水道工事マグネット(冷マ)の観察
水道工事マグネット(冷蔵庫マグネット・冷マ)が気になりすぎて、観察してみた。※長文になった
観察記事を書くにあたり、想いをつづった序章はこちら。
今回この記事を書くにあたり、最初は自分なりの水道工事マグネットを再現しようと考えたのだが、(序章でも紹介した)デイリーの林さんの記事が完璧すぎて、それだとただのトレースになってしまいそうだった。
各社のいろんなマグネットを観察しているうちに、それぞれの違いがどれも愛おしく思えてきて、いろいろ思うところがあったので、観察と所感の取りまとめというかたちとした。
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※注意 本記事は宣伝目的ではなく、あくまでマグネットのデザイン等について論じる目的のため、あえて電話番号等にモザイクをかけておりません。
ここで掲載された事業者とのやり取り等に関するトラブル等が発生したとしても、一切責任を負いかねますので、ご了承願います。
事業者へ連絡する際は、一度事業者比較のサイト等にて検討されることをおすすめいたします。
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0.前提
<収集場所と時期>
自分のうちにポスティングされたマグネットを対象とした。
収集場所とおよその時期は下記の通り。
・神奈川県横浜市緑区:2013年頃~2017年8月
・埼玉県川口市:2017年9月~2019年9月現在
1.集計
<総件数>
まずはうちにたまっていた全ての冷蔵庫マグネットを集計した。
・総種類数79枚
・総数97枚 ※廃棄や他用途利用を除いた、集計時点での総残数
<事業者割合>
収集した冷マの事業者業種割合はこうなった。
・総数 20社(※引越と不用品回収両方のものはダブルカウント)
・水道工事 16社_80%
・引越 2社_10%
・不用品回収 1社_5%
・ハウスクリーニング 1社_5%
<集計まとめ>
<収集種類数ランキング>
1位 町の水道屋さん 株式会社イースマイル 18種類
2位 水の救急隊 株式会社クリアライフ 15種類
3位 株式会社スイドウサービス 10種類
2.要素の抽出
ここからは水道工事マグネットについてまとめる。
<共通要素>
おおよそ共通している要素を抽出すると下記の通りである。
①何であるか(何をどうするか)
②電話番号(24時間365日対応)
③事業者名(会社名)
④イメージキャラクター
⑤水道局指定工事店
⑥割引と割引番号
⑦カードOK
①何であるか(何をどうするか)
まず一番重要なのが、うちは何なのか?、うちは何をどうするのか?ということであり、それがマグネットデザインにおいて明示されている。
・何か=水道屋さん、水の救急隊
・何を=水のトラブル、つまり、水漏れ
・どうするか=おまかせください、迅速修理、即解決、緊急対応、修理
②電話番号(24時間365日対応)
これも重要な要素であり、はっきり書かれている。
意外と語呂合わせは見当たらなかった。
水道屋さんは全て24時間365日対応だった。
ちなみに、水道屋さん以外の引越しとか不用品回収とかは、受付時間が記載されていた。
我慢できるかどうかの違いだろう。
③事業者名(会社名)
会社名はあまり目立たせてないことが多い。
水で困ったときに電話してもらえればいいのだから、会社名自体はあまり目立たせる必要はないのだろう。
そもそも会社名が、水のトラブルと紐づかなくてピンとこないことが多い。
④イメージキャラクター(差別化)
実写かイラストのいずれか。
イメージキャラクターを設定することに、他社との差別化を図る意図が見受けられる。
また、顧客が求める要素が表現されていると感じたので、①の何であるかという要素を強化する効果があると考えられる。
・作業着着た人=信頼感の象徴。実際に来る作業員をイメージさせる。
・お客の女性=頼んでよかったわ~の象徴。安心感。
・キャラクター=マスコットキャラで会社を印象付ける。
・水漏れしてる蛇口やトイレのイラスト=対象としている状況の説明。
また、キャラクターではなく、マグネットの形状を非定形化することで、差別化を図ろうとするところもある。
(非定型例)
各社の特徴や違いの詳細は後述する。
⑤水道局指定工事店
そもそも水道工事は、自治体から指定を受けた工事店が行わなければいけないと水道法で決まっているようだ。
私たちが使用している上下水道を管理しているのは、各自治体の水道局や水道課だ。水道工事を行う場合は、その地域の水道管理をしている自治体から「水道局指定工事店」としてのお墨付きを得たうえで工事を行うことが、水道法により定められている。
もし、非指定業者に工事を依頼し施工を受けてしまったら、法に違反したということで最悪水道の給水を止められてしまう等のペナルティを受ける可能性があるのだ!ペナルティに関しては各自治体により違いがあるようだが、指定業者へ依頼することが施工トラブルの防止に一役買っていることは間違いないぞ!
(水漏れ修理水道屋さん比較隊――水道局指定工事店とはより)
⑥割引
大体2000円~3000円割引してくれるようだ。
5000円以上じゃなきゃだめとか、基本料金のぞくとか、小さく条件が書いてあることが多い。
あわせて、割引番号が記載されている場合が多い。
⑦カードOK
主に次の4社のロゴが記載されている。
VISA、JCB、マスターカード、アメリカン・エキスプレス。
ごくまれに、ダイナースクラブカードがあったりする。
Tポイントが貯まって使える場合が多い。
その他 取り扱いメーカー
TOTO、LIXIL、INAXなど。
意外と記載率は少なかった。
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およそ共通項はそんなところだろうか。
最低限これらの要素が入っているマグネットであれば、冷蔵庫マグネットとして成り立つ。
成り立つのだが・・・問題はデザインである。
すべてのマグネットが完璧にデザインされているかというと、そんなことはない。それってどうなの?とツッコミをいれたくてしょうがないのもあったりする。
でも、洗練されてなさとかもろもろ含めて、個性だなぁと愛しく思えてきてしまった。
というわけで、各社ごとに見ていこう。
3.各社ごとの違い
まず前提として、収集初期と比べると、近年のほうがデザイン的には洗練されてきている傾向はある。
もしくは過去のをアレンジしてきているな、というのもある。
逆に言えば、収集初期のほうが野暮ったさがあるのだ。
※注意 収集時期は、あくまでおおよそで把握しているものです。
厳密な時系列でいうと提示している変遷の流れと前後している可能性もあります。
<町の水道屋さん 株式会社イースマイル>
個人的に水道工事マグネット界の大手だと思っている1社だ。
うちにポスティングされたものの中では、最も種類数が多かった。
厳密ではないが、イメージキャラクターの変遷が見て取れるのがおもしろい。観測範囲においては、下記のようだ。
初期 → 松村邦弘期 → 上田悠介&松下由樹期 → ハローキティ期
・初期
パンダだ。「水」はちまきと赤マフラー。
電話番号も現在と違う。
・松村邦弘期
作業着を着て大きなスパナを持った松村邦弘さんと、お客の奥さんの柴田理恵さんのペア。
水道工事マグネットの概念がここにあると考えている。
特にふくよかな作業員のイメージ。
安心感とか頼りがいみたいな印象なのだろうか。
(派生するふくよかイメージ)
(もしかして最初がパンダだったから・・・・・・?)
※あくまで私見だ
・上田悠介&松下由樹期
ふくよかイメージを打ち立てたと思ったら、次のイメージキャラクターはスリムな上田悠介さんになった。
お客さんの奥さん役は、松下由樹さんに替わった。
柴田理恵さんは姑役だろうか?
これ興味深いのが、柴田理恵さんをずっと起用しているかと思えば、途中で外されることがある点だ。
(女性が違う人。名前記載なし)
(そもそも入ってない)
とはいえ、HPを見る限り3人がイメージキャラクターであるのは間違いないようだ。
・ハローキティ期
あるときからマグネットが、キティちゃんデザインに替わった。
それにより何が起きたかというと、他者と比べて明らかにファンシーさが加わったのだ。
(他社にないかわいさ)
要素割合も、
キティちゃん>水道屋さん≒会社社名≒電話番号>他
というバランスのマグネットになった。
考察すると、水道屋さんが概念化したことにより、キティちゃんとのコラボが可能になったのではないか。
まさにこれは大手のなせる技と言えよう。
<水の救急隊 株式会社クリアライフ>
うちにポスティングされた中で2番目に種類数が多かったのこちら。
イースマイルと比べると、まじめというか愚直に「ザ・水道工事マグネット」っていう作品を発表し続けている印象だ。
(もうマグネットを作品って言っちゃったよ)
さわやか作業員とお客の奥さんという鉄板の組み合わせか、作業員単体のものが多い。
こちらも作成数から言って、水道工事マグネットの概念化に貢献していると思われる。
冷マ観察における楽しみ方の1つとして、「差分の発見」がある。
ここのマグネットは、わりとそれが見て取れるのでおもしろい。
こちらはガッツポーズ差分。
上段・中断はよく見ると同じ写真を使いまわしている。
単体男性ものがあるのに、男性と女性がセットになっているのもあるということは、単体女性のものもあって、それと合成しているということだ。
その証拠に、中段の男性と女性の距離が異なっている。
そして、下段も同じガッツポーズだから同じ写真なのかと思ったら、これはこれで別撮りしたガッツポーズなのだ!
(おわかりいただけただろうか)
ちなみに、たまに作業車推しだったり、
初期のころはイラストだったり、
文字だけだったりというのもあった。
(成長したなぁって感じがする)
<株式会社スイドウサービス>
うちに届いた種類数第3位。
こちらはいろいろ試行錯誤しているようで、いろいろツッコミどころあっておもしろいのだ!
男性作業者。
これはまぁ他社と同じイメージ派生。(でも正直冴えない……)
テレアポ女性!
観測範囲において、テレアポ女性写真はこの会社だけである。
おそらく「女性スタッフが電話対応します。」というところを売りにしたいのだろうと推察される。
でもこれはちょっと違うんじゃないかな。
なんかすごくパチンコ屋っぽくなってるよ。
人物写真はやめてイラスト中心にデザインしているのもある。
これはまぁアリかなって感じ。
全てデザインが異なってるあたり、模索してる感が伝わってくる。
そして次からさらに迷走しだす。
まずこちら。
名前の記載がないけれど、水をモチーフにしたマスコットキャラをデザインされたのだと思われる。
まぁかわいい。
手に持ってるのが何かわからないけど。
魔女になった!
水要素どこ!?
手に持ってる杖っぽいやつだけ残したの?
魔女だけが消された!
「いつでもお気軽にお電話ください」という声だけが残されている……
(君がいたことは僕が覚えているよ……)
※注意 本章冒頭に記載の通り、この変遷の時系列が必ずしも正しいとは限りません。
ちなみに、共通要素の観点から言うと、やはりイメージキャラクターがいなくて文字だけだと、マグネットデザインとして印象がいまいち弱い気がする。
<水道救急センター 株式会社ライフサポート>
初期はよそのキャラクターを使用していたのが、最近ではパンダをイメージキャラクターに決めたようだ。
ちょっと「おっ」て思ったのが、上から2段目のデザインだ。
あえてキャラを出さず文字だけにしつつ、どこか高級感を漂わせている。
この感じは今まで他ではなかったなと。
しかし実際のところ、水道工事に高級感というイメージは必要なのだろうか。
<水道住宅修理センター 株式会社家善>
最初は作業着おじさんを採用していた。
形状も非定形。
横長はともかく、カレンダー付きって、はたしてどうなんだろうか。
こんなちっちゃいカレンダーなんて誰も見ないと思う。
ある日突然、おじさんじゃなくてヒヨコになった!
引き継がれたデザインはミドリ十字のヘルメット。
こうなると、なんとなく水道工事というより、工事全般って感じがしてくる。
<まごころ水道サービス 株式会社グローアス>
初期は特にキャラはなかったが、あるときからまさるくんというサルをイメージキャラクターにしたようだ。
帽子に「24時間」って書いてあるけど、デザインとしてこれでよいのだろうか。別にいいけど・・・・・・
ちなみに、HPに掲載されているまさるくんは、なぜかスパナとそれを持つ手が異様にリアルにリデザインされている。
<イーライフ水道サービス 株式会社イーライフグループ>
名前がなんか聞いたことある気がするのは、業界あるあるだと思う。
えっと、ね、猫?
もしかしてオブジェクトで描いたのかな?
帽子と服が白いから板前っぽく見える。
(google画像検索「板前」)
何かイメージキャラクターを作らねばと思って、がんばって作った感が伝わってくる。
そのうち新しいキャラデザできるのかなと思っていたけど、そんなことはなかった。
twitterアイコンもこれだったので、もうこの子でいくのだろう。
がんばれ!
<エバーリンクス株式会社>
ビーバーのほう、119番なのにパトカー来ちゃってるよ。
これらは横浜時代初期に収集されたもの。
形状が特徴的だが、それ以外のデザインをみると、ちょっと野暮ったい感じは否めない。
本章冒頭に書いたとおり、デザイン的には初期の冷マのほうが野暮ったさはある。
洗練に向かう成長過程って感じで、それはそれで良さがある。
<小ネタ>
ピンチで呼ぶのは救急なのか警察なのか問題。
・「施工件数業界第2位」をアピール。
・概念としての巨大スパナ(水道工事マグネットあるある)
周辺に描かれたリアル水滴。
(最初全然気づかなかった。このこだわりは何?)
4.水道工事以外のマグネット
割合的に少ないが、水道工事以外のものについても紹介したい。
<引越しと不用品回収 SKITTO!>
横浜時代に水道工事以外で一番多く収集されたもの。
「秘密厳守!」という売り文句があるのが“ならでは感”がある。
<ハウスクリーニング クリーンクルー>
クリンちゃん。
ただのかわいいうさぎじゃん!
「クリーニングと言ったらきれい、きれいと言ったら白い、白いと言ったらうさぎ!」みたいな連想ゲームでもしたのだろうか。
一応HPをのぞいてみたところ、
人型になっていた!!
<引越し ファミリー引越しセンター>
微妙な差分。
「不用品回収」と「低価格で勝負!!」、どっちも売りにしたかったのかなと思われる。
でも、文字多すぎて「引越」の2文字しか目に入りませんから!残念!
※おまけ<ネット広告 GMOアドマーケティング>
これだけ入手経路が特殊なやつだったので、集計に含めていない。
2019年1月19日に行われた、ウェブメディアびっくりセールで配布されていた、パロディ水道工事マグネットである。
パロディだけあって、ポイントが抑えられていてとてもすばらしい仕上がりだ。
5.最後に
いろいろ語ってしまったが、まだまだ気になることとか、調べたいこととかある。
(右上の数字って何だろうとか、どういう人がデザインしてるんだろうとか、そもそも冷マの文化っていつから発生したんだろうとか)
なので引き続き、収集と観察をしていきたいと思う。
今後も冷マとの出会い一つ一つを大切にしていきたい。
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※我が社のマグネットについて教えてあげるよ!とか、俺冷マについて詳しく知ってるよ!という方がいらしたら、ぜひお話聞かせてください!