インターネット羊は藍月なくるの夢を見ている
藍月なくるの1stワンマンライブ『クラリムステラ』は熱狂的な歓声に包まれながら幕を閉じた。さらに今月のらぷりツアー、GREEによる新プロジェクト、そして夏の2ndライブと、その勢いはとどまるところを知らない。
しかし、一方で、僕はこれまで一度も「藍月なくる大きくなったなぁ」と感じたことがない。
ずっとずっと、藍月なくるという夢を見続けてきた。
藍月なくるをいつから推していたかなんてことはたわいもない世間話にもならないくらいのどうでもいいような話だが、それでも、僕がいつから藍月なくるにトクベツな輝きを感じていたかと言うと、これは確信を持って言えるが、最初に声を聴いた瞬間から感じていた。
ちなみにこのハルヒ序文パロは老人ホームのテストに出る。
これは何も、僕に原石を見つける先見の明があったとか、運命的なシンパシーで惹かれたとか、そういう話ではない。ニコニコ動画、こえ部、M3、DLsite。歌ってみた、同人オリジナル楽曲、シチュエーションボイス、ボイスドラマ。これらのかわいいボイスインターネットの沼にどっぷり浸かっていたオタクは全員、藍月なくるが既に光り輝くダイヤモンドであることに早々に気づいていた。たとえばWBCで大谷翔平を推し始めた野球少年だって、もっと早く生まれていれば高校時代の大谷翔平がスゴいことに気づいていただろうし、これはそういう話だ。
実際2015年には、音声作品で言えば浅見ゆいさんとのダブルキャストが豪華な『君と君に愛されて』やProject E.L.Cきっての問題作と名高い『夏に君の膝枕』が発売され、歌ってみたでたくさんのかわいいボイス歌い手とコラボして導線がバッチリあり、ググれば『トコロクラニスト』が見つかる。
そして2015年末から2016年に掛けて名盤『Nacollection!』『Horizon Note』をリリースする一方で、とみみ庵による耳かき動画、通称「炭酸ちゃん」が累計1000万再生を超える耳かき動画史上最大の大ブレイクを果たし、音楽と演技の二刀流で伝説となった。今や大手VTuberやブルーアーカイブがASMRをやる時代だからピンと来ないかもしれないが、当時は全年齢音声作品が年間200本しか発売されていないような規模感で、炭酸ちゃんは本当に音声作品史の記録と記憶に決定的な影響を与えた。
これはもう、こちらから星屑みたいな無数の未来から藍月なくるを見つけたという次元の話ではない。僕たちは、水平線の向こうから突如として現れ空一面と海面を眩く照らしあげた彗星を目撃したに過ぎなかった。
2017年以降は……もう説明するまでもないだろう。
僕たちは何者でもないレプリカの少女を藍月なくると呼んで積み木を積むように育ててきたわけじゃない。もしあの日ニコニコ動画を開いていなかったとしても、かわいいボイスインターネットの海にいれば、どこかで出会い、恋焦がれ、深海に引きずりこまれるのは必然だった。藍月なくるは知らないかもしれないが、僕が見てきた藍月なくるは始めからホンモノの藍月なくるだった。
というポエムはここで終わりで、あとはライブ最高だったという話をします!
セトリ事前予想
会場
市川文化会館、10年前くらいに演奏しに来たことあるな~と思いながら物販へ。普通の市民ホールっぽい名前なのに、どの席も見やすくて最高なんですよね。
ガチャ列の回転が良く、階段の上まで並んでいたのに10-15分くらいで1周できました。20連で揃ったので近くのジョナサンで4時間くらい読書。こういう時Kindle Oasisが便利なんです。
ライブ
Azura Luno
「藍月」という曲名に、歌詞でも「なくる」が繰り返され、神話的存在の「私」が歌を紡ぐ物語曲。
概念を再現した衣装を纏い登場してワンマン一発目に歌う曲に相応しい、まさに藍月なくるモチーフ曲ですね。
セトリ予想的には、入れていた人は多かったと思いますが、自分含めて終盤予想だった人が多い?
本曲は『なこれ3』の1曲目で、作曲はRD-Soundsさん。らぷりだと『それは世界を越えて』や『來人具惨』でお馴染みで、ストーリー性の高い美しい曲が見事ですよね~。好きです。
Cosmodiver
『なこれ4』1曲目より、作曲かそかそ作詞いつきの、「2023年の藍月なくるらしい」一曲。
荘厳なAzura Lunoに対してこちらはライブらしい盛り上げ曲でした。
MCでも言っていましたが、(立つの?座るの?)感が面白かったです。
僕は最後尾だったら立っていたかもしれませんが、前の方だったので立ちませんでした(前が立つと後ろの人が見えなくなって後ろも立たざるを得なくなりますし、身長差によっては後ろの女性たちは立っても見えなくなる可能性があるため)
その後、座ってほしい曲と立ってほしい曲が明確になってみんなハッピーになって良かったです。
コトノハ
『なこれ』からこれも1曲目、sky_deltaさん作詞作曲の、えんどる以前曲ですね。思い入れの強い人も多く、早速感極まっているオタクたちがいて良かったです。
セトリ予想的には手のひらの上でした。「replicaから全曲聴いてから最後のクラリムステラ聴けよ?」ってことだったんでしょうか。
追想のラグナロク(Ver 藍月なくる)
しっとり枠2曲目は、佐高陵平さん作曲、いつきんくる作詞、グシミヤギさん編曲の、一二三曲。
2人verの生歌はリリイベで聴きましたが、ソロverはやっぱり完全に雰囲気が別曲ですね。藍月なくるテイスト。
Oxydlate
『Transpain』からこれも1曲目。Feryquitous曲も候補多いですがセトリ予想だと『Oxydlate』『Evil Bubble』『逆沙華』『トワイライト』(+BGM用インスト)から2曲くらい挙げていた人が多かったと思うので、聴きたいところを聴けて満足って感じですかね。
2ndで『Monodrate』来るか!?という期待も高まります。
Horizon Note
\パンッ/ヨッシャアアアアアアアアアアアアwwwwwwwwwwwwww(高い声で)キタァwwwwwwwwwwウワァヤッタアアアwwwwwwwwwwwwwwwww
会場も「でるたさん結婚してくれー!」と大盛り上がりでした。
花残り、蕾ひとつ
ここで!?!??!??
ホラノの次に置くのは予想外で、セトリの妙にひっくり返りました。我に返った時には持っていたペンライトが緑色に変わっていました。
『Horizon Note』が”始点”で『Horizon Claire』が”終点”だとしたら、『花残り、蕾ひとつ』は”新たな始点”です。前後半構成にして後半の最初に置くか、あえて最後に置くか、いっそのことCOLOURSは2ndライブに取っておくか。その辺りが選択肢かと思っていましたが、まさかの2曲目。
どうなるえんどるパート!
彗星のパラソル
これも「ここで!?!?」となりました。CDでは『Horizon Claire』の直前に置かれた、旅の最後の直前らしい内省的な歌詞の曲なので、歌うとしたらそういう位置かなと思っていました。
しかしEndorfin.の旅路の思い出をあらためて再走するのではなく、このライブの中で新しい体験を再構築するような、そんなセトリ構成になっているのだということが分かってきました。
うーん何度聴いても歌詞が良すぎです……。
spica
そういうことなんですよね。
この構成をセトリ予想できた人は誰もいない予想外の構成なのに、4曲通して聴くと上手く流れができています。
最高曲揃いの『Horizon Note』の中でこの曲も思い入れがある人が多く、Endorfin.パート最高~~!!って感じでした。いや~しかしまだまだ聴き足りませんね。全曲ライブで聴きたい~。
Indigrotto(概念)
(こんな休憩の方法があるんだ)
Evil Bubble
『Transpain』から、なこYoutubeチャンネルで1番再生回数が多く、藍月なくる×Feryquitousの感情の重い曲路線を代表する曲の1つですね。2021年1月に公開されたという意味でも「21年以降の藍月なくるへの転換を象徴する楽曲群」の1つと評価されることも多いです。
会場に重く低音が響くのもライブ向きで、セトリ予想でもえんどるパートが終わった後半1, 2曲目にドンピシャで入れている人が多かった印象です。ちなみに僕は入れてませんでした。いやほら、ソロライブリクエストで1位以外の曲はやらないのかという思い込みが……。
Lilith
『なこれ3』からセクシー枠。ライブならではの演出がめちゃめちゃ効いていて、ディレイ配信で何度も観たいです。これセトリ予想してた人は大体ダンサー付きパート込みの予想だったかなというくらい、withなつゆずダンスが合いますね。
ダンサー付きで映えそうな曲は他にもなこれ2の『その名はRendezvous』(かわいい)とか『ジョーカー・パレード』(かっこいい)とかありますし、2ndもダンス楽しみです。『Monochrome Butterfly』ダンス観たすぎ。
逆沙華
『ミシュメリア』からは『逆沙華』だと思っていました。
理由:ペ ン ラ イ ト 赤 色 だ か ら。
ほら、COLOURS以外基本的にペンライト青色でたまに白色くらいが多そうだから、ここらで会場を赤色に染めたくなるかなと……。
実際どうなんでしょうか。セトリ組む際にペンライト考慮があったのでしょうか。殺意エリア構築されたのでこの付近は全体的に暖色でしたね。
Killer neuron
『Indigrotto』から、「ソロライブリクエストで1位以外の曲はやらないなんて言いましたか?ほよ?」シリーズ。今回のセトリだと唯一のなこ作詞曲ですね。
そういえばこの曲の作曲は『追想のラグナロク』同様に佐高陵平さんなのですが、y0c1eさんの別名義なのがいまだに不思議な感じがあります。y0c1eさんと言えば同人曲も商業曲(e.g. ぼなぺてぃーと♡S)も可愛い曲のイメージで、直近でも昨年秋M3にもy0c1eさん名義でななひーに可愛い曲を提供していますし……。名義変更したわけではなく、曲調で名義を使い分けている?
FAKE IDOL
『Counterfeit』から、これも近年の藍月なくるを語る上で外せない、ソロライブリクエスト1位曲。
大掛かりな演出とアイドルMCのライブ体験が最高でした。
MVのオタクになりきるなら「二度目のサビはコールを入れない」のが正しいのですが、1stライブなのにある程度実践されていて、オタクの藍月なくるリテラシー高くて良かったです。途中でMVが水色なことを思い出してペンライトをピンクから水色にしていた人たちも好きです。
コンティニュー!
可愛い枠の1曲目はlapix楽曲の『コンティニュー!』。これのMVの表情めちゃ可愛くて好き。
可愛い名曲があまりにもたくさんある割に枠が少なそうでセトリ予想不可能だったのと、「可愛い→FAKE IDOL(→休憩)」で流れを変える予想だったのが「FAKE IDOL→可愛い」で流れが変わって、セトリのレギュレーション完敗。さあどうする?⇒たたかう
そういえば1年半越しに冬コミで音源が出たのですが、通販でも買えます。
わたしがわたしに至った10の理由
\パンッ/ヨッシャアアアアアアアアアアアアwwwwwwwwwwwwww(高い声で)キタァwwwwwwwwwwウワァヤッタアアアwwwwwwwwwwwwwwwww2
稀代の電波コンポーザーA than Lilyと全年齢音声クイーン藍月なくるの到達点。ウサ活girlに始まり、10年代後半に数々の名電波ソングを時に一緒に、時にそれぞれ生みだしてきた2人が、同人電波ソング界に叩き付けた最後の名曲が『わた10』です。
この頃からA than Lilyさんは事実上活動休止していますし、なくるさんは電波曲や音声作品出演の頻度が減っていきますが、その末期のタイミングでこの曲が世に出たというのは至上の幸運でした。
多種多様なセリフパートで演技力、歌唱力、かわいいボイスを全力で見せつける一方で、終盤は「等身大……と言いつつちょっと演じてるわたし」という藍月なくる曲らしさが肯定的に描かれるという、まさに藍月なくるのための電波ソング。
『Azura Luno』や『FAKE IDOL』とはまた別の意味で、「藍月なくるとはこういうアーティストだ」というのが色濃く表れた代表曲の1つと位置付けています。
これくらいで
\パンッ/ヨッシャアアアアアアアアアアアアwwwwwwwwwwwwww(高い声で)キタァwwwwwwwwwwウワァヤッタアアアwwwwwwwwwwwwwwwww3
feng最後の神曲。かってアニメ化エロゲを多数生みだし、多数の名曲やバイノーラル音声のはしりとして音楽・音声界隈でも一目置かれていたヒットメーカーfengの遺作『夢と色でできている』のエンディングテーマです。
作詞作曲はボカロP「kemu」としても知られる天才、堀江翔太。
積み木というよりトランプタワーのような繊細さと丁寧さのサウンドとなくるさんの甘い声色が組み合わさった奇跡的なバランスで成り立っていて、そこに美しい歌詞がこれまた見事に調和していて、本当に音楽の1つの極致のような完成度の曲です。
エロゲ名曲投票上位常連であり、「好きな藍月なくる曲」でも1, 2位を争う人気ぶりの一方で、商業ゲーム曲でありセトリ予想では「いやこれは理想すぎるw」「絶対無理だけど聴きたい」と外されてきたわけですが、まさかの超サプライズ選曲。
ここまでマナーを守ってきた往年のオタクたちがなくるさんよりも号泣していたのが印象的です。
生でこの曲を聴けるという伝説に立ち会えたことをとても嬉しく思います。
音源CDがTLで話題になっていましたが、『fengコンプリートボーカルアルバム』はそこそこ流通しているとは思うので、頻繁にチェックしていればそのうち買えるじゃないでしょうか。
クラリムステラ
アンコールでサプライズ表題曲!!作詞作曲はでるたさん。
セトリ予想記事でうっかり位置と曲名をドンピシャで当ててしまったのでここで「まさかのサプライズ!」とか言うと予想がテキトーだったことがバレてしまうので、「俺は分かってたぞ、なこ。ここで『クラリムステラ』だよな」と腕組みをします。
「もうレプリカじゃない」に象徴されるように、かなり過去曲の歌詞とリンクされていて丁寧に考察してねという曲だったので、ディレイ配信でアーカイブ聴き込みたいです。
おわり
いかがでしたか?
僕は最高でした。
これからも藍月なくるの活躍に期待ですね!