【被害者支援】こころのケアまとめ~無理強いはしないが例外もある

1⃣こころのケアの使いどころ
犯罪の被害に遭われた方やそのご家族は、被害後に様々な心身の問題を抱えることがあり状況に応じて専門的な支援が必要となる場合があります。そのような人に対してどのようなのときにカウンセリングや精神科などの「こころのケア」を勧めればよいのでしょうか?

⭕️眠れない、食べられない
死ぬかもしれない体験したあと、空腹を感じなくなったり、眠れなくなったりすることはよくある事です。(軽微な交通事故のあとでも感じたことがあるんじゃないでしょうか?)

そして、眠れないことは2、3日であればむしろ、辛い記憶の衝撃を和らげる効果があります。
ですがこの状態が一週間以上続くと、心身のコントロールをする力が低下し、集中力や気力がなくなったり、感情的になりやすくなったり、体調不良を起こしやすくなったりするため、
「こころのケア」
を通じてしっかり休息できる体制を作ることが重要になります。

⭕️「自分が辛いのでなんとかしたい」
被害後に当事者やその家族などが、
「こんな体験をして苦しくてどうしようもない」
「以前と自分が変わってしまい、何もできないことが辛い」
などということがあります。
このような場合、当人が
「何とかしたい」と感じていれば
「こころのケア」
を利用して気持ちを整理することが出来ます。
言語化=頭の整理

⭕️家族が心配だから「こころのケア」を受けさせたい、というときには?
家族や周囲の人が心配しても、犯罪の被害に遭った本人にその気がなければその効果がなく、むしろ自分がおかしくなったと認定されたと感じ、ますます状態が悪化する場合があります。
本人に
「自傷他害の危険性」
がなければ無理に受診させず、
家族などが精神科やカウンセラーと面接し、
本人に何ができるのかについて相談するようにしましょう🌷➰



2️⃣大人に対する「こころのケア」のすすめ方
犯罪の被害に遭われたご本人や、そのご家族に対して
「こころのケア」
が必要である、ということはよく言われることです。では、どのように「こころのケア」をすすめればよいのでしょう。

⭕️被害に遭われたご本人に対して
ご本人に対しては、例えばのようにお声かけください。
「お話を伺うカウンセラーがいますので、よかったら一度、お話をしてみませんか?内容について、お話しするのが辛いようならば、こちらからその内容をカウンセラーに伝えておくこともできるので、無理にその内容のことを話す必要はありませんよ。」
「被害に遭った後は、これまでにはなかった心や身体の反応が出て、どうしてよいか分からず困ってしまう人も多いのです。カウンセラーと、そのような困りごとへの対応方法について一緒に考えることができますよ。」

⭕️被害に遭われた方のご家族に対して
ご家族も、ご本人が事件以前とは変わってしまい、不安を抱えていることがあります。その場合は、例えば次のようにお声かけください。
「被害に遭った後、それ以前とは様子が変わってしまったご本人にどう接すればよいのか分からず、戸惑われるご家族も多いのです。カウンセラーと、ご本人への接し方についてご相談できますよ。」

⭕️「今は必要ない」と言われたら
人によっては
「今は大丈夫です。」
などと答えて、すぐにはカウンセリングを希望されないことがあります。
その場合は
「事件に遭った後、時間が経ってから苦しくなることもあります。その時には遠慮なくご連絡ください。ご相談になれる所をお伝えします。」
とお伝えいただき、無理に引き留めなくても大丈夫です。
(帰宅して一人になって始めて恐怖と不安が押し寄せるという方、数週間してから恐怖かくる方も)


3️⃣子どもに対する「こころのケア」のすすめ方
被害に遭われたご本人が子どもである場合の勧め方についてです。

⭕️被害に遭われた方の保護者に対して
被害に遭われた方の保護者は、事件を知ることで大きなショックを受けながらも、子どもを支えるもっとも身近な存在として適切に対応することを期待される立場にあります。
このような保護者に対しては、たとえば次のようにお声かけください。
「被害に遭った後のお子さんには、これまでと異なる言動が見られることがあります。また、保護者の方も被害に遭った後のお子さんにどう接してよいのか分からず、戸惑われることがあります。カウンセラーに、保護者の方がお子さんへの接し方についてご相談することもできますし、必要に応じてお子さんもご相談することができますので、一度会ってみませんか。」

⭕️被害に遭われたご本人に対して
ご本人に対しては、例えば次のようにお声かけください。
「大人でも、あなたと同じようなとても恐くて嫌な思いをした後は、頭やお腹が痛くなったり、色々な困ったことが起きたりして、周りの人に助けてもらったほうがよいときがあります。そんなとき、あなたと一緒に困りごとについて考えてくれる人がいるのですが、会ってみませんか。」

保護者から「子どもは嫌がっているのですが、カウンセリングを受けさせたいので連れて行きます。」と言われることもあります。
保護者の方が、ご本人のことを心配するあまり、嫌がるご本人にカウンセリングを受けさせようとすることがあります。ですが、カウンセリングは、ご本人が受けてみたいと思わないと、かえって効果が出ないものです。
ですから、この場合には
「まずは保護者の方がカウンセラーとお会いになり、ご相談された上で、改めてお子さんとカウンセリングについて話し合われた方が良いと思いますよ。」とお伝えください。
※子どもから話を聞く際の注意は、
第1に、話してくれたことに対する感謝をする
時間や服装や行動への指摘、追求はNG
司法へつなぐ際は根掘り葉掘り聞きすぎずに通報を
安易に、届出せず事案が無かったことにしない
家族親戚知人友人による犯行でも色々な対処法がある
などと言われていますので参考に✨️



4️⃣「こころのケア」を無理にすすめない理由
近年、こころのケアは注目を集めるようになり、大規模な事故や災害などが発生したときには、「被害者、被災者に対するこころのケアが必要」とマスコミが報じるようにもなりました。
確かに、こころのケアは重要な支援の1つです。けれども、こころのケアを無理にすすめる=押し付けることは、かえって状況を悪くすることがあるのです。
当事者等にとってまず初めに必要なことは
「安全・安心の確保」
です。
家庭内の性犯罪、学校、塾、施設、職場などなどによる犯罪は、
逃げ場が無い、家族が困る、貧困
などの理由で自分が我慢すればいい、とかそもそも被害にあっていることさえも理解できていない子どももいたりします。

命の危険があると感じているときには、人間は身を守るにはどうすればいいか、ということしか考えられません。
被害に遭った人が「助かった。」と実感できるのは、被害に遭った人と
初期に出会う方の存在が重要
です。

そこで
「もう怖い思いをするごとはない。」
と体感できて初めて、被害者に遭った人はこころのケアについて考えられるようになるのです。

⭕️「自分がこころのケアを受けたい」と思うことが大前提
こころのケアは
「受けたいと思う人が受ける」
ことが必要です。嫌がる人に対して無理にケアを受けさせることは、逆効果になりかねません。もし、
「本人は嫌がっているけれども、こころのケアが必要だ。」
と言うご家族がいる場合には、まずご家族にケアを体験してもらうとよいでしょう。

⭕️ただし例外もあります
例外として、被害に遭った人が拒否しても精神科等の病院に連れて行くことが必要になる場合があります。

  • 自分を傷つけたり、他人を傷つけたりする(自傷他害)恐れがあるとき

  • 1週間以上眠れない、食べられない(または食べ続けてしまう)ということが続いて、めまいや身体の痛みなどの問題が生じているとき
    このようなときには、例えば「このままにしておくと、あなたの命に関わるので、あなたは嫌だと言うけれども病院を受診する必要があります。」などと伝えた上で、病院に連れていきましょう。

以上長文でしたが最後までお読みいただきありがとうございます!
性犯罪へは総力戦で闘いましょう!!

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