こんにちは、肩関節機能研究会の郷間です。
肩関節疾患、特に腱板断裂の診断と治療に悩まれている 方は少なくないでしょう。
日々の臨床で、こんな疑問や課題はありませんか?
MRI画像の読影に自信が持てない
症候性と無症候性の腱板断裂の違いがわかりづらい
最適な治療法の選択に迷う
患者さんへの説明が難しいと感じる
本記事では、これらの疑問に答えるべく、腱板断裂におけるMRI診断の最新知見と臨床応用について、詳しくお伝えします。
この記事を読み終えた頃には
この記事の内容は、7月25日(木)に開催する「科学的根拠に基づく 腱板断裂治療の最前線」ウェブセミナーの一部となる予定でした。
セミナー準備の過程で、予想以上に多くの重要な情報が集まったため、その一部をこの記事で公開することにしました。
セミナーでは、腱板についてさらに掘り下げ、評価から治療戦略まで、詳しく解説する予定です。この記事に興味を持った方は、ぜひセミナーにご参加ください。
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■腱板断裂の割合-症候性と無症候性-
腱板断裂に起因する肩の痛みは、米国では年間450万人の患者の受診と25万件の手術が行われています。
しかし、多くの腱板断裂は無症状(無症候性腱板断裂)であるため、実際の有病率は不明なところが多いです。
また、MRIや超音波を用いた研究でも、その結果(有病率)はさまざまです。
Sherらは、MRIによる断裂の全有病率は34%であると報告しています。
Templehofらは、超音波を用いて無症状の患者を評価した中で、腱板断裂の有病率は23%であり、80歳以上の高齢者では51%に増加したと報告しています。
また、山口ら は、症候性腱板断裂患者の割合は、年齢が高くなるにつれて増加することを報告しています。また、症候性腱板断裂がある場合、無症候性腱板断裂の確率は35%であり、66歳以上では50%に増加することも明らかになっています。
■MRI vs US
超音波は腱板断裂の評価において、従来のMRIに匹敵する感度と特異度が検出されていますが、MRIは関節軟骨や関節唇をより正確に評価するなど、肩甲上腕関節の包括的な評価を可能にしています。
つまり、感度、特異度はMRIも超音波も精度はほとんど変わらない。しかし、簡便かつ低コストでみたいならUS、全体的な組織もみたいならMRIに軍配が上がる。そのようなイメージを持っていただければよいと思います。
■腱板断裂の原因
腱板断裂と最も関連しているのは、年齢です。
ほかにも、利き手、高コレステロール、ニコチン、外傷歴、遺伝、これらもすべて腱板断裂リスクの増加と相関、または強く関与していると報告されています。
■内因性理論と外因性理論
内在性理論は1934年に提唱され、加齢に伴う腱の摩耗に慢性的な微小外傷が重なった結果、部分的な断裂が生じ、それが腱板の断裂に発展するというものです。
外因性理論は1972年に提唱され、腱板断裂の根本的な原因には外因性、つまり肩峰下インピンジメントが存在するとされています。
そして、近年では腱板疾患の原因は、内因性と外因性の両方が腱の損傷に寄与している多因子性であると考えられています。
■腱板筋群の特徴