ミュージシャンの訃報
驚いた。
ハードロックバンド「PRESENCE」のギタリストである白田一秀さんが亡くなったことを知った。
しかもつい先月、7月の末の話。
僕が言うことではないが、決して広く世間に知られたバンドではない。
(ちなみにベーシストの恩田快人さんは後に「JUDY AND MARY」を結成し、その活躍ぶりはご存知の通り)
高校一年の夏頃、友だちのバンド練習を見に視聴覚室へ。
そこでハードロックに興味を持ち、お年玉でエレキギターを買って軽音学部に入りバンドを組んだ僕は、和洋問わずいろんなバンドを聴きまくっていた。
その時に出会ったのが、行きつけの昭和町駅前のレンタルCD屋さんで借りた「PRESENCE」のライブアルバム「非常口 9.11」だった。
軽快なアメリカンハードロック。
ハイトーンなボーカル。
そして白田さんの超絶テクニックなギター。
僕は一発でファンになった。
しかしそのアルバムには、解散を発表するMCも入っていた。
僕が知った時には、もうPRESENCEはこの世に存在しなかったのだ。
メンバーも散り散りに。
恩田さんは「JACKS'N'JOKER」というバンドを結成。
白田さんは「GRAND SLAM」という、ジャパニーズハードロックのオールスターメンバーのようなバンドに加入した。
僕はその1stアルバムも気に入って、何度も何度も繰り返し聴いた。
奇しくもその頃から日本のハードロックは、いわゆる「ビジュアル系」が席巻しだして。
いつも読んでいた「ロッキンf」という雑誌も、ビジュアル系情報がメインになったが、僕はあまりそちら側に興味を持てず。
ネットで情報が追えるような時代でもなく、ちょうどお笑いを始めた時期とも重なり、その頃から僕は新しいバンドを探すより、昔のCDばかり聴くようになって行った。
ほどなくして僕は上京。
もう10年ほど前になるだろうか。
ふとした時に「PRESENCE」を検索したら、2006年に単発で再結成ライブをやっていたことを知った。
めちゃくちゃ悔しかった。
せっかく東京に住んでいるのに。
見に行けたのに。
自分のアンテナの低さに腹が立った。
今回のことでいろいろ検索したら、GRAND SLAMも2022年に再結成ライブをしていたらしい。
これまたなんというアンテナの低さ。
そして知った白田さんの訃報。
「アンテナが低い」
と嘆きながらも
「タイミングが合えばまた見れる」
と思っていた。
そんなことはなかった。
PRESENCE も GRAND SLAM も、もうオリジナルメンバーでの演奏は見れないのだ。
僕の好きなもの。
阪神タイガース、プロレス、マンガ、映画、ハードロック。
野球選手やプロレスラーには引退がある。
マンガや映画は後に残るもの。
ミュージシャンは御本人に続ける気があれば、いつまでも続けられる。
僕なんかはそれに甘えて「いつか見れる」と思ってしまっていた。
後悔先に立たず。
音楽もスポーツもそしてお笑いも。
全てその瞬間を切り取ったもの。
見たいと思ったものがあれば、そして生で見られるタイミングがあったなら
その時は他のことを後回しにしてでも見に行ったほうがいい。
と改めて強く思いました。