No.7「もがく」
図書館にいくと、その人が今必要としている本に出会うことができるという話をどこかで聞いたことがあるのですが、誰か似たような話を聞いたことがある人はいないでしょうか。
もし知ってるよという方がいましたら教えてください。
今回は、今の僕にとって必要な本ではなく、必要な方々の話を聞くことができた一週間でした。
10月7日は朝から雨が降っていているにも関わらず、体育館で体育学校の創立記念行事があると聞いて朝から憂鬱な気分でした。
行事の中に記念講話があると知ったのは、当日体育館についてからで、誰が話すのか全く知らない状態でした。
大きな垂れ幕には見慣れない文字と知らない人の名前が書いてあり、隣のスクリーンにはその人の活動の様子がダイジェスト動画としてループ再生してありました。
その人は「アドベンチャーレーサー 田中陽希(ようき)さん」という人でした。
アドベンチャーレースとは、女性一人を含めた4人1組でチームを組み、スタート直前までコースがわからないにも関わらず、配られた地図を頼りに、通信機器を使わず、山を越え、川を越えながら90個を超えるチェックポイントを通過してゴール地点に向かうというとても過酷なレースのことでした。
田中さんはそのチーム(日本代表)のキャプテンであり、アドベンチャーレース以外にも日本300名山を人力のみで制覇するなど、とてもすごい(すごい以外の語彙が思いつかない)人でした。
アドベンチャーレースという競技において常に相手となっているのは自然です。
当然ですが、自然は人の力ではどうすることもできないものです。
自然は同じ状況が一つとしてなく、また人間にとって不利な状況が圧倒的に多いという特徴があります。
田中さんは自然を相手としていく中で様々なことを学び、その体験から学んだことや感じたこと、田中さんという人を構成する芯のようなものについてお話ししてくれました。
その話の中で印象に残ったものをいくつか紹介できればと思います。
状況打開能力
不利な状況や事前の情報と違った状況は、どうにかするしかない。
最大の近道は「丁寧」な一歩
人生は後戻りできない。
だからこそ一歩を大切に、丁寧にする。
自分を信じることが最優先
自分を信じることができなければ、焦らず最初からやり直す。
諦めることは簡単
99%無理だと言われても、成功する確率が1%でもあるならば、その1%に賭けてみる。
「当たり前」のレベル設定
自然には普段の生活の「当たり前」が通じない。
ネガティブな要素は「当たり前」に訪れるものという前提を持つことで心を保つ。
自分に起こっていることは、大抵他の人にも起きている。
自分だけ、自分ばっかりとは思わない。
20歳までは「体」の成長。
20歳からは「心」の成長。
旅は一人だけれど、たくさんの人に支えられている。
遠く離れたところから応援してくれている人はいる。
その人たちや旅でお世話になった人たちには、必ずその人の目の前で感謝を伝える。
他にもたくさん大切なことを伝えてくださったのですが、全て書き出してもしょうがないのでこのくらいにします。
競技としてはアドベンチャーレースとレスリングでは同じところを探せという方が難しいほど違いがあります。
ですが、気持ちの部分では学ぶことが山ほどありました。
特に、「諦めることは簡単」の話は、国体で負けて色々と不安定になっていた自分に突き刺さった気がしました。
今は自分としてもなかなかうまくいっていない時期にいる感じがしますが、ここで諦めるのはすごく簡単で楽な道だと思います。
諦めるのは最後の最後まで足掻いて、もがいて、全てを出し切った後でもいいのではないかと思うのです。
田中さんの話を聞きながら、まだ諦めたくない自分がいたのです。
アスリートの競技人生は長くありません。
自分も競技人生の終盤になりました。
最後の最後くらい自分の気持ちに素直になって、最後の最後まで諦めずに、もがいて、後悔のない競技人生にしたいと思うものであります。