このまえ『ブレットトレイン』観て、書きかけのまま記事を放置していました

観てきました、『ブレットトレイン』を。
今回はその感想の記事です。

前に『マリアビートル』を読んだ感想で、原作とだいぶ違う感じになるんじゃないかと予想しましたがこれは外れましたね。
京都駅に着くまでの話の流れ方はほぼ原作通り。尺の都合で多少キャラ造形は変えられていたものの、『マリアビートル』の魅力の一つである “新幹線の中での思惑入り乱れ” は再現されていて良かったですね。

さて、『マリアビートル』の良さはそのドラマと別に、王子によって起こされる、善悪に関する問であるとは前回の記事で書きました。それは『ブレットトレイン』に関してはほぼカット。ネタバレになるので述べませんが、王子が乗車してくる理由は別のものにすげ替えられていましたね。そうするとなにか別の要素が足されないと少しものたりない映画になってしまうのですが、今回『ブレットトレイン』がその別の要素に選んだのが、トンチキ日本とかっこいいアクションの二つでした。

まずは最初に、初見で気になったトンチキ要素をいくつか。
・東京駅の外観がほぼ新宿駅
・時刻表が03:00東京発05:00京都着くらい
・都内走ってる時にドリフトしてんのかくらいのヘアピンカーブあった
・静岡過ぎてから右前方に富士山あった
・東京から見て北に京都がある
この辺が特に気になった(好きになった)トンチキ日本要素ですね。確認していた限りでは、基本的に進行方向向いた時には右手側から太陽が昇っていたので、そういう位置関係にもちゃんと気を使って配置してるというところも好感度高いです。たまに劇中の東西南北がちぐはぐになってる作品もありますからね。
ちなみにこういう箇所をあげたらキリがないんで、各自で確認をお願いします。

さて、『ブレットトレイン』のもうひとつの魅力であるアクション。これもかなりキレキレで良かったですね。腕ロシアン、掴みあった銃のマガジン排出投げ、ミニテーブルコッキング!銃の見せ方が新しく、見ていて興奮しました。
今回の映画でもうひとつ見逃せない武器がサムライソードです。デューク真田が振るう仕込み刀のかっこよさたるや!読者の中には、「最初に下っ端を切り刻んだ後、残心後に懐紙なりで血拭きをしないで納刀→再度抜刀後にはまた刀身が綺麗になっているのはおかしい!」と思われる方もいるかもしれませんが、あれは日本刀ではなくサムライソードという特殊な武器なのでそういうことも起きる、ということなんです。お分かりいただけましたか?

密室でのアクションも良かったですね。原作でも、走り続ける密室からどうしたって降りられないというのが面白さの一つの要素になっているわけですが、今作ではそれを逆手に取るというか、天与呪縛的にいかしていました。密室からだからド派手なアクションはできない、という姿勢ではなく、密室でしかできないアクションをやってやろうじゃん、という制作側の姿勢がみてとれるわけです。

映像面では制作陣の野心にあふれる映画になっていました。割と状況が錯綜していくタイプの原作なので、そこまでやるとよくわかんない映画になっちゃうんじゃないか? と思っていましたが、そこはさすがハリウッド。万人が見ても何が起きてるのか分かる映画作りはお手の物ですね。全員が面白いとは思わないだろうけど、何が面白いのかわからない人はいないんじゃないか、という脚本しか企画を通さないぞ! という強い意志を感じます。


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