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私のライフミッション:well-beingなrevenue組織
この記事は、スタートアップからメガベンチャーまでの経営層や営業マネージャー、Revenue責任者の皆さんに向けて、“well-beingなrevenue組織”の重要性と、その実現のためのヒントをまとめたものです。テクノロジーの進化やAIの活用が進み、物事の「正解」や「最適解」を見つけやすくなった今だからこそ、人間が本来得意とする“関係構築”や“創造性”に注力することで高い価値を生み出す組織をどう作り上げるか、ここで一緒に考えてみたいと思います!
“well-beingなrevenue組織”とは何か?
組織としての理想像
私がここでいう“well-beingなrevenue組織”とは、売上・利益などのビジネス成果をしっかりと生み出しながら、組織に属するメンバー一人ひとりが心身ともに健康で、かつ高いモチベーションを持って働ける状態を目指すものです。もう少し具体的に言えば、下記要素を兼ね備えた組織を指します。
皆が高い付加価値を創出している
・新たな商品・サービスを提案したり、既存の手法をアップデートしたりといった主体的・自立的な取り組みが活発である。
・顧客に向けた価値創造業務に大半の時間を使うことができている。
生産性が高い
・無駄なプロセスを減らし、成果創出までのスピードが速い。
・AIやツールを活用し、人的リソースを最適化している。
高い当たり前水準をキープしている
・一時的な成果だけでなく、安定的に高パフォーマンスを発揮できる。
・メンバーが燃え尽きないように仕組みや仕掛けを整えている。
プライベートにも仕事にもコミットしている
・仕事だけでなく家庭や趣味など、それぞれの生活が充実している。
・仕事でも高い集中力を発揮できる循環が生まれている。
成長できているし、それを実感できている
・個人のスキルアップやキャリアビジョンが見えやすく、それを支援する制度・文化がある。
・メンバー自身が「日々成長している」と確信できる。
これらがすべて揃うと、組織のパフォーマンスは飛躍的に高まります。売上や利益といった“Revenue”の面でも成果を出しつつ、メンバーが働きがいを感じられる状態を継続できる組織がwell-beingなrevenue組織です。
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営業組織から“Revenue組織”へ
従来は「営業組織」という呼び方が一般的でしたが、昨今では“Revenue組織”としてマーケティングやCS(カスタマーサクセス)を含めて一体的に組閣する動きが加速しています。売上を創出し、継続的な利益を生むためには、受注の瞬間だけではなく、リード獲得~オンボーディング~アップセル/クロスセル~カスタマーサクセスまで、一連の顧客体験を最適化する必要があるからです。
この視点で“well-being”を考えると、営業担当者だけでなく、マーケティング・CS・サポート部門なども含めて全員が健康的な状態で、かつモチベーション高く連携できる組織づくりがポイントになります。ひとつのミスや不一致が全体のパフォーマンスに影響しやすいからこそ、チーム全員が「自分の強みを最大限発揮できる」体制を整える必要があるのです。
私自身、過去に「数字を追うこと」に特化した強い営業組織でマイクロマネジメントや行き過ぎた競争を体験してきましたが、本質的に顧客と長期的な関係を築き、メンバー同士が自分らしく働ける組織こそ最も大きな価値を生み出すと確信しています。だからこそ、well-beingなrevenue組織の実現を私のキャリアのゴールとして掲げています。
revenue組織におけるAI活用
効率化とデータドリブンへの移行
近年、AIツールが飛躍的に進化し、営業活動の効率化やリードのスコアリング、顧客の行動分析などに多大な恩恵をもたらしています。たとえば、過去の商談データをAIが解析し、見込み度の高いリードを優先的に割り出すことで、営業担当者のアクションがより効果的になります。あるいは、AIチャットボットや自動化されたメール施策で、リードナーチャリングを大幅に効率化することも可能です。
こうしたAI活用によって、定型的なタスクや膨大なデータの分析作業を“機械”に任せられるようになり、人間はより高度な意思決定や創造性が求められる業務に集中できるようになります。これこそが“well-beingなrevenue組織”において目指すべき姿です。属人的なスキルや人間関係の構築といった「AIでは補いにくい」部分に、より多くの時間とエネルギーを割くことで、組織の付加価値を高めるわけです。
“人間にしかできないこと”へのリソース配分
AIの登場によって、「営業のコツ」や「最適トークスクリプト」のような“正解”がより簡単に導き出せるようになると予想しています。しかし、営業やカスタマーサクセスの真髄は、顧客と長期的な信頼関係を構築し、顧客に新しい価値観や発想を提示して変化を促す点にあります。
例えば、顧客が潜在的に抱えている課題や悩みを、一緒に探り当てて解決策を模索していくプロセスには、人間ならではの共感力や柔軟な思考が不可欠です。また、難易度の高いネゴシエーションや、クライアント企業内の複数ステークホルダーとの調整は、機械的なロジックやデータだけでは乗り越えられない側面があります。
だからこそ、AIで効率化できる部分を極力任せてしまい、「関係構築」「創造的提案」「コンサルティング的アプローチ」「問題解決のファシリテート」といった“人間にしかできないこと”に注力できる時間を確保することが、これからのrevenue組織の勝ち筋になるのです。
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組織を支えるコーチング文化と心理的安全性
コーチングが生む“自走力”
効率化やAI導入が進む一方で、マネージャーやリーダーの役割はどのように変わるのでしょうか。従来の「管理・監督型」から「コーチング型」へと移行する動きがますます重要視されるようになると考えています。
コーチングの要諦は、メンバーの思考プロセスを引き出し、自ら考えて行動できる“自走力”を育むことです。これによって、担当者が新しいアプローチや挑戦を自主的に行う文化が根付き、組織全体としての学習速度が上がります。特にAIツールの導入フェーズにおいては、従来のやり方に固執せずに新しいワークフローを試してみる柔軟性が不可欠です。コーチング文化があれば、そこから得られる知見や改善点を組織全体に素早く共有し、次のアクションに生かすことができます。
私自身、プロコーチの資格を持っており、大企業からスタートアップに至るまで、さまざまな組織を対象にコーチング的アプローチを活かした営業・CS組織づくりを提案してきました。まだまだコーチとしてはひよっこですが、組織開発や人材開発の視点から「自走力」と「学習文化」を育む仕組みにコミットしたいと思っています。well-beingなrevenue組織を実現するうえで、コーチング文化の醸成は欠かせないと感じています。
心理的安全性がもたらす創造性
コーチングを軸に据えた組織運営がうまくいくためには、メンバーがお互いに「安心して意見を言える環境」をつくることが大前提です。これがいわゆる“心理的安全性”と呼ばれるもの。
Revenue組織であれば、営業・マーケティング・CSなどの各チームが密に連携し、顧客のあらゆる接点で継続的に価値を提供する必要があります。顧客からの反応が思わしくなければ、その原因をチームで話し合い、改善策を試してみる。新しいアプローチを誰かが思いついたら、まず試してデータを取る。そこから成功例も失敗例も共有して、次の戦略に反映させる。こうしたサイクルを素早く回すために、“失敗を恐れず挑戦する”文化が必要です。
心理的安全性が担保されている組織であれば、メンバーは臆せず意見を出し、失敗を率直に共有できるようになります。そして、その失敗を責めるよりも「学びの種」と捉え、次へのステップに生かす姿勢が育ちます。結果として、固定概念にとらわれないイノベーションが起きやすくなり、顧客に対してより大きな価値提供ができるようになるのです。
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“well-beingなrevenue組織”を実現する具体策
AIと人間の役割分担を明確化する
まずは、自社のビジネスプロセスのなかで「機械に任せたほうがいい部分」と「人間にしかできない部分」を整理しましょう。たとえば、以下のように区分できます。
AIに任せる業務
・データ分析や顧客属性のスコアリング
・メールやSNS、チャットボットによる簡易的な問い合わせ対応
・過去の成功事例の体系化や定型業務の自動化
人間が担う業務
・顧客との深いコミュニケーションや関係構築
・複雑な折衝・ネゴシエーション
・新しい提案やイノベーションの創出
・高難易度の問題解決や顧客満足度を底上げする施策
これらを明確化することで、メンバーが“自分の時間をどこに投資すべきか”を把握しやすくなります。また、全員が“人間だからこそできる強み”を意識するようになり、自然と付加価値の高い仕事を志向するようになるはずです。
1on1・定期フィードバックを徹底する
AIツールの導入や業務効率化が進むと、一見コミュニケーション量も減るかもしれません。しかし、だからこそマネージャーやリーダーは、定期的な1on1や評価面談を活用してメンバーをしっかりケアする必要があります。
1on1の目的
・メンバーの現状の課題を早期に把握し、サポート体制を整える
・キャリアビジョンやモチベーションの源泉を確認し、必要に応じて助言をする
・成功・失敗事例の背景を共有し、組織として学習を促進する
特に、AI導入による業務フローの変化に対して、メンバーが戸惑うケースも想定されます。1on1で状況を丁寧にヒアリングし、個人の強みや得意領域にフォーカスできるようサポートが必要です。
評価・報酬制度を多角化する
“Revenue組織”においては、売上や利益などの数値評価がどうしても注目されがちです。しかし、well-beingを重視し、かつ組織全体で長期的な信頼を獲得するためには、「数字以外の貢献度」も評価する仕組みが必要です。具体的には、以下のような観点を評価制度に取り入れるのも考えたいと思っています。
プロセス評価:
新しいAIツールの活用法をチームに共有した、営業シナリオを改善した、などコラボレーション評価:
他チームとの情報共有を主導した、後輩の育成に貢献した、など顧客満足度:
アップセル・リピート購入率、NPS(顧客推奨度)など
評価と報酬設計が連動すれば、メンバーは“売上数字を追うだけ”ではなく、組織全体や顧客の成果に繋がる行動を取るようになります。結果として、持続的に高付加価値を創出し続けるチームカルチャーが醸成されるのです。
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まとめ:人間にしかできない価値創造がレベニューを加速させる
AIがもたらす効率化と自動化は、ビジネスのあらゆる側面を大きく変えつつあります。営業やCSのように“属人的”とされてきた領域でも、適切にAIを活用することで、リード獲得やルーティン業務などの負荷を減らすことが可能になっています。しかし、その先にある本質的な勝負は「人間しかできない価値創造」にあると確信しています。
顧客との信頼をベースにした関係構築
複雑な課題に対する柔軟な解決策の提案
新たな顧客体験の創造
イノベーションを生み出すチーム文化の醸成
これらは、いかにAIが進化しても「人間だけができること」です。“well-beingなrevenue組織”では、AIに任せるべき業務を明確化し、人間が本当に力を発揮できる領域に時間と情熱を投入する仕組みが整っています。メンバーは強みを活かしながら、プライベートでも仕事でも充実感を得られるようなバランスを保ち、継続的に高い成果を出し続ける。その姿を外部の顧客やパートナーが見ることで、企業イメージも高まり、さらなる優秀人材の獲得やブランド力向上につながっていくはずです。
スタートアップ〜メガベンチャーの経営者・営業マネージャーにとっては、「AI導入による効率化」と「人間の付加価値向上」を両立させる戦略が不可欠となります。
短期的な利益追求と長期的な組織カルチャー醸成をどちらも見据えながら、個人と組織が共に成長できる体制を作り上げていく。これまでとは異なるスピード感と競争環境の中でこそ、well-beingを核としたrevenue組織が、企業の新たな価値を生み出す原動力となるはずです。
「人間にしかできないこと」にこそ大きな投資をする——それが、これからの時代を勝ち抜くための最強の戦略。数字だけを追うのではなく、“人”という最重要リソースに光を当て、AIの力も最大限に活用した“well-beingなrevenue組織”こそが、生き残る唯一のHowだと思っています。
本記事が、AI時代の新たな組織づくりやRevenue最大化に取り組む皆さまにとって、一つの指針となれば幸いです。変化のスピードが速い時代だからこそ、私たち人間が本当に得意な領域に専念し、メンバー全員が健康的かつ高いパフォーマンスを発揮できる環境を整備していきましょう。それこそが「well-beingなrevenue組織」を実現し、企業が持続的に成長し続けるカギなのです。
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ここまで書いたことはまだ絵に描いた餅です。でも実現できる可能性は飛躍的に上がっているんじゃないかなと思っています。もし読んでいただき、共感いただいた方、そうじゃないよとご意見がある方、一緒に考えませんか。
いつでもご連絡お待ちしています!