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いじめの損害賠償は総額いくら?

 すでにツイッターでは「いじめの損害賠償」が話題となり、多くの人が問題意識を強めているようだ。さまざまな人がこの問題について意見を表明している。しかし、「損害賠償の具体的な金額について」触れている人が殆どいなかったので、素人ながらいじめの損害賠償について調べた内容を伝えたい。この情報がいじめの抑止の一助となれば幸いだ。

ちなみにRTの元はコチラになる

いじめの損害倍書の総額は?

 最初に結論を述べると、事例を元に参照した現時点(2020年2月27日)の結果では1人200万円(合計約400万円)の賠償を命じている。ちなにみ、2019年2月では1人2000万円弱(合計約3750万円)の賠償金額だ。

※内訳は分からないので単純に金額÷人数分で1人の金額を割り出している。

 学校生活の何気ない行為でこの金額というのは高く感じるかもしれないし、逆に言えば「最悪でもこの金額なら大した金額ではないな」と思う人もいるかもしれない。しかし、この金額を額面通りに捉えてはいけないと筆者は考える。

いじめという烙印は生き続ける

 今回の事例を元に話すと当時13歳の時に行った問題が22歳の現在でも続いているという事実に注目してほしい。22歳といえば就職時期である。この2人がどういう人生プランを立てているかわからないが、間違いなく当時の過ちが現在の選択肢に影響を与えているのは容易に想像できる。そして、裁判は終わっていない。これからも影響を与えていくだろう。重要なのは当時の問題が当時の問題で終わらない時代に突入しているということだ。

 昔なら、いじめという罪は隠そうともしなかった。大人になってから飲みの席で笑いながら「昔は悪いことをした」と平気で言えちゃう程度の扱いだった。しかし、時代はそれを許さない。

 「当時のいじめが原因でPTSDを患って仕事に就けないので約2億円の損害賠償を求め提訴した」

 当時の問題が後から責任を求めてやってくるパターンだ。28歳。加害者(いじめた側)は仕事に就いている可能性もあるし、恋人がいるかもしれないし、結婚してこどもがいるかもしれない。そんな時にこのように提訴された場合、加害者の人生や周りの人はどう判断するだろうか?考えたくもないが…こどもがいるなら過去の自分の過ちが周囲にバレてそれが原因で新たないじめ問題に繋がるかもしれない。過去は消せない。そして過去を過去の問題として流せるかどうかは加害者側は決定できない。実際、現在そのような提訴をする者は少数であろう。しかし、5年後、10年後はどうだろうか?繰り返しになるが過去は消せない。

過去のいじめは損害賠償できるの?

この部分について具体的に検証していきたい。先に結論を述べると先ほどの事例のように

損害賠償請求は出来ます。

そもそもいじめの定義とはなんだろうか?

いじめ防止対策推進法2条によると
「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。

 ちなみにこれは児童や学校に限らない。明確に相手が特定できる悪口もいじめに該当します。そして、この定義に当てはまる行為を行った場合は『不法行為の条文』に該当するので請求ができます。(不法行為とは故意または過失によって他人に損害を与えること)

「損害を与える」とは
具体的に4つが考えられます。

1 身体的損害 〇
→暴力など相手の身体を直接傷つけたり、怪我させた場合はわざとじゃなくても請求ができます。

2 精神的損害 〇
→暴力など振るわなくても精神的にダメージを受けて、PTSDや対人恐怖症など精神疾患を患った場合は因果関係が認められたら、かりにわざとじゃなくても請求ができます。

3 いじめを助長する損害 △
→いじめに直接関与してなくても、自身の行為や発言が「いじめに繋がる」と自覚しながらもしてしまった場合請求できる可能性がある

4 全員でいじめた場合 〇
→「全員で無視しよう」など、その無視した全員に共同不法行為として請求することはできます。

 様々ないじめは損害賠償として請求できるのですが、法律なので「時効」は成立します。不法行為の場合は5年です。ただし、それは事件発生から5年ではなく「損害」を知ってから5年になります。例えば大人になってからいじめが原因で自分が精神疾患の状態に気づいてから“5年”となります。更に言えば、改正されていけばこの時効は伸びていく可能性も出てきます。加害者は当時の問題を忘れていても、現在になってから“問題”として訴えられる可能性があります。

損害賠償するには?

 そして同時にこの話は、当時いじめられてた人、現在いじめられてる人にも強く伝えたい。いじめという問題は必ず現在(当時)だけの問題ではありません。「3年間我慢すればいい」で済まない可能性もあります。(ネガティヴに捉え過ぎないように)将来、就職や転職する際にいじめという経験のせいで上手くいかない可能性が出てくるかもしれません。

 そういう時に生じる損害を請求できる権利があなたにはあります。
だから、その権利を行使できるように『証拠は絶対に残しましょう』裁判は基本的に証拠に基づいて判断します。学校や職場や家庭でいじめ被害を受けてる人は必ず証拠を持つようにしましょう。

【いじめの証拠となるもの】
・医者の診断書
・スマホのやりとりや音声や動画
・同級生の証言や学校側の記録
・自分が書いていた日記やSNSの記録
(証拠として弱いが)


これらの証拠があなたの現在と将来を守る事に繋がりますし、いじめた側の人間であるなら、これらの証拠が一つあるだけでも現在や将来、訴えられる可能性があることは知っておいて下さい。

 損害賠償の金額の妥当性は[マイナスをゼロにする金額]で判断されます。入院費用はもちろん、働けなくなった場合は生涯に渡って損害が出るのでその損害金額を請求することも可能です。マイナスというのは現在だけではなく将来がマイナスになる可能性も出ます。繰り返しになるが、いじめた側が当時の問題は当時の問題として片付けられないし、いじめられた側は過去として流す必要もありません。

どうすればいいのか?

 いじめた側の人の中にはこの記事を読んで不安を覚えてるかもしれません。将来、仕事が順調な時、素敵な家庭を手に入れた時、自分より大切なこどもと過ごしてる時、もしくは人生に余裕がない時、突然、襲ってくるかもしれません。どうすればその不安をなくせるのか悩んでいるかもしれません。

正直に伝えると……諦めてください。

 いじめた側が後でどれだけ頑張っても、悔いたところで関係ありません。時間は取り戻せないし、過去は消せません。もしかしたら、そのような請求はされないかもしれません。でもそれは「たまたま」であって、『あなたが大人になって成長したから』『過去の問題だから』という理由ではありません。

たまたま相手が現時点で訴えないだけです。 

その権利を使うも使わないも相手側が決めることで、少なくとも加害者側にその権利はありません。

もしかしたら、これから死ぬまで不安を覚えるかもしれません。少なくとも時代はいじめという“加害行為”に向き合う方向で舵を切っています。それは「いじめた側に罰を与えたい」という単純な話ではなく、あなたが忘れていた過去をいじめられた人は現在も人生にマイナスの影響を受けているという悲しい現実の現れなのです。







不安ぐらい背負って生きろ。

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