MDの音楽データをPCへ救済移行する方法
皆さん、音楽はどんな方法で聴いていますか?
今の主流はHDDに保存してある音楽データをPCやMacで再生するか、モバイルデバイスでオンラインストリーミングやライブラリ登録した音楽データを聴くというのが一般的ですね。
今や音楽の再生専用機ですらも当たり前にAndroid OSが搭載され、昔では考えられないような超大容量の保存領域と相まって、MP3やAACのような不可逆圧縮音源からFLACのような可逆圧縮方式によるHi-Res音源まで幅広い音源の再生に標準対応。今の若い世代の中には、CD再生機を所有していない方たちも珍しくはないと聞き、良い時代になったと思う反面、40過ぎの中年からすると寂しくも感じる今日この頃です。
我々の世代においては、高校から大学の頃にかけてMDは大ブレイク。アナログテープに比べてATRAC方式採用による圧倒的な高音質とコンパクトな携帯性を両立し、カートリッジタイプのディスクは取り扱いも容易で、メディアの劣化に起因する音質劣化も皆無。ディスクはランダムアクセスによるデジタル読み出しのため頭出しも瞬時に可能と、当時としては極めて画期的なものでした。そして、一世代までのデジタル録音が公式に認められていたため、レンタルCD店でその時の流行りの曲を借りては録音して、ベスト盤を作成して楽しんでいた方々も多いはず。
しかし、2000年代前半にiTunesやiPodが大ブレイクし、更にはiPhoneの登場により、完全に音楽再生機能は携帯電話を始めとしたモバイルデジタルデバイスに取って代わられてしまいました。昔の楽曲も定額で思う存分楽しめるようになった一方で、過去のMD等の初期のデジタル音楽再生機器による音源たちを再生できる環境は日に日に少なくなってきています。
既にMDの先駆者だったソニーが2013年にいち早く録再機の生産を終了しており、過去のMDで撮り貯めた音源たちが完全に聴けなくなるのも時間の問題でした。
録り貯めた数々の曲の中には、今や手に入らない貴重な音源も多数。中には放送委員だった友人にDATからデジタル録音してもらった高校時代の合唱コンクールの音源まで。
iPod→iPhoneとモバイル機器で音楽を聴くのが当たり前となった現代。そろそろ本気で対応を考えないとと、重い腰を上げて仮の環境を構築してみたので、今回はこの記事にてご紹介させていただこうかと思います。
さてさて、MDから音楽をデータとして変換するには実は厳しい制約があります。MDは他の音声デジタル機器と同様にSCMSに準拠しているため、一世代しかデジタルコピーは不可となっているのです。よって、レンタルCD→MDへの録音で既に第一世代のコピーを作ってしまっているので、そこから先にデジタルによるコピーは通常できない仕様になっています。
唯一ソニーが晩年に発売したポータブルタイプのMD録再機器であるMZ-RH1のみが、USB経由によるPCへのデータ転送に対応していますが、この機種は市場での価格が高騰しており、中古でも5万円。新品に至っては10万円といった具合で手が出しにくい状況になっています。おまけに、PCへ取り込んだ後には更に公式ソフトを使用してのファイル変換が必須となりますが、公式ソフトが既に開発および配布も完全に終了。よって、元々困難であったMDの音楽データの変換移行は、もはや不可能な状態に陥ってしまっていました。
しかし、まだまだ光デジタル出力端子を装備した高級MDデッキは中古市場では状態の良いものが安価で多数出回っており、今では新規製造販売が違法となるSCMSごにょごにょ機も数は少ないものの1万円未満で中古市場で入手可能な事がわかり、一台決心してこれらの機器を購入。
ヤフオクとAmazonを利用して、以下の機器を調達。
CD録再機:Pioneer PDR-D50 (24bit Legato Link Coversion搭載の高級CDレコーダー)
MD録再機:Pioneer MJ-D5(ARTISTシステム、Legato Link Conversion搭載の高級MDデッキ)
SCMSごにょごにょ機:ProSpec MD Saver Pro
この3機ををそれぞれ、1万2000円、7000円、6800円の総額2万5800円にて調達。
この構成に至った経緯は、SCSMごによごにょ機だけあれぼ、PCのデジタル光入力からもデジタル録音は利用できますが、シンクロ録音はできないため、とにかく楽にマルっとMDの音源をデータとして出力してPCに取り込みたいなと考えると、光デジタル出力したMDの音声をSCSMごにょごにょ機を噛ませてCD Recorderへ送り、そこでシンクロ録音機能で自動でトラック分割されたCDを作り、それをPCで一括取り込みの上で変換すれば楽だなと気づいたから。
おまけにこの機器たちは、当時大学生の私には欲しくてもとても高くて買える代物ではなかった(CDレコーダー79800円、MDデッキ49800円、SCMSごにょごにょ機35000円の計164600円)のですが、今は中古ですと時代遅れ扱いで安く、おまけに今のHi-Res対応機器に負けるとも劣らない高音質での再生を楽しむ事ができるので一石三鳥です。
今と名称は違うけど、Leagto Link Conversionは今で言えば96KHz相当へのアップコンバート出力と24bit再拡張再生だし、ARTISTは可変ビットレートによる音声圧縮であり、現代のデジタル音楽における主流の高音質化技術がそのまま先駆的に採用されているわけです。
私はヒゲダンの大ファンでCDをバリバリ購入してるので、CDを高音質再生できる専用機器は大歓迎だし、MDもこの機種はDigital Noise Reductionも装備されていて、過去の音源もクリアに再生できるとのことで、動く限りはMDディスクを直接聴いて懐かしさに浸る事もできると言う、私にとってはまさにうってつけの構成な訳です。
で、さっそく設定してMDからCDにガシガシと録音を順調に行っております。ディスクを入れたらSyncRecボタンを押して、後はMDを再生して放っておくだけなので楽ちん!数十枚のディスクもPCに入れた後は曲名とかの情報は手動で入れないといけませんが、ジョグダイヤルで一文字一文字入力してた過去のMD編集に比べたら……全く苦にはなりません。
SCMSの件に言及はしませんが、ソニーがMDからPCへのデータリッピングが可能な機器を発売し、MDからPCへのデジタルデータ変換は公式に認められている事や、大元のMDや音楽用CDの各メディアには音楽の私的録音録画補償金が含まれていて支払いはしているとだけ言っておきます。なお、PDR-D50はアナログ接続でもシンクロ録音が可能となっており、無音が2秒以上続くと自動的にトラックが分割されて記録されますので大変便利です。トラック毎にフェードインフェードアウトの設定を行うこともでき、野外で生録したライブ音声などをCD化する際も、それらしい感じに仕上げる事が出来るので、バンド活動とか野外の自然の音を生録してる方とかにも大変お薦めです。今はPCM録音してPC上で編集される方が多いと思いますが、こうしたオーディオ専用機で編集するのもおつなもんです。今回、アナログでのシンクロ録音を実際に利用して試してみましたが、録音ボリュームの調整は必ず必要ではありますが、それだけやってしまえばデジタルシンクロと変わらない手軽さでCD録音が可能でした。なかなかやりますPioneer!
なんとかこれで過去の音源たちを今後も現代の方法で管理しながら楽しんでいけそうです。
次は、FHDの映像をDVテープに収められるハンディーカムで撮影した映像たちの移行ですね。これも再生機が壊れもはやパーツ保持期限切れで修理不可能になった今、数少ない後継機種を買って、データを書き出すしか道はなく、MDからの変換移行が終わり次第、こちらも本格着手して行く予定です。
まぁ、とりあえずMDの件はこれにて一件落着。
【後日追記】
CDからDAOで一気にMDに録音したものは、TOC情報をCDからそっくりそのまま受け継いでるようで、更にMDからCDに同じくDAOで戻した時も普通に引き継がれるようで、CDをMacに入れると、アルバム情報がDBから自動検索されて、全部自動で難なく入るではないですか……こりゃーイケてるわ。シングル集め録りしたディスクは手動で入力しなくてはですが、アルバム丸ごとのバックアップは容易ですね。ちなみにシングル集め録りしたやつは、後から曲順並び替えてると途中で止まるケースがあって、唯のCDレコーダー側の書き込みミスか、はたまたたまたま使ったメディアが悪かったのか、まだ検証が必要ですが、TOC情報をいじった事が何らかの影響を与えていそうな気がします。一番バックアップしたいのは、シングル集め録りなんだけどなぁ。ま、CD-Rで書込みするピックアップが劣化してるとか、CD-RWならいけちゃうのではないかとか、色々と試してみようと思います。