成長を焦り伸び悩む25歳ルーキーを変えた「経験値3倍のメソッド」 #社会人1年目の私へ
内定0、いわゆる「無い内定」のまま悔しさを抱え大学を卒業した2011年。
就職氷河期まっただ中だった当時、なんとか働き口を見つけた先がブラック企業で、耐えられずあえなく退職するか、ジッと耐えつつも心身を蝕まれるか、みたいな悲しみを抱える人が少なくありませんでした。
「無理やり就職してもハッピーになれない」と考えた僕は、既卒就活戦線に挑むことなくフリーターへの道を選びます。
◼︎成長を焦り伸び悩む25歳ルーキー
フリーター歴は約2年。なので正社員としての社会人1年目を迎えたのは、25歳になる年でした。
自分で選んだ道をマイペースに進んでいた、といえば聞こえはいいのですが、同年代の方々と比べて職歴もスキルも劣るため、悔しさや焦燥感があったのも事実です。
とにかく経験を積みたい一心で、さまざまな案件を「はい、やります」の二つ返事で担い、毎日のように終電近くまで働いていました。スタートアップでハードワークすることこそが何よりの近道だと信じていたからです。
しかし、この成長をはやる気持ちが、かえって伸び悩みを招いてしまいました。
朝起きて仕事行って帰って寝て起きて……を繰り返すタスク実行マシーンになった僕は、インプットする時間も、自身の仕事を振り返る時間も作れるはずがありません。
すると、仕事に慣れはしてもスキルが洗練されるはずもなく、当初期待していたような成長はできなかったんです。
サッカーに例えます。目の前にあるボールをひたすらゴールマウスに向かって打つだけの毎日。「シュートコースをどうするか?」「実際に打ったシュートはどうだったか」を考えることなく無心かつ無策でシュートを打っているだけ。
蹴り方のコツは覚えられても、「得点を決める感覚」は掴めないまま時間が過ぎていく。そんな状態でした。
◼︎模擬戦・実戦・感想戦による「経験値3倍のメソッド」
でも安心してください。ちゃんと脱却します。
伸び悩んでいた当時の僕に向かって、以下のようなことを伝えたいです。
・実戦を詰め込めば詰め込むほど、かえって成長は鈍化する
・実戦前に「模擬戦」、実戦後に「感想戦」を行うことで経験値は3倍になる
・詰め込むことなく、1度の実戦に対し「3倍の余白」を用意する
シンプルにいうと、「Do」ではなく「PDCAサイクル」で捉えよう、そのためにゆとりを持とう、ということです。
模擬戦(P)によってイメージを膨らませてから実戦(D)に移る。模擬戦と実戦の差分を感想戦で検証し(C)、次の戦いに生かす(A)。
これは、単純にスキルや思考が洗練されるだけでなく、多くの経験値が得られることにもメリットがあります。1度の実戦に見えても、「模擬戦」「感想戦」を加えた3度の戦を経験することになるからです。単純計算で3倍の経験値が得られるわけですね。
仮に、「経験値3倍のメソッド」と名付けましょう。
もちろん時間は無限ではありません。「模擬戦」と「感想戦」を行うための時間も必要なので、詰め込み型ではなく意識的に「余白」を作っていく必要があります。せっかちな僕だからこそ、1度の実戦に対し、3倍の余白と考えるくらいでちょうど良いはずです。
ちなみに、このPDCAサイクルがベースとしてあるのであれば、心身の健康やインプットとトレードオフにならない程度に「詰め込み型」で挑むのも良いと思います。サンプル数が増え効果測定の質も上がります。イメージとしては「PDCA」というより「PDDDCA」くらいのバランスですかね。
◼︎「経験値3倍のメソッド」具体例
現在の僕は主に編集業務を担っていますが、例えばこんな風に「経験値3倍のメソッド」を実践しています。
□ 模擬戦
・コンテンツ企画のフレームワーク化
・骨子を固めつつ原稿完成イメージを持つ
・必要に応じて、身近の有識者に骨子のレビュー、フィードバックをもらう
□ 実戦
・骨子をもとに原稿作成、または寄稿依頼
・必要に応じて、身近の有識者に原稿のレビュー、フィードバックをもらう
□ 感想戦
・想定と実際の原稿の差分をチェック
・アナリティクス情報で定量的反響をチェック
・SNS等で定性的反響をチェック
※ 例は一部です
もちろん、全てを常時徹底できるわけではないのですが、ぜひ試してみてください。結構簡単に見えて、意外にも、誰でも継続できるわけではないようです。シンプルなことを継続できるのが、現在の僕のひとつの強みになっています。
◼︎おわりに
30歳になった今の僕は、まだまだ発展途上ではあるものの、毎月数十万人の目に触れる一端のメディアで編集長を担っています。無い内定、そしてフリーターからキャリアをスタートしたあの僕が、です。
茨の道に見えても、回り道に思えても、胸を張って歩んでください。
幾多の遠回りが、今の幸せな日々に繋がる道のりになったから。