ノーナレ
この間のNHKのノーナレは、引きこもりの男性の話だった。
最初から最後まで見て、大いに頷けるところもあったし、違うなと思うところもあった。
それでも、やはり引きこもりに至るきっかけは、往々にして親の考え方が影響している部分が大きくて、それを取り戻すには月日が経ち過ぎているという事に尽きるような内容だった…。
多分、引きこもっていた男性もとても繊細な人なのだろう。もしかしたら、HSP気質の方なのかもしれない。うつ病とパニック障害を抱えているらしい様子は、多分親にぶつかっても理解されない部分が多く二次障害的なもので併発しているように思えた。
父親の存在というものが、ひきこもりする人にとってとても重要な部分が多いと思う。
父親不在だったり、父親の関白宣言だったり、父親の過干渉だったり……。ひきこもる人の親を見た時に、父親が教師だったり自衛隊だったり警察官だったり高学歴エリートだったりすると、子供は父親の影響を受けやすい。
父親が子供に与える影響は多大であり、時として目標になるが繊細な子供には萎縮するだけの要因になる。
大抵上から押さえつけるような父親は、家庭でも妻に対して関白な態度をとっていて、それが子供にも影響を与える。
父親の妻という母を見て育つ繊細な子供は、多かれ少なかれ影響を受けて育ってしまう。
ノーナレの男性は、父親に否定され続けていて、苦しそうだった。父親世代はモーレツに働いていれば、家庭を顧みなくてもよい時代だったとはいえ、家庭を子供を見ないままに年をとってしまい、父親として子供に向き合ってきていない事が子供を苦しめている。
昭和の高度成長期を支えた世代は、精神病というものに過剰反応して、病院に行きたいという息子を否定した。
あの頃病院に行けていたらもっと楽になっただろうに、と告げる男性の言葉が、見ていて切なかった。今よりも精神科の受診は敷居が高く、70代の世代はきっと世間体を気にして息子が精神科へと行きたいというのを否定してしまったのだろう。
年老いた父親と対峙して、質問をする男性の場面。父親は自分を取り繕う言葉ばかりだった。男性が本音で父親に聞いているのに、どこか頑なな年老いた父親の言葉。自分が悪かったと言って、父親は泣いたが、引きこもっている男性の心は晴れないだろう。
父親はきっと変わらない。年老いた親の考えを変える事はもう諦めた方がいい。父親の呪縛からあの男性は早く逃れて、もっと自分と自分を大事にしてくれる人達に目を向けた方がいいと思う。
同じような引きこもりだが、みんなそれぞれの事情がある。だが、根本は同じ。親という大きな重しにあがく、いつまでも子供という大人。
なかなか切ない番組であった。