらう
そして次にしたことは、娘に飛行機を好きになってもらうこと。
もともと電車や車などの乗り物が大好きな子なので、飛行機の動画を見せたり、飛行機のおもちゃを与えたり、事前に羽田空港の展望デッキを訪れて実際の飛行機を見せたりして、「飛行機ってかっこいい!」と思ってもらえるようにしました。
↑娘がめちゃくちゃ好きな飛行機の着陸・離陸動画。
↑機内の様子も知って欲しかったので、子連れフライト動画もいくつか見せてみました。チカさんの動画は大人にも参考になります。
英才教育の甲斐あって、日常で遠くの空に飛ぶ飛行機を見かけると「ひこーき!!!」と絶叫するほど、立派な飛行機大好きっ子になった娘。旅行の数日前から「娘ちゃんももうすぐ飛行機に乗るね。楽しみだね」とイベント感を高めていきました。
持ち物の準備。動画・おもちゃ・お菓子は必須!
事前にネットなどで調べると、多くの方がアドバイスとして「普段制限している動画やお菓子も、飛行機内では解禁せよ」「この日初めて触るおもちゃを用意せよ」と書かれています。
我が家では普段、娘の大好きなYouTubeは時間を制限して利用させているのですが、万一娘が眠れなかったときのことも考えて、フライト中ずっと流しておけるくらいの量の動画をオフライン再生用に一時保存し、いつでもiPadから観せられるようにしておきました。
どんな動画を保存したか一応書いておくと、娘の大好きな家族Vlogのチャンネルや、おなじみの『シナぷしゅ』や『アンパンマン』、なぜかめちゃくちゃ大好きな踏切の動画、ブルーノ・マーズやQUEENといった娘の大好きなアーティストのMVなど。
さらに、娘がいつも時間をかけてちまちま食べる「アンパンマンクッキー」や、この日のためにメルカリで買って隠しておいたアンパンマンのマグネット絵本なども、機内持ち込み用のリュックに詰めておきました。
↑シールブックよりも簡単に2歳児が“貼って、剥がして”できるのでおすすめです。後で気づいたけど、機内でばいきんまんのマグネット失くしてた……涙
あとは、先述のバイリンガル・チカさんの動画でも紹介されていますが、子どもが足を伸ばして眠れるようクッションや機内ベッドなどの購入も検討しました。
子連れハワイ経験のある友人から「でかいベッドは絶対移動中に邪魔になる。機内で膨らませられるフットレストのほうがいいよ」とアドバイスをもらったので、ベッドの購入はやめて、フットレストをメルカリで事前に購入しておきました。メルカリにはなんでもある。
チカさんの動画では「ベッドは親が起きているときしか使わせてもらえなかったので、夫婦が交代で起きていなければいけなかった」と紹介されてましたが、フットレストも航空会社によっては禁止されることがあるそう。私が今回利用したフィンエアーではとくに何も言われませんでしたが、一応、シートベルト着用ランプが消えてから使い始めるのがいいと思います。
そして迎えた当日……
満を持して迎えた旅行日。先人たちの「フライト前にキッズスペースで思い切り遊ばせて、体力を使わせるべし」というアドバイスを守るべく、18時ごろには羽田の国際線ターミナルに着いて、娘を遊ばせることにしました。
「飛行機好きな子になる」作戦の際に訪れていた展望デッキで、飛行機を眺めながら「今から乗るんだよ! 楽しみだね〜!」と娘の気持ちを盛り上げたり、国際線出発ロビーのキッズスペースで遊ばせたり。
ちなみに、羽田空港だけでなく、ヘルシンキ空港にもベルゲン空港にもキッズスペースはあります。ベルゲン空港にはグランドピアノもあり、ピアニストの夫までキャッキャと遊んでいました。ヘルシンキでは「あれ? キッズスペースどこ?」と迷っているあいだに搭乗時刻になってしまい、惜しくも利用できずでした……。
たっぷり遊んでもはやまぶたが重くなっている娘を連れて、ついに搭乗。離陸後、最初の関門である「耳抜き問題」もかなり心配していて、なんとか飲み物を飲ませなければと思っていたのですが、座席に用意されているペットボトルの水を与えると、娘は自分からちびちび飲み始めました。我が家は普段水筒を持ち歩いていて、ペットボトルで水を飲ませるということがほとんどなかったので、レアな行為がおもしろかったようです。結果、「耳が痛い」と訴えられることは一度もありませんでした。
実を言うと私は飛行機がかなり苦手なので、離陸時の揺れにパニックを起こさないようスーハースーハー深呼吸していたのですが、娘は揺れをまったく気にしていませんでした。というか、「ペットボトルから水を飲む」という行為に異常にハマっていたので、ほかのことはなにも気にならなかったようです。強い。
深夜便では23時前には夕ご飯の提供が始まるので、娘がペットボトルに飽きてきたころ機内食がやってきました。一応、普段夕ご飯を食べる時間にもパンを食べさせていましたが、お腹がすいていたようで機内食もほぼ完食。デザートにグミがついてきましたが、娘には(誤飲を避けるため)食べさせず、大人のおやつとして持ち帰りました。
ちなみに、機内食は事前に変更していたのでチャイルドミールを持ってきてもらえましたが、web上で変更しておかないと大人用の機内食が提供されてしまうらしいので注意が必要です。帰りの便の夕ご飯は結構辛いグリーンカレー(絶対子ども食べられない)だったので、気をつけて……。大人にはおいしいけどね。
機内食を食べた後軽く歯を磨かせると、娘はおねむモードに。とはいえ、機内はまだ明るいし、いつもと違うシチュエーションなのでなかなか眠れず、ちょっとイライラした様子でした。しかしここで機嫌を大きく損ねて絶叫させるわけにいかないので、抱っこしたりトントンしたり、まぶたを撫でたりして根気よく寝かしつけ。
娘、私の膝の上で就寝。この瞬間、私と隣の席の夫、前の席の父と姉とで無言のまま勝利の雄叫びをあげました。
しかも、このあと乱気流で激しく揺れる場面があったにもかかわらず(私は半泣きだったけど)娘はまったく目を覚ますことなく、なんと10時間近く眠り続けてくれました。起きたのは機内の照明がつき、朝ごはんが運ばれてきたとき。たっぷり眠ってものすごく機嫌よく目覚め、朝ごはんもしっかり食べてくれました。
そのあとは着陸まで、娘が退屈しないよう、マグネット絵本で遊ばせたり、動画を観せたり。
着陸前のみ、視界確保のために窓のシェードを上げなくてはならないので、外が見えたのが怖かったらしく「おそら、こわい……」とグズっていました。「え? 自分、今空の上にいるの?」と自覚する瞬間、めちゃくちゃ怖いよね。わかる……。
帰国するまで飛行機には4回乗りましたが、どのフライトでも着陸前は怖がって「だっこ!!」と要求してきたので、娘のシートベルトは外して、私が膝の上でしっかり抱っこしていました。一応、保護者がシートベルトを着用していれば、子どもは抱っこでも問題ないようです(これも航空会社によるのかもしれませんが)。
反省とふりかえり
旅行中も娘が怪我や病気をしてしまう可能性を考えて、海外旅行保険に加入したり、薬なども念のため持っていったりしましたが、一度も体調を崩すことなく、無事に5泊7日の旅行を終えることができました。
ここまで役に立った対策などを書いてきましたが、「これはいらんかったな」と思うものや「これは想定していなかった」ということもあったので、一応書き残しておきます。
ベビーカーは機内に持ち込まなくてもよかった
「きっと娘は出発ロビーまでの長い道を歩けないだろう」と思い、ベビーカー(機内持ち込み可能サイズ)を預けずに持ち込んでいましたが、なんと娘はまったく乗りませんでした。
大人たちがキャリーを引くのを見ていたからか「ベビーカーを押す」という行為にハマってしまい、ほとんどずっと押しながら歩いていたのです……。
羽田空港には小さな子ども連れなど移動が難しい方向けの「乗用カートサービス」があったし、ヘルシンキ空港にはキッズ用のカートがあったので、ベビーカーがなくても(そして娘が歩いてくれなくても)問題なかったのではと思います。
機体トラブルで夜泣きさせてしまった
旅行の最後、ヘルシンキから羽田へ帰る便のこと。高度1万メートルを超えたあたりで、私たちの座席(最後列)のすぐ近くにあるハッチから「ゴーーーーーーッ」というものすごい音が聞こえ始めました。
パイロットさんやCAさんが私たちの座席付近に集まり、ザワザワと不穏な様子で話し始め「え? もしかしてヤバい事態?」と不安に思っていると、日本人のCAさんから説明が。どうやら安全上問題ないものの、何らかのトラブルによって騒音が発生してしまっているとのこと。謝罪とともに耳栓をもらいましたが、娘は当然つけられません。
眠る前まで、娘はそれほど騒音を気にしていないようだったので、そのまま行きの便と同じ流れで寝かしつけましたが、消灯後の深夜に突然夜泣きが始まってしまいました。
抱っこしても立ち上がってもなかなか泣き止まず、CAさんが「騒音のせいでしょうか……?」と駆けつける事態に。私もパニックになっているので「わ、わからないです!!涙」と答えるしかない……。でも、今思えばこれは座席を変えてもらえるチャンスだったのかもしれないので、頼んでみてもよかったかもなあと思います。
10分ほど抱っこと声掛けをすると泣き止み、娘は再び入眠。それほど長い時間騒いだわけではなかったけれど、消灯後の飛行機という「騒いじゃいけない!」と緊張してしまうシチュエーションで、なんとも肝が冷えたのでした。
でも、やはり公共の乗り物ではこういったトラブルもあり得なくはないし、近くの座席にどんな方が座るかもわかりません。今回は暖かく見守ってくださる方ばかりだったけれど、必ずしもそうとは限らないし、やはり不測の事態も色々と想定しておくべきだなと思いました。
以上、2歳の娘とのフライトレポートでした。
(ちなみに、ベルゲン、ヘルシンキの素敵な街の様子などは、別媒体で公開していただく予定です。もしよければそちらもチェックしてみてくださいね〜! 北欧最高……)