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デフ・ハッカソンを企画したときに準備したこと・考えたこと

こんばんは.ふじえもんです.

この頃,寒くなって来ました.

今日はデフ・ハッカソンを企画したときに準備したこと,考えたことを書いてみます.
この記事は2023年12月18日に公開されるデフエンジニアの会Advent Calendar2023の記事のおまけ記事です.宣伝とも言います.
上記のアドカレでは,ハッカソンを企画して,コミュニケーション面での学びや企画した経緯,これからやってみたいことなどを書いていますのでぜひ.
公開したらアドカレ記事のリンクをここに貼ります.

さて,これまで数々のイベントに参加し,話し,企画してきました.
どれも根幹にあるのは「チーム開発におけるコミュニケーション」へ向き合うために工夫したことです.

その中の取り組みの一つとして,ろう・難聴者を対象としたハッカソン(モノづくりのイベント)を企画しました.
ろう・難聴者とは,下記の説明の通りです.

一般的に補聴器等をつけても音声が判別できない場合を「ろう者」、残存聴力を活用してある程度聞き取れる人を「難聴者」と言っていますが、手話を母語もしくは主なコミュニケーション手段とする人を「ろう者」、音声言語が中心で手話を使わないか補助程度の人を「難聴者」と言うこともあります。

東京都聴覚障害者連盟「聴覚障害者とは」4.難聴者の場合 より引用

「ろう・難聴者」の表現を使っている理由は,それぞれのアイデンティティを説明する言葉だからです.聴覚障害者と言っても障害の程度や状況・コミュニケーション手段なども様々ですし,だいぶ大雑把な表現のように感じています.それからこれは医学モデルでの呼称で,近年は社会モデルの考え方が浸透してきているので,「ろう・難聴者」と使っています.
まあどう考えるかは人・企業によるので,ふじえもんは今はあんまり気にしてないです.この辺の話はキリがないのでこの辺りで.

この記事の要約(GPT-4)

  1. ふじえもんによるデフ・ハッカソン企画についての紹介.

  2. 「聴覚障害✖️AI」をテーマにしたハッカソンの準備と考えたこと.

  3. ハッカソンの一般的な流れと特定の例の紹介.

  4. ペアプロ(二人一組での開発)を採用し,初心者と経験者を組み合わせることを重視.

  5. ハッカソン当日のスケジュール:オープニング,ブレインストーミング,アイデア発表,ペア分け,開発,昼食,再開,コードフリーズ,プロジェクト発表,レビュー,閉会,懇親会.

  6. 開発時間は約4時間半,参加者からは「短い」との意見も.

  7. 準備段階では企画仲間集め,日程決定,会場確保,最小限の努力での価値提供を心がける.

  8. 当日は口話+手話+Google Meet字幕で情報伝達,アイデア出しとペア決めは当日行う.

  9. 発表時は手話と口話を使用し,共有ドキュメントで参加者間のインタラクションを促進.

  10. 終了後はアンケートでフィードバックを収集,Scrapboxに記録を残す.

  11. 今後は聴者も交えたチーム開発のコミュニケーション方法を探るハッカソンの企画も検討中.


ハッカソンってなに?

まずは,ハッカソンとはなんでしょうか.
仲間と短時間でモノを作り,最後に発表してフィードバックをもらうイベントだと捉えています.
Hack = システムの解析や改良
Marathon = マラソン.長距離を走るアレ.
Hack + Marathon = Hackathon です.

どこでもあるようなプログラム

一般的なハッカソンの流れを書いてみます.

  1. オープニング

    1. 運営の紹介,イベントの開催目的の共有

    2. ハッカソンのテーマ発表

    3. 開催期間中のスケジュールの説明

    4. その他規範や留意事項など

  2. ハッカソン

    1. 任意の時間取り組む

    2. チーム名とプロダクト名の共有&コードフリーズ&発表準備

    3. 成果発表&フィードバック(審査員からのコメント)

  3. クロージング

    1. 表彰

    2. 審査員からのコメント

ハッカソンの例

ハッカソンの例はたくさんあります.
技育展やハックツハッカソン,JPHACKSは知っていましたが,まだ知らないイベントもありました.
こちらの記事が詳しくまとまっていましたので共有させてください.
また,ハッカソンへの参加の参考にどうぞ.

多分,ろう・難聴者を対象にしたものは本企画が初ではないでしょうか?

準備したこと・考えたこと

本企画でのプログラム

ここからは,本企画についての詳細を書きます.
ハッカソンのテーマは「聴覚障害✖️AI」です.
ふわっとしたテーマですが,初回なのでとにかく聴覚障害に関係していればなんでもOK👍!課題を解決しようとしていればなおOK👍👍!としました.
また,チームの単位はペアです.二人1組で取り組んでいただきました.ペアプロに至った経緯は運営メンバーからの提案で,自分も興味があったのでやってみました.
ペアプロについてはこちらの記事がよく参考になります.とくにペアの属性が初心者か経験者かで期待できる効果が変わりますが,そのことが説明されています.

プログラムはこんな感じ.

  1. オープニング(9:15)

    1. ペアプロってなに?

    2. 今回のテーマ発表.テーマは「聴覚障害✖️AI」

  2. ハッカソン開始(9:30)

    1. ブレインストーミング

    2. アイデア発表

    3. ペア分け

    4. 開始!(10:30~)

  3. 昼食(12:00)

  4. ハッカソン再開(13:00)

  5. コードフリーズ(16:30)

  6. プロジェクト発表(17:00)

  7. レビュー・閉会(17:30)

  8. 解散・懇親会(18:00) 

ペア決めの時間があったので,開発の時間はおよそ4時間半ほどでした.
ちょっと短いですね.アンケートでも全員から,「短い!」と意見があったので,次回はもうちょっと時間を取れるようにしたい.

今回は,事前に準備することを最小限にするために当日アイデア出しやペア決めをしました.どれぐらい時間がかかるか予測がつかなかったので,事前にはやらず当日,短い時間でサクッと決めよう!と決めた次第です.

1時間で終わることがわかったので,次回は事前にオンライン上でやってもいいかもしれないですね.


上記のスケジュールをもとに,デフ・ハッカソンを企画する時に準備したこと・考えたことを箇条書きで書いてみます.なるべく時系列順に書いています.

準備段階

  • まず企画の仲間を集める

    • 一人でアレもコレもやるのは大変

    • 身近なメンバーから巻き込もう

  • 日程をさっさと決めて公表する

    • みんな学業や仕事で忙しい!!ので早めにスケジュールを確保してもらう

    • 日時が決まれば,運営も自ずと実現に向けて動かざるを得ない

    • 他のイベントと被らないようにする.下記のページがよくまとまってます.

  • 会場を抑える

    • インターネット環境がある

    • ホワイトボードがある

      • アイデア出しやコミュニケーション手段など.

      • 付箋やペンも用意しておきましょう

      • お菓子や飲み物もあると親切です.

    • 広い

      • 人数に応じた広さが肝心.とくに今のご時世(2023年付近)だとちょっと広めの方がいいかも?

    • 交通アクセスがしやすい

      • 大事.参加への心理的ハードルを下げることに繋がる.

      • 場合によってはオンラインの準備もあるかもしれません.

    • 今回は運営メンバーにご協力いただき確保していただきました.

  • 最小限の努力でもの・価値を提供する(Be Lazy.エッセンシャル思考.)

    • お昼ご飯は各自で.事前の弁当注文・配達受取などは無し

      • メシは大事だけどハッカソンの中では最重要ではない

    • Discordのリアクションを使って参加意思表明

      • どれぐらい参加してくれそうか簡単に回答してもらえるやり方で調査する

    • ↑の参加希望者を直接メンションしてアンケート回答を促す

      • 氏名,Discordのアカウント名

      • 参加目的

      • 試してみたいアイデア

      • コミュニケーション手段や,希望する情報保障手段

      • プログラミング言語

      • 懇親会への参加の有無

        • アレルギーの有無

        • オススメのお店,気になるお店

    • 最初はオンサイト開催のみ.最初からハイブリッド開催をやらない.

      • 実際にFace-to-Face(対面)でやった方が,何かあったときの対応もしやすいです.

      • またコミュニケーション面でも相手の感情などもよく伝わると思います.

      • また,ハイブリッド開催は大変なのを別コミュニティやイベントに参加して知っているので推奨しません.慣れたらアリ.

    • 事前の準備はできるだけしない.なるべくその場で即興でやる.

      • 本当に必要なことだけ準備しましょう.アレもコレもやろうと考えると時間が足りないし,大変です.必要ならその場で,あるいは次回の開催の参考にすればOKです.

    • ハッカソン参加のための勉強会・説明会はやらない

      • いわゆるキックオフです.

      • 参加に必要な説明はすべてDiscordなどで文字として残す,いつでも参照できるようにする.

      • 一方的な情報伝達だけならわざわざMTGする必要はないと思っています.なのでやりませんでした.

        • 10人ぐらいだと不要だけど,それ以上,3桁人規模だと必要なのかも?

当日

  • 基本,口話+手話+GoogleMeet字幕(修正無し)で発信する.

    • ほかの情報保障が必要があればできる範囲で対応する.

      • 補聴援助システムであるPhonakの「ロジャー」の使用など

      • ほか音声認識アプリの公開

    • 自分の場合,普段から口話+手話を使っています.場合によっては補助で字幕も出しています.(可能なら修正もする)

    • 参加者にろう・難聴者がいることがわかっていれば基本,この対応です.あとは状況に応じて.

    • 参加者・関係者全員に等しく情報伝達することが目的です.

  • 当日の様子を写真や動画に撮っておく(2023-12-18追記)

    • アイデア出しや開発,コミュニケーションの様子などを記録するように運営メンバーにお願いしていました.

    • 後からこうして記事に書き起こす際にも,何があったのかをより細かく描写することができます.

    • 自分のコミュニケーションの様子が客観的に見れたりして嬉しい

  • ホワイトボードや付箋を使ってアイデア出しとペア決め

    • ほぼ初対面のメンバーが集まったので,当日の対面でのやり取りに時間をかけるようにしました

    • 結果的にアイスブレイク的な時間になりました

      • 自己紹介

      • どんなことに興味があるかの共有

      • アイデアや考えたこと

    • メンバー間で話し合ってペアを決める

      • 経験者と初心者の対になるように.

      • 今回はちょうど社会人と学生が半々だったので,その組み合わせで決めた

  • ハッカソン開始!なんか困ったら運営に気軽に声かけてね!

    • 楽しい開発の始まりです.

    • 運営も開発に参加することにしたので決まったペアで開発しました.

    • 「なんかあったら相談してね」と声をかけ,たまに会場の様子を見るようにしていました.

      • 実行エラーとかマイクのトラブルなど相談がありました.

      • ホワイトボードの追加とかも対応しました

  • コードフリーズ!終了です.発表準備してね

    • ペアとプロダクト名,スライドリンクをフォームで共有してもらいました

    • 共有されたリンクの動作確認をしました

    • 会場へ投影するPCですべてのペアのスライドを開いておきました

      • 発表者にはこのPCを使って操作してもらいました

      • 発表端末の切り替えにかかる時間ロスなどを削減するため

  • 発表!何を作りましたか?

    • 5分で発表してもらいました

    • 基本的に全員が手話を使っていたので,手話と口話で発表

    • 聴衆には,コメントや質問をかける共有ドキュメントに入ってもらい,自由にガヤガヤワイワイしてもらいました

    • 発表が終わったら質疑応答の時間

      • ドキュメントをみてコメントしたり,

      • 聴衆の質問に答えたりしてもらいました.

  • 発表終了!お疲れ様でした!

    • 締めの挨拶をして,この後の懇親会の案内をしました.

  • 終わったら参加者でご飯を食べる

    • いわゆる懇親会

    • 会場はアンケートで募集する

    • 希望者数で予約しておく

    • 事前にコース,料金を伝えておく.

      • 学生は安めに.社会人にちょっと多めに出してもらう(これは当日伝えました)

後日

  • 終わったらアンケート回答を促す

    • イベントへのフィードバックをもらって次回開催時の参考に.

    • 参加者自身の学びややったことのふりかえりをしてもらう

  • やったこと・考えたことをScrapboxに書いておく.

    • 過去に自分がやったことは,未来の自分は覚えていないことを前提にできるだけ何でも書く.

    • とにかく文字に残しておく.検索や参照しやすい.

    • 書いておくと,未来の自分や他人に参考情報として渡すことができます

      • 再現しやすくなります

      • 引き継ぎも楽です

  • (これみたいに)noteに書いて他者と共有する

まとめ

大体こんな感じです.今回は運営時に考えたこと・やったことに焦点を当ててみました.
実際のペアプロ中のコミュニケーションについてはアドカレの記事で書きます.
こちらの記事をアドカレにしてもいいのですが,多分読者が気になる,読んで面白いのは運営としてやったことより,学んだことや気づいたこと,次やってみたいことだろうと思ったので,こちらは前座として書きました.
当時使ったスライドやDiscordなどを見返しながらふりかえりました.
ハッカソンやその他イベント企画運営の参考になれば幸いです.

次回はいつになるかな.2024年もどこかで開催したいと考えています.
今度は今回より面白いテーマでできそうです.

聴者も交えたときのチーム開発のコミュニケーションのあり方を探るハッカソンもやりたいですね.(興味があるコミュニティがいればぜひ)
来年の某カンファレンスのOSTでネタ提供してみようかな.(ボソっ)

以上.ふじえもん.

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ふじえもん
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