越直美 大津市政の残滓
本記事は「藤井哲也ブログ」の記事(2022.3.19)の内容に、その後の経緯等を加筆したものです。
あの重苦しい役所内の雰囲気を思い出します。
あの当時のことを思い出すだけで、なにか心臓が痛くなります。
越市長(当時)らの行為を「違法」とする判決が先日出されました。
思えば2011年5月から2019年4月までのその8年間の議員活動の期間のうち、約7年間を越市政と向き合ってきました。いまから振り返っても、当時の越市政は本当に悲惨だったと思います。
私にとっては、越直美氏が市長として初めて臨んだ本会議一般質問で問うた事柄に対して、「覚えていない」旨の答弁があったときから、怪しいな・・と勘づきはじめました。2012年の2月のことですね。
その後、側近のはずの副市長が辞め、教育長も辞め・・・と、いろいろな事柄がおき、この市長ではもう市政運営は駄目だと、市議会では市長辞職を迫ったこともありました。2014年のことでした。
私もそんなに大した人間ではありませんので、他人のことをあれこれ言うのも憚られるものの、いま客観的に考えても、2013年くらいのタイミングで市長を辞職してもらえれば、その後の役所内部でのゴタゴタや市民との軋轢も起きなかっただろうし、大津市にとって良いまちづくりが進んだのではないかと内省しています。越市政の8年間は、いじめ問題への取り組みは除いて、本当に停滞した期間だったと評価していますし、大津市の将来から見て、時間を無駄にした期間だったと思います。いま、大津市は8年間の越市政のリカバリーに必死です。
いまさらではありますが、大津市の教育長だった富田眞氏が「日経ビジネス」に。事の真相を明らかにしようと手記を寄稿されたことがありました。
富田さんは、本当に素晴らしい教育者であり経営者だったと思います。その能力を十分に発揮する前に辞めてしまわれました。学校を地域に開放する「コミュニティスクール」の導入や、教育委員会に経営品質の向上を図ろうとする取り組みは、頑強に変わろうとしなかった教育委員会が自力で変わろうとする出来事でした。
日経BPの記者さんを富田さんにつないだのは私でした。
雑誌が発行されてから私も記事を拝読し、思い切ったことを書かれたなと思いましたが、後日ご本人に聞いたところ、言い足りないなと仰ってました。その後も富田さんとはやりとりをさせて頂き何度かご自宅にも伺わせて頂きました。2016年に亡くなられる直前まで、メールでもやりとりをしていたので、突然アメリカで亡くなられたときには、非常にショックでした。
とある雑誌社のヒアリングもセッティングされていて、日本に戻られてから取材も受けられるはずでした。富田さんしかご存知でないこともたくさんあったと思います。そうしたことが公にならなかったことはご本人にとっても残念だったに違いありません。あらためて心よりご冥福をお祈りします。
富田さんだけではありません。
2012年から2014年まで大津市の副市長を務められた茂呂さんも、ご本人のブログに、さまざまなことを書いておられます。
茂呂氏(元大津市副市長)のブログ
今回、判決が出た事案は、私も何度かブログに書いてきた事柄です。
私の過去のブログ記事
この事案については、一事が万事だと考えており当時の市役所内の雰囲気を如実に表す事案だと考えています。
当時は本当に市役所内の雰囲気は最悪で、相当に重苦しいものでした。職員さんは本当にかわいそうでしたね。議会事務局の職員というポジションは、一般的には敬遠されることが多いポジションのはずなのですが、当時の大津市では議会事務局がオアシスだと言われていました。議会事務局の職員は一時的であれ、議長の指揮下で働くことになるので、市長部局の指示命令の範囲外だったからです。当時、市や市教委の幹部が次々と体調をこわし辞められたのを昨日のことのように思い出します。
判決文も読ませて頂きました。
国家賠償請求の裁判では、行政側が負けるということは極めて稀だといわれます。判決で越直美氏(当時大津市長)や側近が行っていた行為が違法と認定されており、当時、私が頑張って市政を良くしようと動いていたことが評価されているように思われ、我がことのように嬉しく感じます。
判決から抜粋させて頂きます。
ー-
◆
本件では。被告市長ないしは被告の担当職員が、審査会に対し、人事課ファイルが存在していながら本件文書2が存在しない旨回答したこと(第6行為)や、被告市長や茂呂が、示談の意思がないと述べる原告に対して多数回にわたる示談の促しをしたこと(第14行為)について、国家賠償法上違法というべき対応があったと認めることができる。
◆
同説明書(被告市長が、審査会に提出した平成26年11月20日付け非公開理由説明書)を作成した被告市長ないし被告職員は、注意義務を怠り、原告の名誉や名誉感情を棄損する違法行為をしたものと認めることが相当である。
ー-
誰がどうみたって客観的に違法行為であることが明らかであるのにもかかわらず、自らの正義をごり押しして正当化している事案を、ここ最近、毎日のようにニュースで目にします。ウクライナをめぐるニュースです。しかし、後世の人がそうした許されざる悪事をあぶり出すでしょう。天網恢恢疎にして漏らさず。
上記判決文に書かれている事柄は、「大津市の情報公開拒否は違法」、「越直美氏が副市長を通じて男性職員に何度も示談を強要したことは違法」、「無罪確定後の男性職員を犯罪者扱いしたことは違法」ということで、当時の市長であった越直美氏と側近職員の行為を明確に「違法」と認定しているものです。コンプライアンスを徹底させるべき市のトップがまさに違法行為に手を染めていたと。
冒頭にも書きましたが当時のことを思い出すだけで、気分が悪くなります。
大津市にとって、今回の判決が過去の越市政と決別し、よいまちづくりの土台となっていくことを心から願ってやみません。
その後、控訴期限(4月1日?)までに大津市も、裁判に補助参加していた越直美氏も控訴をせずに、上記の地裁判決が確定しました。
※補助参加人は、自身の利益を守るという独立した立場で、主張や異議の申立て、控訴などをすることができます。(民事訴訟法45条1項)
これで、当時大津市の市長だった越直美氏や幹部職員の行為が違法だったことが確定したという認識でおります。
私が議員だったときに述べてきた越市政の問題点に対して、裁判所が客観的に違法行為と評価したことで、私自身は訴訟とは関係ないものの、なにか自分事のような嬉しさを感じています。これで私の胸中で思い残しと感じてきた事柄も、かなり解消されたと考えています。
新しく大津市の市政も、佐藤市長に切り替わり、役所内の雰囲気も一新されコンプライアンス意識も高まり、風通しがよくなっているように思われます。
もちろんまちづくりの課題は尽きませんが、議会や市民と協働しながら、一つ一つの課題に行政は取り組んでくれていると思います。私が信頼する人物が行政や議会の中心にいま居ます。安心していまの市政運営を見ることができています。
私の愛する故郷である大津市が、よりよい町になっていくことを願ってやみません。私自身は自分のいまの立場で、精一杯、社会貢献に努めていきたいと考えています。
※トップ画像は、議員時代のホームページのものを使いました。懐かしい。
ーーーーー
◇プロフィール
藤井哲也(ふじい・てつや)
株式会社パブリックX 代表取締役/SOCIALX.inc 共同創業者
1978年10月生まれ、滋賀県出身の43歳。2003年に若年者就業支援に取り組む会社を設立。2011年に政治行政領域に活動の幅を広げ、地方議員として地域課題・社会課題に取り組む。3期目は立候補せず2020年に京都で第二創業。2021年からSOCIALXの事業に共同創業者として参画。現在、社会課題解決のために官民共創の橋渡しをしています。
京都大学公共政策大学院修了(MPP)。京都芸術大学大学院学際デザイン領域に在籍中。日本労務学会所属。議会マニフェスト大賞グランプリ受賞。グッドデザイン賞受賞。著書いくつか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?