本で印象に残ったところ「一口メモ」

仕事の哲学 働く人が自ら考え、行動する会社とは』酒巻 久著、PHP研究所、2020.9.3発行。読んだ本の中で印象的に残った箇所を記録することで次の研修に役立てられればと考える。P194・195

意識改革は幹部から

 このように若手の抜擢は重要です。しかし若手を育てるだけでは、じつは社内は変わりません。もう一つ重要なのが、幹部クラスの意識改革です。意識改革という点では、若手よりまず幹部クラスから始める場合があります。

 どんなに部下がいい提案をしても、上司にやる気がなければ「そんなつまらない話は持ってくるな」で終わってしまいます。幹部クラスを先に変えておけば、部下の新しい提案に「お前もやっと気づいたか。俺は昔からやっているぞ」などと、前向きな姿勢になります。これなら部下もやる気が出て、さらにいい提案を出そうとなります。

 過去には若手から意識改革を始めたこともありますが、上司の理解がないとうまく行きませんでした。上司の意識改革ができていれば、部下が変わったとき、すぐに気づき褒めることができます。

年齢層が高い組織の幹部クラスを意識改革することはなかなか難しい。なぜならこれまでと同様のことをすれば無難に処理することを身に付けているからである。これはあくまでも従来の延長線上にある場合である。現在のように多様化した社会、また先行きが不透明な社会ではその処理がこれまでの延長線でいいのか疑問である。

 幹部職員自らが疑問に思っているのであればまだ救われるが、現状だけを維持しようと考えている幹部職員では新たな提案は厄介な仕事ととしか受け取れない。こういう幹部職員こそ自らを省察する時間を設けて、日々振り返ることを習慣にすべきである。年齢層が高い職員に学ぶ姿勢を求めることはとても大切なことだと考える。

 江戸後期の儒学者、佐藤一斉の『言志四録』の中に「少にして学べば即ち壮にして成すことあり。壮にして学べは則ち老いて衰えず。老いて学べば即ち死して朽ちず」という言葉ある。人は生まれた以上は一生涯学び続ける姿勢が求められていると考える。とくに組織において年齢層の高い職員が常に学ぶ姿勢を見せることにより、周りの職員はそれを刺激に自分も学ばなければならないと努力するのである。これが切磋琢磨する組織だと考える。

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