胸郭から考える肩関節の理学療法
どうも肩関節機能研究会の郷間です。
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肩関節を診ていくうえで必要な胸郭の基本的な機能解剖、肩関節との関連、介入の一方法をご紹介していきたいと思います。
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ということでいきなり胸郭の機能解剖についてお話していきたいところではありますが、なぜ肩関節に胸郭が重要なのかという2つの結びつきからお話ししていきたいと思います^^
肩関節と胸郭の結びつき
肩甲上腕関節は、体幹中枢に近い位置にある球関節であり、股関節と同様の重要性があります。
ただし、2つの関節の決定的な違いは、股関節が荷重関節であるのに対して、肩甲上腕関節は非荷重関節であることです。
そのため、股関節は臼蓋が大きく骨頭を覆っているのに対し、肩甲上腕関節の関節窩は骨頭の表面積の5分の1しかなく、非常に小さくなっています。また、股関節の臼蓋は最も安定性のある骨盤の一部であるのに対して、肩関節の関節窩は胸郭の上を動く不安定な肩甲骨の一部です。
さらに、上肢(上肢帯)が胸郭(体幹)と骨で連結されているのは、鎖骨だけです。
胸鎖関節は胸骨と鎖骨で構成され、肩鎖関節は鎖骨と肩甲骨で構成されています。これらの関節の運動によって、肩甲胸郭関節が生じ、上肢の動きは胸郭(体幹)の形状や周囲筋の筋機能に大きく依存しています。つまり、上肢の運動には胸郭(体幹)が不可欠であることがわかります。
では、姿勢や胸郭・体幹の機能、筋機能が破綻した場合、どのような障害が起きるのでしょうか?
肩峰下滑液包炎、肩腱板炎、腱板断裂など、種々の肩関節疾患が生じうることは容易に想像できます。
ではここからは肩関節疾患と胸椎(脊椎)の関係についていくつかの例を挙げていきたいと思います。
肩関節疾患と胸椎(脊椎)の関係
肩峰下インピンジメントと胸椎の関係
肩峰下インピンジメントは、肩関節の後下方軟部組織のタイトネスだけが原因とは限りません。
肩峰下インピンジメントには胸部姿勢や自動胸椎伸展角度との関連も強いとという報告もあります。
例えば、左側のModified cobb angleをみてみましょう。
レントゲン画像からみた座位時のTh1とTh10を結んで成す角度が、コントロール群(インピンジメントが無い群)に比べてインピンジメント群の角度が大きい、つまり胸椎の後弯角が大きいことがわかります。
また、右側の自動で胸椎を伸展し、その胸椎傾斜角を測定した結果も、コントロール群と比較してインピンジメント群では角度が大きいことわかります。
つまり肩峰下インピンジメント患者は胸椎後弯が大きく、胸部伸展が小さいため、不良姿勢がインピンジメントに関与することが考えられます。
また、山本らの報告では、自然立位姿勢においてもインピンジメントのみならず腱板断裂との関連があるといわれています。
不良姿勢と腱板断裂の関係性を検討した研究では、80歳以上の男女において、胸腰椎の後弯姿勢が腱板断裂との相関関係があったと報告しています
これらに関しては、時間をかけて生じた不良姿勢でもあり、数回の指導で改善するようなものではないことはわかっています。しかし姿勢という多角的な視野も広げつつ、局所である肩甲上腕関節に対する介入も忘れてはいけないことがわかりますね。
肩は肩だけみても治せません。
ということで肩関節疾患と脊椎の関係を理解したところで、そもそも胸郭とはどういったものなのか?
諸家の報告や機能解剖学的観点から解説していきたいと思います。
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胸郭(胸部)とは
胸部は頸椎や腰椎と比較して、関連する関節の数やバイオメカニクスの複雑さから「沈黙の貢献者」、「シンデレラ領域」などと称されています。
確かに胸椎が「なんとなく重要な部分」と感じる人も多いかもしれませんが、隣接する頸椎、肩関節、腰椎の疾患に比べて、症例数や疫学調査の数はが圧倒的に少ないのは事実です。
しかし数も、疫学調査の数も少ないのは事実です。しかし、胸椎の問題が他の部位に影響を与えることは容易に推察できます。これらのことから、他領域に影響を与えることは容易に推察できます。
胸郭の機能分類
胸郭を機能分類の観点から理解することは胸郭の病態運動を捉えるうえで重要となります。
では実際にこちらの胸郭運動を3パターンに分けて考えていきましょう。
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