見出し画像

【玉山富士子の棒読みシリーズその6 原稿を公開】

皆さん、こんにちは、今日は、「台湾は世襲議員ほとんどいないって?野嶋さん、NewsSharingさん、ハロー?誤情報で日本下げしないで」、をお送りしたいと思います。

本当に時間がないので、ポイントだけを述べていきます。

「政二代」。

日本語に直訳すると、政治二代。つまり、世襲議員。

さて、2023年1月14日、野嶋氏は、「日台政治文化の差異:台湾の学位論文不正と日本の世襲問題から考える」の文章の中で、

「台湾で世襲は少数派」

「ほかの世襲的な有力議員はほとんどみあたらない。」

「海外と比べると、日本の世襲比率は際立って高いことは、 否めない。」

と記述されていた。

そしてさらに、今年の2月6日、「日本と違って「親が政治家」では選挙に勝てない…台湾の国会議員が「家柄より学歴」で評価されている理由、の文章の中で、

「台湾には「世襲議員」がほとんどいない」

「台湾では、多くの政治家が里長、市議会議員、立法委員すなわち国会議員とステップアップしていきます。日本のような世襲議員は非常に少なく、2022年の台北市長選挙で蔣介石のひ孫・蔣万安(しょうばんあん)が当選したのは大変なレアケースといえるでしょう。」

「日本では現在、3人に1人が世襲議員であるとされています。」

「実感として世襲議員は非常に少ないです」

へぇー、

野嶋氏が述べられているのは事実なのでしょうか?

残念ながら、違います。

そして、昨日たまたま「NewsSharing」の記事を見かけた。

いくつか台湾について反論したい箇所があるけど、今日はひとつだけに集中します。記事の中で、このようなくだりがあった。

台湾人「どうして日本人は世襲議員なんか選ぶんだい?我々はみんな能力で選んでいるよ。だから台湾には世襲議員なんてほとんどいない」

は?

その「台湾人」って本当に台湾人なの?

と、私は聞きたいね。

NewsSharingはこの記事の中で野嶋さんの文章の一部を引用していた。

多くのネットユーザーさんがこの記事をシェアして、

そして コメント欄はいつものように、

「台湾素晴らしい」
「台湾の方のおっしゃる通り」
「台湾の方が先進国」
「日本の仕組みが狂ってる」
「日本は未だに徳川300年の江戸時代」

ハロー?何言ってんの?

ネットユーザーさんの皆さん、記事の情報が正しいかどうか、検証した?

台湾について有名な言論人の方を否定はしたくないけど、正しくないことは正しくないので、

今から、野嶋氏の記事について ファクトチェックをさせていただきます。正しい情報を皆さんにお伝えします。

野嶋さんが2023年1月に前述の文章を出した時、台湾の国会議員(立法委員)の数は113人。

113人のうち、過去に家族の誰かが政治に携わっていたという人数は42人。全体の37%を占めていた。そしてそのうち32人はまさに世襲議員であった。

2024年の国会議員の選挙では、73箇所の選挙区の中で、35箇所の選挙区には「政二代」が参戦していた。政二代と政二代が戦っていた選挙区も少なくない。

そして戦ったその結果を見てみよう。

玉山、資料集めて、数えたんです。

113人のうち、世襲議員は24人。
①林沛祥 国民党
②李彥秀 国民党
③洪孟楷 国民党
④張智倫 国民党
⑤羅明才 国民党
⑥廖先翔 国民党
⑦牛熙庭 国民党
⑧邱若華 国民党
⑨顏寬恆 国民党
⑩楊瓊瓔 国民党
⑪江啟臣 国民党
⑫謝玉鳳 国民党
⑬馬文君 国民党
⑭陳玉珍 国民党
⑮陳菁徽 国民党
⑯張嘉郡 国民党

①蘇巧慧 民進党
②何欣純 民進党
③蔡易餘 民進党
④陳冠廷 民進党
⑤陳亭妃 民進党
⑥邱議瑩 民進党
⑦陳秀寶 民進党
⑧陳瑩     民進党

24人のうち、有名な政二代を何人が名前をあげるね。

国民党の林沛祥氏。お父さんは元基隆市長 林水木、母親は前立法委員 徐少萍。

民進党の蘇巧慧氏。これは超有名な例で、お父さんは有名な民進党の政治家・元行政院長の蘇貞昌氏である。

民進党の陳冠廷氏、この方も、お父さんは有名な民進党の政治家、元嘉義縣長・元立法委員の陳明文氏。

他にもたくさんいるけど。

今の「24人」は国会議員だけの数字ですよ。

では地方議員は?

ネット友によると、「地方の派閥がとても多い」

地方はさらにその政治家ファミリーたちにコントロールされている現状のようです。

「台湾には「世襲議員」がほとんどいない」?

野嶋さん、申し訳ないけど、事実と違うので、しっかり調べてから日本人に伝えるようにしてください。

最後に一つだけ台湾のチェンジの現象について触れたいと思います。

台湾で、40歳以下、つまり、若い政治家が台頭してきていることに触れたい。

この画像を見てください。

立法委員の選挙の当選者は、2016年には、40歳以下の議員は8人でそのうち政二代が6人、で40歳以下の政二代比率は75%。

そして、2020年は、4年前と同様で、40歳以下が8人、うち政二代が6人、で比率は75%。

でも、今年2024年、40歳以下の候補者は、なんと13人の当選に増加。しかも、このうちの政二代は7人で、政二代比率は54%に下がった。残りの6人の当選者は、親の七光りがない中で当選されていました。

素晴らしい現象だと思います。

最後に、玉山の思いを述べたい。

台湾は、私にとって、生まれた国である。私は台湾の言葉が話せるし、今でも深い繋がりがある。

台湾というのはどういう国か、おそらくほとんどの日本人の方々よりは知っていると思います。

知っているが故に、多くの日本人の方々が、「隣の芝生は青い」という心理からか、台湾についての情報を検証しないで鵜呑みにして、台湾上げ、日本下げを安易にすることが看過できない。

いろんな根拠があるけど、はっきり言わせてもらいます。

玉山は台湾が好き。好きのレベルは皆さんが想像している以上。

しかし、いろんな意味で、台湾が日本より素晴らしいってことは全くないから。

誰かの言葉を検証もせずに鵜呑みにして日本を変に卑下したりしないで、日本を誇りに思いましょうよ。

その上で、台湾を含む他国との違いは、今の日本に足りないところを改善するヒントにしていけばいいんじゃないかしら。

では、今日はここまで。またね。


いいなと思ったら応援しよう!