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格差を超えて描く未来――ピケティが教えてくれる“日本の再起動”
皆さん、突然ですが「格差(ある集団や社会の中での、所得や資産などの大きな差)」という言葉を聞いたことはありますか? 昔の時代なら、「お金持ちはお金持ち、貧しい人は貧しい人、それが当たり前」という考え方が少なくなかったかもしれません。しかし今の社会では、「なるべくみんなが平等に幸せになれるといいよね」という空気が強まっています。とはいえ実際には、まだまだ格差が広がっていて「このままだと本当に大丈夫なの?」と感じている方も多いのではないでしょうか。
そんな中、フランスの経済学者トマ・ピケティさんが、大ベストセラーになった本『21世紀の資本』で提示した分析は世界中に衝撃を与えました。「r > g」という、パッと見では何やら数学っぽい式が出てきますが、要するに「資本(お金や資産)から生まれる利益の成長率のほうが、実際の経済成長率よりも高い傾向がある」という話です。そして、それが続くとどうなるか。単純に言えば「お金持ちがどんどん儲かり、中流や貧困層との間に、埋めがたい溝が生まれてしまう」というのです。
「え? でも日本は、ずっと比較的平等な社会って言われてきたんじゃないの?」と思う人もいるでしょう。かつて日本は“格差が小さい社会”として世界に評価されていました。でも最近では「ワーキングプア(正社員でも非正規社員でも、働いているのに生活が厳しい状態)」という言葉をよく耳にしますし、派遣社員やアルバイトをしてもなかなか給与が上がらない人々がいる反面、資産を持つ一部の人たちはインターネット株や不動産投資などで相当な利益を出しているという現実もあります。
本稿では、そんなトマ・ピケティさんの考え方を、ざっくりと日本人の日常に落とし込み、「もし僕たち私たちが、彼の提案を少しずつ取り入れたら、社会はどう変わるのか?」をイメージしてみたいと思います。ちょっと長い読み物ですが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
第1章:トマ・ピケティってどんな人?
まずは人物像から。トマ・ピケティさんは1971年生まれのフランス人。若くして経済学の世界で注目を浴び、現在も精力的に研究や執筆、講演を行っています。彼が世界的に有名になったきっかけは、なんと言っても『21世紀の資本』。この本で、18世紀以降の膨大な歴史データ(過去の経済成長率や資本収益率など)を分析し、「資本主義という仕組みは放っておくと格差が広がり続ける可能性が高い」と結論づけました。
もちろん、この結論に対しては「いやいや、そんな単純じゃないよ」という批判もあります。けれども大量のデータをもとにした彼の研究は、多くの人に「現代の格差はどこから来ているんだろう?」と真剣に考えさせるきっかけを与えたのです。
第2章:「r > g」って何がそんなにすごいの?
彼の考えを象徴する「r > g」とは、もう少し具体的に言えば「rは資本収益率、gは経済成長率を意味する」という式です。「資本収益率(資本から得られる利益の割合)」のほうが「経済成長率」よりも大きいとき、お金持ちの資産がどんどん膨らみやすくなります。
例えば「株を持っている人」が毎年5%の配当を得るとしましょう。一方で日本全体の経済成長率が毎年1%程度だとしたらどうでしょう。5%で増え続ける資産と1%でしか増えない全体のパイ。差は開いていきますよね。この差が長期的に積み重なると、持てる者(資産を持つ人)と持たざる者(資産を持たない人)の差がどんどん広がり、やがて社会が不安定になってしまうというのがピケティさんの警鐘です。
第3章:日本人が「ピケティ思想」を理解すると起こる変化
では、これを「普通に暮らす日本人」たちが学んで取り入れると、何が変わるでしょうか? 大きく分けて次のような点が考えられます。
「格差は仕方ない」ではなく、「格差をどこまで許すか?」を考えるようになる
日本人は昔から「みんなほどほどに平等がいいよね」と考える傾向が強いといわれています。しかし、実際には、たとえば相続などで受け継がれた財産を元に資産を増やせる人と、そうでない人の差が確かに存在します。ピケティさんの見方を取り入れると、「格差は当然ある程度は避けられないが、社会や制度をどう設計すれば、その格差を少しでも緩和できるか?」という発想を日常的にするようになるかもしれません。
「貧困対策」の必要性をより強く意識するようになる
日本は世界でもトップクラスの経済大国ですが、現代では子どもの貧困率やひとり親世帯の困窮、低賃金の非正規社員問題など、見過ごせない課題がたくさんあります。ピケティさんの研究が示すように、「資本を持っている人はどんどん有利になる」仕組みを放置すれば、格差はさらに開いてしまうでしょう。そこで、負担をどこに求めるか(税金をどうするか、教育をどう充実させるか)を話し合う土台が整いやすくなる可能性があります。
「お金」や「資産運用」への考え方が変わる
多くの日本人は貯金を銀行に預けるだけで運用に消極的な傾向が強いと言われてきました。しかしピケティの考えに触れて「資本収益率が大事」と知ると、「自分もリスクを取りながら少しずつ資産を増やさないとまずいかな?」と感じる人が増えるかもしれません。ただし、その結果、みんなが投資を始めたとしても格差問題が一気に解決するわけではありませんが、資産運用や税制に関する知識が高まること自体は、社会の成熟につながる部分もあるでしょう。
政策への関心が高まり、「再分配」への期待が生まれる
「再分配(富裕層から税金などを通して資金を集め、低所得者層へ回す仕組み)」と聞くと、すぐに「お金持ちをいじめる政策なんじゃないの?」と警戒心を持つ人もいます。けれどもピケティさんは、「富が偏りすぎると社会が不安定になり、長期的にはお金持ちだって不利になる」と主張します。こうした考え方が広がると、政治や税制にも興味を持ちやすくなり、「いったいどうやって格差を是正していくの?」と、具体的な政策に関わろうとする市民が増えるかもしれません。これは民主主義の強化にもつながります。
第4章:日本社会が抱える“格差の種”とは?
ところで日本には、すでに「格差が拡大している」と感じさせる多くの要素があると指摘されています。たとえば以下のようなものです。
相続格差
親から資産(とくに土地や家)を引き継ぐことができる人とできない人の差。日本は土地神話(昔は土地の価値がどんどん上がると信じられていたこと)があり、高度経済成長期に土地を買った世代が財産を持っている場合が多いです。今後、その資産が子や孫に渡ることで、結果的に貧富の差が固定化しやすくなる恐れがあります。
教育格差
家計に余裕がある家庭は、子どもを塾や私立学校に通わせられます。一方、経済的に苦しい家庭の子どもは、思うように教育を受けられない場合もあります。こうした教育の機会格差が、将来の収入格差にもつながっていきます。
就業形態の多様化と非正規雇用の拡大
日本では正社員と非正社員の格差が賃金や福利厚生などで大きいとされます。非正規社員で働く人が増えるほど、その人たちの収入は低く抑えられ、また賃金上昇のチャンスも限られがちです。
高齢化に伴う社会保障の問題
日本は先進国の中でも特に高齢化が急速に進んでいます。年金や医療費などを支えるための財源負担が増える一方、若い世代は将来の不安から貯蓄に回すなど、お金の流れが滞りやすくなっています。こうした構造も新たな格差を生むかもしれません。
ピケティさんの言う「r > g」の仕組みが、こうした日本の“もともとの格差の種”に作用するとどうなるでしょう? 富を増やせる人はさらに増やし、増やせない人は生活を維持するのに精一杯。努力しても家計に余裕がなく、投資やスキルアップのための資金が用意できない。結果的に、格差が深刻化してしまうリスクがあります。
第5章:ピケティさんが提案する「主な政策」と日本への応用
ピケティさんは、格差是正に向けていくつかの政策を提言しています。たとえば以下のようなものです。
累進課税の強化(所得が高い人ほど税率を高くする仕組み)
富裕税の導入(一定以上の資産を持つ人に追加課税する仕組み)
相続税の強化(大きな資産を受け継ぐときに、より高い税率をかける)
最低相続財産(すべての若者にベーシックな資金を支給するなど、スタートラインを保証する仕組み)
教育制度の改革(教育をより充実させ、誰もがより高いレベルの教育を受けられるようにする)
労働者の企業経営への参加(従業員が取締役会へ参加する枠を作るなど)
ベーシックインカム(すべての国民に無条件で一定額を支給する制度)
公的資金による選挙(政治腐敗を防ぐため、選挙資金を公費で支援する仕組み)
地球温暖化対策(環境問題は経済格差や貧困とも深く関わる)
これらを日本にそのまま導入するには、当然たくさんのハードルがあります。たとえば「富裕税」を入れようとすると、「海外へ逃げる人が増えるのでは?」といった問題が出てきたり、「経済活動が滞るのでは?」という心配も生まれます。相続税を強化しすぎれば、「家族が先祖代々の土地を守れなくなる」なんてこともあるかもしれません。
しかし一方で、「今のままほとんど手を打たず、格差が更に拡大していくリスク」と「制度改正の副作用による混乱」も天秤にかける必要があります。どちらがより社会全体にとってマシかは、国民全体の議論が必要でしょう。
第6章:ピケティ思想がもたらす「意識変化」のメリット
ピケティさんが語る政策は、すぐに日本が採用できるかどうかはさておき、大事なのは「いま社会でどんな不平等が起きているか」に、みんながもっと敏感になることです。意識変化のメリットは大きく分けると、次のようなものが挙げられます。
自己責任論だけで片づけなくなる
社会には「努力した人が報われるべき」「貧乏な人は努力不足」といった考え方が根強くあります。しかし実際には、相続や家の経済力の違いなど、自分では選べない環境要因が大きい。ピケティさんの研究は、「あなたのせいだけじゃない。社会の仕組みも原因なんだよ」と教えてくれます。
政治や税制への興味が高まる
格差を是正するには、税金や社会保障などの政策の話が不可欠です。「政治にはあまり興味がない」という人でも、「もしこのまま格差が広がったら、自分や子ども世代が不利になってしまう」となれば、選挙の争点に税制や教育が上がることを願うようになったり、投票時に政策をよくチェックするようになるでしょう。
連帯感が生まれやすくなる
格差問題を放置していると、貧しい人ほど生活が苦しくなり、人生を諦めたり犯罪に走ったりするリスクが高まります。一方、お金持ちがいくらお金を持っていても、治安が悪化したり社会の雰囲気がギスギスすれば、結局は安心して暮らせなくなる。すると富裕層も良い暮らしを維持しづらくなる。こういう情報を共有すると、「やっぱり適度に格差を抑えて、みんながある程度豊かになる社会を目指したほうがお互いに得だよね」という連帯感が育ちやすくなります。
第7章:具体的に考える「もしピケティ流の制度を導入したら?」
仮に日本が思い切って「富裕税」を導入し、ある一定額以上の資産を持つ人に毎年1%ほど課税するとしたらどうなるでしょうか?
富裕層の反発が起きるかもしれません。海外移住を検討したり、資産を隠そうとする人もいるかもしれません。
しかし同時に、税収が増えることで教育や福祉を手厚くしやすくなるかもしれません。子ども食堂や奨学金制度、公立学校の教育環境改善などに使えれば、長い目で見て社会の底上げにつながる可能性があります。
また、日本では相続税がすでに世界的に見ても高い水準と言われていますが、仮にそこからさらに一部の超富裕層の相続に対して税率を引き上げたらどうなるか。親から子へ巨額の資産が渡ることが減り、遺産の一部が社会に還元される形になるかもしれません。
これらはあくまで一例で、やり方を間違えれば「企業活動がしぼんで雇用が減ってしまう」「海外資本との競争に負ける」など、いろいろな副作用が予想されます。つまり、ピケティ流の政策は「やれば万事解決!」という魔法ではないのです。むしろ、痛みや混乱を伴いかねない。しかし、その「痛みを取るか、ますます広がる格差を取るか」の選択こそ、私たちが直面する現代の政治課題の本質とも言えます。
第8章:ピケティに学ぶ「教育投資」の重要性
ピケティさんの提言の中でも「教育」を重視している点は見逃せません。日本でも「教育予算をもっと増やすべき」という声は以前からありますが、まだまだ充分とは言えません。もし国が本腰を入れて教育投資を大幅に増やせば、経済成長に貢献する人材が育ち、結果として社会に還元されるメリットが大きいはずです。
具体的には、奨学金の充実や、大学だけでなく職業訓練校・専門学校にも手厚い支援をすることで、多様なスキルを身に付ける人が増えます。また、高校教育の無償化をさらに進めたり、オンライン学習のシステムを充実させたりすることで、どこに住んでいても質の高い教育を受けやすくなるでしょう。こうした教育の機会を整備することは、いわば「未来への投資(将来の成長やイノベーションにつながる支出)」と言えます。
第9章:日本における「働き方」と格差是正
日本では、会社員として長時間働き続けることが当たり前という文化が根強い一方、企業によっては非正規社員が増えていて、長時間働いても収入が上がらないケースも少なくありません。ピケティの視点から見ると、「格差を生む働き方」が構造的に存在していると言えます。
同一労働同一賃金(同じ仕事をしているならば、雇用形態が異なっても同じ賃金を支払うべきという考え方)
企業内での労働組合や従業員参加の拡充
最低賃金の適切な引き上げ
こういった取り組みは欧州の一部では進んでいる事例がありますが、日本ではまだまだ十分ではありません。もしピケティ的な「労働者の声を企業経営に反映させる」制度が整えば、従業員の待遇改善が進み、結果的には消費も増えて景気が上向くかもしれません。
第10章:格差を考えるうえで大切な「やさしさ」と「想像力」
さて、ここまでピケティの研究や思想、日本への応用例についてお話ししてきましたが、根底にあるのは「やさしさ」や「想像力」です。自分が運良く資産を持つ家に生まれた人もいれば、そうでない人もいます。才能に恵まれてしっかり稼げる人もいれば、病気や障がい、家庭環境の事情で思うように働けない人もいます。長時間労働による過労死ラインの問題や、老後の不安も社会的な課題として挙がっています。
もし一人ひとりが「自分にとって都合がいいだけでなく、他の人も報われる社会のほうが暮らしやすいかもしれない」と考えられれば、格差問題は単なる「金持ち vs. 貧乏人」の対立ではなく、「社会全体でサポートし合う」という大きな視点に変わっていく可能性があります。
第11章:批判を踏まえ、ピケティをどう活かすか?
もちろん、ピケティさんの研究には批判もあります。
データの信頼性:歴史的な統計には欠損や推定値が多く、どこまで正確かは疑問がある。
理論の単純化:「r > g」という式で説明しきれない多くの要因がある。
政策提言の実現性:富裕税を導入しても資本逃避が起きるなど、実行が難しい面がある。
しかし、こうした批判自体は研究者としては当たり前です。大切なのは、批判をきちんと理解したうえで、「じゃあ、社会はどうするべきか?」を考え続けること。日本社会でも、経済停滞や格差の広がりが目に見えている以上、手をこまねいているわけにはいきません。「ピケティの主張は多少極端なところもあるが、格差に対してこういう警鐘を鳴らしてくれたのは大事だ」と前向きに捉えて、議論の材料にしていくのが重要です。
第12章:もしピケティを日本人が本当に受け入れたら?
最後に、「もし日本人が本気でピケティの考えを受け入れ、社会制度や意識改革を進めたら、どんな未来が待っているのか?」を少し空想してみましょう。
税制が大きく変わり、高所得者ほど負担が増える社会になるかもしれません。
その代わり、教育や医療、福祉、子育て支援などが手厚くなり、老後や病気の不安が軽減される可能性があります。
最低相続財産やベーシックインカム的な制度が実現すれば、若者が起業や勉強、自己実現に挑戦しやすくなるかもしれません。
ただしその財源をどう確保するかが最大の課題です。
「働き方改革」がさらに進み、非正規と正規の格差が少なくなれば、安心して働ける人が増えるでしょう。
企業は短期的なコスト増加で苦しいかもしれませんが、長期的には消費やイノベーションが起きやすくなるメリットも考えられます。
こうした社会像を「理想的すぎる」と感じる人もいるでしょう。実際、ピケティさんの政策提言を世界各国がそっくりそのまま実施したという話はまだありません。けれど、世界規模で「格差を放置するのはまずい」という意識が高まっているのも事実です。
日本人としては、「平等」という価値観を大事にする気質がある一方、「富裕層を批判するのはやりたくない」「なるべく波風立てずに解決したい」と思う人が多いのも現実かもしれません。だからこそ、冷静にデータを見ながら、少しずつ格差対策をすすめていくことが重要です。
第13章:まとめ 〜「格差を放置しない」ことは、みんなの未来を守ること〜
長い文章を読んでいただきありがとうございます。ここで、ピケティさんの考え方が日本の社会に与える可能性を、もう一度まとめてみましょう。
格差の構造を歴史的なデータであぶり出し、「このままでいいの?」と問いかけてくれた
資本主義を疑うというより、放置すれば格差が拡大してしまう危険性を教えてくれた
日本社会においても、相続、教育、雇用など多方面で格差が広がる可能性があることを認識させてくれる
累進課税や富裕税などの議論の機運を高めることで、民主主義の下で市民がどう判断すべきか考えるきっかけを与える
「貧困は自己責任論で終わらせるものではなく、社会全体でサポートすることがみんなのメリットになる」という発想を促す
ピケティさんの分析を受け入れることで、私たちは「何かを変えなきゃ」という気持ちを共有しやすくなるでしょう。格差を是正するためには、人によっては負担が増えるかもしれません。しかし、それは長い目で見れば「みんなが安心して暮らせる社会」を作るための投資なのかもしれません。
社会が不安定化し、治安が悪くなったり、政治が混乱したりすれば、富裕層含めて誰も得をしません。経済学というと難しく感じるかもしれませんが、要は「みんなで幸せになる仕組みをどうやって作るか?」という、とても大切なテーマなのです。
【あとがき】メタ認知の観点から振り返り
ここまでのコラムを書きながら、私自身も「ピケティさんの話って、改めて考えるとものすごく根本的なテーマだな」と再認識しました。私たちが暮らす社会では、努力だけではどうにもならない部分がある。家庭環境、生まれた時代や地域、運やタイミングなど、「自分の意思ではコントロールしにくい事情」がたくさんあるからです。
でも、そうした不公平感を少しでも減らすために、人類は税制や社会保障を整え、教育を充実させてきました。ピケティさんの言う「r > g」の議論は「もう一度、その仕組みをアップデートしないと、格差はますます広がるよ」と背中を押してくれるものでもあります。
もちろん、批判や反論も踏まえないと、「単純に増税すればいいんだ!」と乱暴な結論に走ってしまうリスクはあります。大事なのは、データを踏まえつつ、自分たちの社会の未来像をじっくり議論し、制度を少しずつ磨き続けることだと思います。
このコラムを読んで、「なるほど、ピケティってやっぱりただの過激な学者じゃなくて、ちゃんと歴史的データを分析したうえで人々に問題提起しているんだな」というのが伝わったら嬉しいです。そして、もし興味が湧いたら、ぜひ『21世紀の資本』や『資本とイデオロギー』などを手に取ってみてください。分厚くて難しそうに見えますが、途中まで読んだだけでも「へぇ、こんなデータがあるのか!」と驚くはずです。
いつか皆さんが、家族や友人、職場の仲間と「格差の話」を気軽にできるようになれば、きっとそれは社会にとってすごくプラスになると思います。バラバラに「これは自己責任」「あれは仕方ない」で終わらせるのではなく、助け合いや再分配についても検討していける空気ができれば、「日本って住みやすいよね」って未来の子どもたちが胸を張って言える国になるのではないでしょうか。
皆さんの生活や考え方に、ちょっとでも「ピケティ風の視点」を取り入れてみたら、どんな小さな変化が起こるか、ぜひ楽しみにしてみてください。
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