【櫻井徳太郎賞 高校生の部最優秀賞】子安講からみる千葉県山武市平野部の文化と地域コミュニティ
昨年度実施された板橋区教育委員会主催の「第22回櫻井徳太郎賞」において、拙論「子安講からみる千葉県山武市平野部の文化と地域コミュニティ」が高校生の部にて最優秀賞を受賞いたしました。
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論文要旨
本研究は、千葉県の東部に位置する山武(さんむ)市に現存する子安講について、市内平野部にある計55の地区で実施した聞き取り調査の成果をもとに、その実態を明らかにしたものである。
子安講は、地域の女性が定期的に集まって飲食を共にし、安産や子供の成長を祈る民俗行事であるが、山武市における子安講は調査記録に乏しく、近年においては講の存否さえ不明であった。
調査の結果、山武市平野部では、聞き取りを行った全ての地区に子安講が伝わっていたほか、現在も約半数の集落において、掛軸を前にした定期的な飲食・歓談等の講行事が現存していた。殆どの講で講員の高齢化が進んでおり、既に安産や子育ての祈願という本来の宗教的趣旨は失われているものの、信仰を軸とした地域の女性によるコミュニティが現代でも広く受容されていることが明らかとなった。
子安講の実態は地区によって実に多様であり、広大な九十九里平野で講文化の全貌を理解するのは困難な仕事であるが、当地の子安講は現代社会の変化に沿った信仰の変遷を知る上できわめて貴重な事例であり、今後もさらに広域的・網羅的な調査を行いたい。
本文リンク
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