エッセイ④「うたた寝の誘引」
冬の頃の睡眠のおはなし。
「誰しも”冬眠したい”って思うことがあるに違いない!」
と、寒さの苦手なこの東北民は決めつけています。
これは冬に書きましたが、夏も眠りの季節だなあ、と思います。
暑さが身体中に絡みつくようにベッドに縛りつけてくる日があります。
ゴロゴロ体制を変えながら、戦っています。笑
起きようと戦っている時って、夢の中でも何かと戦っています。
今朝も全力で何かと一戦交えてから、1日が始まりました。
夢の中では勇者。起きたら寝ぼすけ。
山の動物は冬眠をする。
たくさん食べて、ふっくらと肥え、それから長い眠りにつく。
だから山の冬眠をする動物は本当の冬の寒さを知らない。
暖かくなり目が覚めれば、それは気持ちのよい春の季節がもうそこに訪れている。
人間に冬眠は必要ないのだろうか。
昔から暖房器具が人の生活にあったわけではない。
もしかしたら、人間にだって寒い季節に冬眠は必要なのではないか。
火を起こすことを知る前は、きっと人もたくさん眠っていたに違いない。
眠ることが好きだ。とくに、うたた寝の快楽には耐えられない。
栄養が行き渡るようになった人間の体に、そこまで睡眠は必要ないのかもしれない。それには同意する。わたしだって眠るよりも激しく仕事をしたいこともある。
ただ、ここのところは寒い日の午睡。部屋を暖かくして熱い飲み物を口にし、ソファに寄りかかるうちに押し寄せる甘い快楽の波には打ち勝てない。いや、自ら頭を垂れて襲われるのだ。うたた寝は「さあ、寝るぞ」と思って寝てはいけない。あからさまに待ち構えてはいけない。わざと隙だらけで招き入れる。そうすれば、ああ、なんと甘美な淡い眠り。
それから、朝だ。目が覚めた時に窓から差し込んでくる日の光。暖かなふとんの中で、もう少しと目を閉じた時のまどろみ。
明るいからこそ、暗い夜を抜けたことで安心して眠ることができる。
ふとんから出たら、たちまち寒さに目が冴えてしまう。それがわかっているからこそのわがまま。少しの余剰が許された時の、ゆったりとした心地。それが通るとしたら、なんて贅沢な一日の始まりなのだろう。
だから、思うのだ。
冬眠。できるとしたら、どんな眠り心地がするのだろう。ひとつの季節、たっぷり眠るとしたら。春へ向けて眠るのだ。きっと悪夢は見まい。あんな贅沢な季節の過ごし方をしてみたい。
とはいえ、さすがにひと冬も眠って過ごしたら色々と生活が成り立たなくなる。
それに冬の美味しいものを口にできないとは辛いことではないか。鍋。みかん。
そんなわけでわたしは冬眠ではなく、ひとときの睡眠に楽しみをとどめておくことにする。
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