地域医療連携について改めて考える
約、12年前に現在サービスを提供している広島県の「HMネット」の開発に初期から従事していました。当時先行しているネットワークと言えば
・あじさいネット
長崎県で運用されている医療情報連携ネットワークです。病院と診療所間の連携を主な目的として始まり、その後薬局や訪問看護ステーション、介護事業所にも拡大しました
・まめネット
島根県全域を結ぶヘルスケアネットワークです。県内の病院、診療所、訪問看護ステーション、薬局、介護施設等が参加し、患者の診療情報を共有することで質の高い医療・介護サービスの提供を目指しています
・ゆけむり医療ネット
大分県別府市で運用されているネットワークです。運用開始から2年足らずで市内の約半数の医療機関が参加し、順調に発展しています
などが有名どころで、当時開発に当たっては、上記地域のサービスを参考にさせていただき、N社やF社が持っている連携サービスを使わずに、身の丈に合った独自の「持続可能な地域医療連携システム」を開発しました
HMネットは県内を網羅するシステムですが、我々はもっと地域に根付いたシステムを検討し、HMネットの基盤を使った別のPHRサービス、「マイカルテ」を10年間展開しました、これは地域で共通IDを使って個人の健診、検査、画像診断を、医師は自由に閲覧することが出来るシステム、共通IDを使うことで今までバラバラだった医療情報が名寄せされることです。しかし残念なことにマイクロソフトがシルバーライトのサポートを2021年10月に終了したため、独自開発した「マイカルテ」も2022年3月末で終了となってしまいました。
他にも、当時私が知っている中で成功している地域連携「おしどりネット」「とちまるネット」「うすき石仏ねっと」「K-MIX R」「Net4U (ネットフォーユー)」など全国に100程度の連携システムが存在していました、これらのネットワークは、それぞれの地域の特性や需要に合わせて構築・運用されており、医療機関間の情報共有や連携の促進に貢献しています。多くの場合、地域の医師会や自治体が中心となって運営されており、参加する医療機関や患者の数を着実に増やしています
明確な目的とコンセプト
地域完結型医療の実現
診療所のかかりつけ医機能の強化
ICTを活用した病診連携の活発化
地域全体の医療の質向上
補助金無しでの持続可能
成功している地域医療連携の共通事項
成功要因
・医師会と行政の密接な連携
・継続的な改善と運用(情報共有の充実)
・運用コストの工夫(低価格での持続可能化)
・地域のキーパーソンや医師会を巻き込んだ展開
・救急医療から在宅医療まで、幅広い領域での地域医療連携に活用
・参加機関の多様化
・オープンな運営体制
まとめ
これからの医療現場は高齢化がさらに進み、在宅医療のニーズの増加ともあいまり、地域医療連携の量も質もさらに高いものが求められるようになっていくのではないかと考えています、併せて地域医療連携の有効性がより一層重要性を持ち、その中心がPHR/EHR以外にはないと確信しています。
現在、地域医療連携は政府が推し進めている、マイナポータルとの共存を模索している、個人的には過去の情報は「マイナポータル」、現在進行形は今まで通り「地域医療連携」が担うのではないかと確信しています。