見出し画像

【日本最長】東京地下街 4050mの旅(東銀座~大手町)道中案内

はじめに

私たちの首都・東京の地面の下には巨大な街が広がっている。
中でも最大規模とされているのが、東京駅を中心に、北は大手町・南は銀座まで広がる長い地下街だ。複数の通路を連結しながら、その長さは4km超に及ぶらしい
以前から興味があった「日本最長の地下街」であるが、今回都合よく時間ができたので、この機会に端から端まで歩いてみることにした。手軽に非日常体験を味わえるなかなか楽しい旅だったので、皆様もぜひ挑戦してみてほしい。

「日本最長」ルートはどこか

日本最長の地下街はどこにあるのか。調べてみると、東京駅周辺に広がる4050mの地下通路(大手町(JAビル)~八重洲~東銀座)が日本最長である、というのがネット上の通説になっているようである。
恐らくは下の日経の記事が初出だと思うのだが、筆者は残念ながら日経電子版を契約していないので、どなたか見られる方がいれば確かめてみてほしい。

日本一長い地下通路、歩いてみたら… - 日本経済新聞 (nikkei.com)

では、どのルートを辿れば4050という数字が出せるのか。
「このルートが最長である」と明言した上で踏破を行っている記録はネット上に存在しないのが面倒だが、日経が『最長ルート』として示している概略図をもとに、筆者が地図上に書き込んだ推定ルートが下の地図である。

わざわざ遠回りをして八重洲地下街を通るのは少々「せこい」気がするし、東京駅周辺の場合、その気になって遠回りをすれば6000mくらいは稼げるという話もあるので、一体誰がどんな基準でこのルートを「最長」と判断したのかは永遠の疑問であるが、あまり細かいことを気にするのも無粋であろう。
ともかく、今回は通説となっている「4050mルート」に最も近いと思われるルートを実際に歩いてみよう。上記の理由で厳密性は保証できないが、地図計測でも4000に近い数字が出ているので、多少誤差があっても良いという方はぜひ参考にしてみていただきたい。

(1)東銀座・銀座駅周辺エリア

日本最長の地下街の旅は、築地市場にも程近い、東京メトロ 東銀座駅 6番出口 から始まる。ここから銀座駅を経て有楽町に至るまで、約1kmの道程が第1フェーズだ。

午前11時丁度、東銀座から地下に潜入。地上に顔を出さずに、本当に4kmも移動できるのか…?
日比谷線の改札の脇を通り抜け、ひたすら直進する
しばらく歩くと都営浅草線の線路に突き当たるので、一度Uターンして深く潜り、線路を跨ぐ
さらに直進。隣接する銀座駅の外れに入ると、急に現代風の回廊が現れる
東銀座~銀座間の地下通路
営団地下鉄謹製「マーキュリー像」の元祖。銀座にて
銀座線を跨いでひたすら直進を続け、「C9出口」を目指して歩く
前方にエスカレーターが出現したところで、C9方面への分岐を曲がる
丸の内線の線路の真上を進む。東京高速道路に沿って左にカーブしている
C9出口の直前で、有楽町駅への連絡通路が現れる。銀座駅とはこれにてお別れ。


(2)有楽町駅周辺エリア

東京メトロが作りだした銀座の巨大な回廊を抜け、有楽町に入ると、地下道の雰囲気が一変する。有楽町駅前を地下で抜け、東京国際フォーラムを突っ切り、京葉線東京駅に至る次の1kmが、地下の旅の第2フェーズだ。

人が疎らな連絡通路を下り、突き当たりを右へ
有楽町駅前の地下広場を突っ切る
突き当たりからは、東京交通会館の地下通路に入る。一気に地下街の様相に
有楽町駅の方へ抜けてゆくと、交通会館を脱出し、再び東京メトロの地下通路に
東京メトロ有楽町駅のコンコース。D5出口を目指して進む
D5出口。ここから、東京国際フォーラムに直結する
東京駅の標示を頼りに、国際フォーラムを横断
東京駅側の出口から脱出し、正面の階段を地下深くまで下る
悪名高い京葉線の東京駅。改札には入らず、八重洲方面へ進む
八重洲2丁目方面へ。地上がすぐそこまで迫ってきて不安になるが、これが正しい道である
もう駄目だ、このままでは地上に……と思った次の瞬間、右手に現れる救いの横穴
京葉地下1番出口。これを地下と呼べるかは微妙だが……


(3)八重洲地下街周辺エリア

東京駅の外れにある吹き抜けの出口で、一度太陽の光を拝む場所(ドーム型の屋根があるので一応は地下扱い)が、ちょうど旅の折り返し地点。正面に見える横穴に突入すると、後半戦の始まりだ。八重洲地下街を抜けて大手町駅へ至る、第3フェーズの1kmである。

パシフィック・センチュリービルに入り、八重洲地下中央口を目指す
八重洲地下街に入る。これまでの通路とは明るさが段違いで、まるで地上にいるかのよう
長い直線区間。「外堀地下1番通り」をひたすら北へ進む
突き当たりを左折し、東京駅一番街方面へ
しばらくは東西線の大手町駅を目指して進む
新幹線口を通過。ここからしばらくは、JR東海の見慣れた案内標示が続く
キャラクターストリートを横目に直進。名古屋駅を思わせる地下鉄方面の標示
大手町に到着。実はここからが長い……


(4)大手町駅周辺エリア

長旅を経て、最終目的地である大手町駅に到着したが、この駅が尋常でないほどに広い。同じ駅の構内にも関わらず、目指すC2b出口までは1km近い道のりがある。東京恐るべし…といったところで、最後の第4フェーズがスタート。

まずは東西線の改札を素通りし、丸の内線を目指して進む
ホームが絶望的に遠いので、東京メトロも残距離の表示を放棄している
マーキュリー像2体目を観測
途中で右折し、「大手町の森」の地下通路に入る
丸の内線の標示を頼りに進む
距離を稼ぐには、ここの突き当たりを右折して、丸の内線の改札の脇を抜けるのが良いようだ
突き当たりを誤って左折し、大手町ビルヂングに入ってしまった。適当なところで右下へ逃げる
半蔵門線の真上の通路。最終目的地のC2出口がついに見えてきた
十字路を右へ
標示に従って進むと、遂にC2b出口が
日経によれば、正面にある経団連ビルに突入し、接続するJAビルに至るのが最長ルートらしい
ただ、部外者お断りの雰囲気のため、ここを右に折れて正規の地下鉄出口から出ても良いだろう
大手町駅、C2b出口より1時間ぶりの地上へ。すぐ正面には神田川が見える。かなり移動した

いくつもの地下鉄駅・地下街・ビルの地下通路を通過し、4050mの旅は終了。時々立ち止まって写真を撮りながら1人歩き続け、1時間少々かけて踏破した。地上距離で実に2.7km移動しており、達成感もひとしおであった。

「案内標示を楽しむ」という味わい方

東京で地下の旅を楽しむ皆さんにぜひ着目していただきたいのが、次々に移り変わる案内標示のデザインだ
この「日本最長ルート」は、地下鉄駅やJRの地下街だけでなく、民間企業が管理するビルの地下通路をいくつも通過する。そのため、通路の管理者ごとに異なるデザインの案内標示を使用しており、そのビルでしか見られない標示もある。道中に撮った画像をいくらか貼っておくので、ぜひ皆様も頭上に注目してみていただきたい。

東京メトロ(大手町駅)
JR東日本(京葉線東京駅)
JR東海(東京駅)
東京交通会館
東京国際フォーラム
パシフィック・センチュリービル
大手町タワー(大手町の森)
大手町ビルヂング
経団連ビル


おわりに

総延長4050mを誇る、「日本最長の地下街」の旅はいかがだったであろうか。
東京の巨大な地下空間は、当然一斉に整備されたわけではない。それぞれの街・それぞれの事業者が、それぞれの目的で地下街を広げていった結果、長さ4kmにも及ぶ連続した通路が形成されたのである。だからこそ、通路の内装も、地下街の賑わいも、少し歩くごとに多彩な変化をみせる。これが東京の地下を面白い空間に変えているのだ。
今回紹介したルートは、都心にお住いの方・日頃都心に通われている方なら、いつでも気軽に歩くことができる。皆様もぜひ一度、大東京の華やかな地下の世界を体感してみていただきたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?