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【連載小説】雲の中のマンゴー

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この小説は、自動車部品メーカーを営む静岡の中小企業の若き経営者「沢村 登」が、雲を掴むがごとく様々な問題や課題に直面しながら、企業グループの新しい未来づくりを模索し農業という新事…
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2021年8月の記事一覧

雲の中のマンゴー|#12 マンゴーハウス

★前回はこちら ★最初から読む 第12話 「第2章~その5~」 2019年8月中旬 「玄さん、このナナマルには俺が小学生の時に最初に乗せてもらったんだよね。変わらず格好いいねぇ~何キロ乗ってんの?」 登は、黒岩の運転する1988年式ランドクルーザー70(通称:ナナマル)の助手席から、ガラガラと騒がしいディーゼル音に負けじと声を張った。 「33万キロ、今でも快調です。もちろん自分で整備していますよ。」 「33万キロ!タフだなぁ。」 1988年といえば登が小学校2年生

雲の中のマンゴー|#11 農業を新規事業に

★前回はこちら ★最初から読む 第11話 「第2章~その4~」 2019年8月初旬 黒岩玄の定年退職まであと8ヶ月。農業を研究すると思い立ち、イの一番に相談するべき相手であるとは思っていたが、登はなぜか相談できぬまま数ヶ月を過ごした。自分なりの判断基準をしっかり持ったうえで、黒岩に相談したいと思うようになっていたからだ。 ある日、登は総務人事部門で忙しく仕事をしている黒岩に内線を掛けた。 「はい、黒岩です。社長、なんでしょうか。」 「黒岩本部長、今週時間をいただけな

雲の中のマンゴー|#10 熟成による付加価値化

この物語は、自動車部品メーカーを営む中小企業の若き経営者「沢村 登」が様々な問題に直面しながら、企業グループの新しい未来づくりを模索し新事業に挑戦する「実話を軸にしたフィクション」ストーリーである。 Novel model Mango Kawamura  Author Toshikazu Goto ★前回はこちら ★最初から読む 第10話 「第2章~その3~」 「ああ、それは、 まだ準備段階なんですが、じゃがいもの長期熟成の研究と実験をしていこうと考えていま

雲の中のマンゴー |#9 似つかわしくない論文

この物語は、自動車部品メーカーを営む中小企業の若き経営者「沢村 登」が様々な問題に直面しながら、企業グループの新しい未来づくりを模索し新事業に挑戦する「実話を軸にしたフィクション」ストーリーである。 Novel model Mango Kawamura  Author Toshikazu Goto ★前回はこちら ★最初から読む 第9話 「第2章~その2~」 「叔父さん、ハウスって思っていた以上に立派だね!」 登は元サワムラの役員であり、父、沢村一の弟である沢