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【Dorico】 リピート括弧を切る方法2 (カスタムラインによる) (2024年12月17日更新)
こんにちは、もとFinaleユーザーの藤井大河です。
![](https://assets.st-note.com/img/1733878108-9finVlpc0tW7dSbqTg3vDmNx.jpg?width=1200)
画像のような途中が切れたリピート括弧は、Doricoの標準機能では実現できません。
下記の記事で紹介したテキストフレームによる方法には、印刷する紙によってそのテキストフレームが見えてしまう弱点がありました。
そこでこの弱点をもたない、カスタムラインを作成して偽装する、という方法を紹介します。
ちょっと大変ですが、一度作成したラインは他のプロジェクトでも流用できて便利です。
しかしこの方法でも、譜表のスペーシングに調整の必要が生じることがある点に注意してください。
【 手順1. 浄書オプションを設定・確認 】
浄書オプション ( [ ⌘ ] [ ⇧ ] [ E ] ) → 「リピート括弧」 で、「最終括弧の前の右側終端」 を 「閉じずに次の小節線まで」 に設定し、適用します。
そして、以下の6つの値を確認、記録しておきます。
「リピート括弧」 → 「位置」
① 「譜表の上の最小距離」 (デフォルトは 1 1/2 = 1.5 スペース)
② 「他のアイテムからの最小距離」 (デフォルトは 3/4 = 0.75 スペース)
「リピート括弧」 → 「デザイン」
③ 「リピート括弧のフックの長さ」 (デフォルトは 2 1/2 = 2.5 スペース)
④ 「リピート括弧の線の太さ」 (デフォルトは 1/5 = 0.2 スペース)
「小節線」 → 「デザイン」
⑤ 「太い小節線の線幅」 (デフォルトは 1/2 = 0.5 スペース)
⑥ 「終止線 (細い小節線と太い小節線) の間隔」 (デフォルトは 1/2 = 0.5 スペース)
【 手順2. カスタムラインを作成 】
2-1 カスタムラインを作成
ジャンプバー ( [ J ] ) で 「ライン.」 と検索するなどして 「ラインを編集」 ダイアログを開く
↓
左下の 「 + 」 をクリックし、作成されたカスタムラインの名前を任意に変更
2-2 ラインボディを作成し、選択
「ラインボディエディター…」 をクリックして「ラインボディを編集」 ダイアログを開く
↓
左下の 「 + 」 をクリックし、名前を任意に変更
↓
「線の太さ」 = ④ = 「リピート括弧の線の太さ」
とする (手順1. を参照。以下同じ)
↓
「OK」 をクリック
↓
「ラインを編集」 ダイアログの 「ボディスタイル」 で、作成したラインボディを選択
2-3 ライン注釈を作成し、選択
「ライン注釈エディター…」 をクリックして「ライン注釈を編集」 ダイアログを開く
↓
左上の 「カテゴリー」 が表示された部分で、「フック」 を選択
↓
「内向きの軸に平行なフック」 をクリックし、左下の 「 + 」 の右のアイコンをクリックして複製
↓
名前を任意に変更
↓
「長さ」 = ( ④ × 1.5 ) + ③
③ = 「リピート括弧のフックの長さ」
④ = 「リピート括弧の線の太さ」
とする
↓
「線の太さ」 = ④ = 「リピート括弧の線の太さ」
とする
↓
「OK」 をクリック
↓
「終端のキャップ」 で、作成したライン注釈を選択
2-4 カスタムラインの位置を設定して保存
「譜表線からの距離」 = ① = リピート括弧の「譜表の上の最小距離」
とする
↓
「アイテムからの距離」 = ② = リピート括弧の 「他のアイテムからの最小距離」
とする
↓
左下の 「 ⭐︎ 」 をクリックし、「OK」 をクリック (他のプロジェクトでも使用可能になります)
【 手順3. カスタムラインを入力 】
記譜モード ( [ ⌘ ] [ 2 ] ) で、閉じる方のリピート括弧を入力したい小節全体を選択
↓
一番右のツールボックスで、「 ↗︎ 」のアイコンをクリック
↓
出てきた右ゾーンの上で、「開始」 を 「小節に配置」 に、「終了」 を 「リズム上の位置」 に設定 (画像参照)
↓
右ゾーンで、手順2. で作成したカスタムラインを [ ⌥ ] を押しながらクリック (一番上に出てきているはずです) ※
![](https://assets.st-note.com/img/1733959194-F12EUs6V4xS5nh8Gp3qMPcjy.jpg)
※ ライン入力のポップオーバーはありません。
[ ⌥ ] を押しながらクリックすることで、ラインが組段ラインとなり、全てのパート譜などに表示されるようになります。
【 手順4. 水平位置を調整 】
この手順は、リピート括弧の偽装をさらに精密にするものです。
読み飛ばしても構いません。
浄書モード ( [ ⌘ ] [ 3 ] ) で手順3. で作成したカスタムラインを選択
↓
下ゾーン ( [ ⌘ ] [ 8 ] ) のプロパティパネルを開く ※
↓
リピート括弧のフックが改段の位置にある場合
「終了オフセット」 のX = 0.5 - ( ④ × 0.5 )
④ = 「リピート括弧の線の太さ」
とする (フックの右端を組段の右端に揃えます)
リピート括弧のフックが改段の位置にない場合
「終了オフセット」 のX = - { ( ④ × 0.5) + ⑤ + ⑥ - 0.5 }
④ = 「リピート括弧の線の太さ」
⑤ = 「太い小節線の線幅」
⑥ = 「終止線 (細い小節線と太い小節線) の間隔」
とする (フックの右端を細い小節線の右端に揃えます)
![](https://assets.st-note.com/img/1733960800-MqOkQjImAK1LoteCw8y0XGFV.png?width=1200)
※ プロパティパネルが出ていなければ、下ゾーンの左上のプロパティのアイコン (!!!を倒したようなもの) をクリック
【 手順5. 垂直位置を調整 】
偽装した括弧と本物の括弧とで、高い方に垂直位置を合わせます。
紹介できる計算式は特にありません。
なお、カスタムラインの垂直位置を手動調整した分は譜表の垂直スペーシングに考慮されません。
そのため、浄書モードのオフセット編集ではなく、「ラインを編集」 ダイアログで 「譜表線からの距離」 を変えることによって、個々のラインの垂直位置の調整を行うことも必要な場合があります。
他の偽造した括弧の位置に影響を与えないように、「ラインを編集ダイアログ」 でカスタムラインを複製し、それを編集した方がよいこともあるでしょう。
【 まとめ 】
面倒です。
記事を書くのも大変でした。
カスタムライン注釈のフックの長さの値とリピート括弧のフックの長さのフックの値を同じにしても2つのフックの長さは同じにならないというのも、なかなかの引っかけだと思います。
もっと楽な方法は下記の記事の通りです。
あれもこれも、手遅れにならないうちにどんどん改善していってほしいものです。
過去バージョンとの互換性にこだわったため負債が貯まっていったFinaleという例もありますので。
それでは、またお会いしましょう!