漫画を2タイプにわけるとしたら!今後の漫画業界を考える。②

[今の漫画の話]

商業誌では今、雑誌とアプリと二つの媒体があります。雑誌は月刊か週刊で発行され、それを定期的に購入します。アプリは、無料のものも多く、手軽にスマホで楽しめます。ですが、雑誌の発行部数は落ちる一方で、今やアプリの方にがぜん分があります。そのため、大手出版社も次々と自分達の漫画アプリを開発していきました。

まず、集英社にはジャンププラスというアプリがあります。
ジャンププラスには、無料で読める漫画とお金を払って得たチケットで読める漫画と、二種類あります。
無料の漫画で読者を釣って、最終的には金を払わせるという算段です。また、ずっと無料で読んでいても広告費が発生するので、とりあえずは経費を賄えるという仕組みです。

一方で、講談社にはデイズというアプリがあります。デイズは月額制で雑誌がたくさん読めて、それに加えて無料連載があり、そしてジャンププラスと同じチケット購入制度がある状態です。

また、ジャンププラスは最近、作家に広告費を全額支払うという方針に転換しました。
それは広告費が実際のところ多くの作家にとってあまり大きな収入にならないからでしょう。

しかしこの、広告費というのが今後の漫画の運命を大きく変えると思うのです。
なぜならその一環としてまず、恐らくWebでの広告費の値段が少しずつ上がっていくからです。

さて、ではこれらを踏まえた上で、
最初の「好き」と「面白い」の話に立ち返りながら、これから先の話をしていきます。


・近い将来の話


まず、結論から話すと、
漫画は恐らく二タイプに別れます。

そこに明確に「好き」型と「面白い」型とが生まれるとは限りませんが、
今の微妙な線引きは恐らくなくなり、より境目がはっきりするでしょう。
そしてそこではまず、無料で読める漫画が格段に増えます。

しかしその無料の場で生き残っていけるのは「好き」の漫画ではなく、確信に「面白い」の漫画です。

完全無料にしてしまえば恐らく某村以上に人が集まります。
そして、その大勢の人たちが諸手を挙げて読む漫画が一般基準「面白い」に沿った漫画なのです。


今の商業誌では好かれることを割と重視するのであまり見かけませんが、ネットに溢れる物語には、全然好感を抱くことはできないけれど、なぜか面白かったり展開が気になるため読んでしまう漫画、というのが一定数存在します。
今、ネットを騒がす炎上商法と本質的には同じ原理です。けれど、無料で読めてしまったら、好きでないものも面白ければいくらでも読むでしょう。


さてでは、無料で読める場合大事になるのは一体何でしょう。

答えは、閲覧数です。

なぜなら無料の場合、
収益は広告費と単行本になると思いますが、
正直無料漫画の世界の単行本というのが未来でどれほどの力を持つのかはわからないので、結局のところ広告費とすると、


その広告費を稼ぐためには圧倒的に閲覧数が大事になるのです。


そのため、恐らくこういった場では閲覧目的の過激な漫画で溢れかえる可能性もでてきます。ちなみにすでにアプリ漫画ではその傾向が現れているとも聞きます。

しかし、同時に本当に良質で純粋に面白い漫画も現れると思います。ネットはいつでもそういう色々なものが混在する場所であり続けるでしょう。

次に、「好き」型の漫画はどうなるんでしょうか?

実は、これらの漫画が辿りうるルートは2つあると思います。

ひとつめが、
完全に同人化するパターンです。

正直、これが一番自分は恐ろしいです。
最近よく耳にする「編集者不要論」はこれの前触れに思えるからです。
事実、編集者を通さず好きに描いて、商業作家よりも断然稼ぎのある同人作家なんて山ほどいますし。

出版社の役割が、プラットフォームの提供だけになりえる可能性は大いにありえます。


そして2つ目が、

出版社がより「好き」に重きを置いた漫画作りを重視し、無料アプリにあるような漫画と明確に差別化しながら、「お金を取る」漫画作りを重視していくのではという道筋です。
もしかしたら、コミックデイズに雑誌の購読が盛り込まれているのはそういう意図があるのかもしれません。

ただ、こういう場所での漫画は恐らくより高尚になっていく気がします。多分、ここでは一部の天才作家や大御所による漫画と、無料アプリの人気作品のリメイクが大集合するでしょう。
逆に完全同人化した場合、きっとかなり野生化すると思います。

良くも悪くも中庸の漫画が少なくなると思いますね。

さて、ですが実際のところ、「好き」タイプの漫画は二つの道の間を行く気がします。一つ目は残念ながら悲観的未来です。
何故なら、それは娯楽作品としての本質を大きく失っていることになるからです。
たった独りの作家の満足のために作られた作品は、その瞬間に江戸時代から脈々と受け継がれてきた娯楽としての魂を失い、「漫画」ではない何かとなってしまうことでしょう。
あくまでも商業であることは重要なファクターだと考えます。

以上、
そんな未来予想図でした、、
まあ、ここで何が言いたかったかというと、
つまり、漫画を描く人は自分に何ができるかポジションを見つめ直すべきたということです。

なぜなら今、漫画はかなり分岐点に立たされているからです!しかし、ここで個人的見解をべらべら述べといてなんですが、実際、救いの道があるとすれば、それは世界か、VRにあるのかもね!
そのことも今後一度考えてみたいなあ。

おわり。