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No.30「Good luck. 」


 2023年の天皇杯が終わりました。

 自分にとって今回の天皇杯はレスリングに一区切りつけると決めていた大会でした。

 結果はフリー、グレコともに一回戦負けでした。

 正直どっちの相手もエントリーを見た時点で相性最悪だなと思っていた相手でした。

 それでも強い相手なのでたとえ負けても敗者復活戦くらいはあるんじゃないかと思っていたのですが、現実はどちらも敗者復活戦には回ることができませんでした。

 グレコは6月に60kg級で負け、オリンピックがなくなった時点でやる気はそんなになかったので良かったのですが、フリーに関してはめちゃくちゃ悔いが残ったというかなんというかモヤモヤが残ってしまいました。

 フリーは特に楽しみにしていたので試合内容というより1試合しかできなかったことにモヤモヤしてしまいました。

 初戦の相手は体育学校の小川コウダイ(今年の世界5位!)だったのですが、結構チャンスはあるなーと思っていて、負けはしましたが7-7のビッグポイントでの負けだったので内容には割と満足していました。

 コウダイの事だし決勝まで行ってくれるだろうと楽観的に考えていましたが、前述の通り敗者復活戦に回ることはありませんでした。

 結局のところ試合を多くこなすためには自分が勝つことでしか道は切り開けないし、1試合しかできなかったのは負けた自分が悪いのです。

 ぐちぐちと文句を言ってもしょうがないし、勝負にもう一回はないし、時間を巻き戻すこともできないのです。

 全ては自分の実力不足なのです。

 これはレスリングを通して今後の人生に活かしていかなければいけない教訓だと感じました。

 モヤモヤした気持ちはありますが、それと同じくらいフリースタイルの間合いと自由な空間にはめちゃくちゃワクワクしたし、すごく楽しかったです。

 試合本番はうまく行ったのですが、事前準備は本当に大変でした。

 7月の社会人が終わってからほとんど練習ができず、ちゃんと練習を再開したのは試合の2週間前でした。

 普段のトレーニングとしてはランニング8割、筋トレ2割くらいでした。

 やっぱりレスリングにはレスリングの体力があったし、力が弱っていたのもわかっていたので、練習だけでなく仕事の隙間時間にはとにかく体を動かして体力を少しでも戻そうとしていました。

 おかげさまで前に怪我していた箇所が軒並み痛み出し、とにかく「俺の体よ2週間だけ持ってくれー!」って感じでした。

 今までのレスリングの感覚、組み手、重心の位置、反応など全てが思うようにいかなくて、レスリングってこんなに楽しくなかったっけ?なんてことまで考えていました。

 それでも専大や日大にもお世話になっているうちになんとか感覚を掴めたのが試合2日前でした。

 とにかく間に合った安心感と共に、体重調整もしっかりでき、怪我もなく試合を迎えられることを嬉しく思っていました。

 体は元気なのにこんなにも準備が大変だったのは今回が初めてだったかもしれません。

 結果としては負けてしまったけれども、楽しく試合ができたというのは本当に良かったと思うし、幸せでした。

 以上で大会の振り返りは終わりにしたいと思います。

 もう少しだけ書かせてください。

 これまで藤波諒太郎というレスリング選手を指導してくださった指導者、先輩方、応援してくれ方々、支えてくれた、関わっていただいた全ての皆様方にこの場を借りて多大なる感謝を伝えたいと思います。

 小さい時から内気な性格で自分から何かを発することが少なかった人間でしたが、大舞台で堂々と試合できるくらい成長することができたのはレスリングを通して様々な方々に指導していただいたおかげです。

 まだまだ引っ込み思案で誰かの影に隠れたくなることもありますが、昔よりかは確実に成長していると思っています。

 また26歳までレスリングを続けられるような丈夫な体に育ててくれた両親には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。(どうせ面と向かって言えませんが)

 2人が自分のやりたいことを自由にやらせてくれたおかげでかけがえのない仲間に出会い、様々な経験をすることができました。

 この仲間や経験は自分の宝物ですが、2人がレスリングを続けさせてくれたからこその出会いであり経験なのです。

 社会人になってからは怪我ばかりで心配をかけたかもしれませんし、これから一年はもっと心配をかけることになると思いますが、もう少しだけ我慢しといてください。

 次に2人の川井先生へ。

 ジュニアの先生には最後の最後まで試合の時に差し入れをくれたり、中学、高校、大学、社会人の節目のタイミングで次の進路について相談、報告したりとレスリング以外のところでもたくさんお世話になりました。

 自分がグレコをやっている時からずっと「諒太郎はフリーがいい」と言われ続けていましたが、その言葉があったからこそ最後は絶対にフリーで全日本に出たかったし、生で見て欲しかった思いはあります。

 今後は指導者になった時に懐かしい話などできたらと思います。

 北陵の先生には高校の時から死ぬほどお世話になりました。

 ジュニアの先生とは違い、自分が1人の人間として自立するような時期(高校生)の時に指導していただいたということもあり、1人の人間としてどうあるべきかなど人間性の部分を頭で考えて理解することができたと思っています。

 感情に流されやすい自分をより客観的に見ることができたのは北陵の先生のおかげだと思っています。

 次は自分が恩返しする番だと思っているので、もう少しだけお待ちください。

 全員の名前を出していてもしょうがないので、次で最後です。

 最後に、ちびっ子の時のみんな、高校のレスリング部の同期、大学の同期へ。

 みんなのそれぞれの道での活躍をSNSなどで見ていて勝手にたくさんの刺激をもらっていました。

 高校の同期に関してはみんな高校でレスリングを辞めてしまったけれど、2年の冬の北信越で負けてから、3年の春の北信越で勝ったり、インターハイに行ったりなど、今まで個人戦だけだと思っていたレスリングの団体戦がこんなにも面白いのかと思わせてくれたのはみんなのおかげです。

 みんなにとってあの3年間は俺が思っている以上に辛かったと思うけれど、みんながついてきてくれたおかげで俺にとっては本当に人生の宝物です。

 いつかまた集まった時にはバカ話したいなー。

 ちびっこのみんなには刺激を貰いっぱなしでした。

 中村パイセン以外はみんな遠くにいたし、頻繁に連絡もとっていなかったけれど、試合会場に行けば大体いたし、試合してれば応援したし、時には専大の人と試合してても心の中では金沢ジュニアを応援してました。

 特に友香子は唯一と言ってもいい同期だったし、すぐ全日本獲るし、オリンピックチャンピオンになっちゃうしでとにかく追いつこう追いつこうと思っても追いつけない存在でした。

 一番差を感じたのは中学1年の全中だけどな。

 そんな同期を誇らしくも羨ましく思い頑張ったおかげで少しはいい成績を残せました。ありがとう。

 大学の同期はもうなんというか最高の仲間って勝手に思ってます。

 自分自身専大の同期とはリカを除いて受験の時に初めて話したし、なんなら同期に松雪タイセイと中村ツヨシがいる!!っていう有名人を前にしていた気分でした。

 ちゃんと話せるかなとか思っていました。

 蓋を開けてみれば変な奴らばっかりで、おかげで楽しい4年間を過ごすこともできたし、卒業旅行も行けたし、すごくいい体験を共有できた仲間です。

 特にタイセイとツヨシは一年の時から結果を残していて、どうやったら2人に追いつけるのかをずっと考えていました。

 最終的には自分も含めて3人とも学生タイトルを取れてめちゃくちゃ嬉しかったです。

 4年間毎日一緒にいて毎日切磋琢磨できたのは本当にみんなのおかげだと思います。

 この出会いには感謝してもしきれません。本当にありがとう。

 楽しい時間はいつか終わります。

 時間が逆行することはありません。

 ただ過去にあった事実が変わることもありません。

 これまでのレスリングが繋げてくれた出会い、レスリングが与えてくれた経験、全てに感謝を込めてお別れしたいと思います。

 ありがとうレスリング。

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