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エッセイ⑫「ゼロカロリーのポイント」

はっきり年数が書かれているので、いつ書いたのかな〜ということがわかって面白いですね!

これを書いたときは、まさか感染症の影響で東京オリンピックが延期になるなんて、想像もできませんでした。


振り返ってみれば、こんな誰しも気が付きそうなシステムの抜け穴が本当にあったのかなあ、と思います。
もしかしたら、キャンペーンの最中に変わったりしたのかなあ。

真相はわかりませんが、我ながらそれでもズルなしにポイントを集めようとしていたのが、クソ真面目過ぎておかしいです。

あれから3年。わたしは成長したというより、ちょっと頭が柔らかくなりました。
今ならポイントはひとつのマークから絞り出せるだけ絞り出します。

コロナを経て、大変なこともあって、世の中みんながやっぱりちょっとしたたかになっていたりして。



 そういえば、2020年である。
 2020年と言えば、オリンピックイヤー。今年は東京で開催されるんだなあ。毎日テレビでは何かしらオリンピックのことが取り上げられている。
 とはいえ、実感が乏しい。
 福島県は聖火リレーの出発点らしいが、情報として知っているだけで、あまり身近なところでは「いよいよだ」というワクワク感が感じられない。

 それが先日から、東京オリンピックに関してちょっとした楽しみができた。
 コカ・コーラのキャンペーンに参加し、ポイントを集め始めたのだ。12ポイントで1回応募でき、オリンピックの好きな競技のチケットが当たるキャンペーン。
 ポイントは対象商品のラベルのマークを、スマホの専用アプリで読み込むことで集められる。
 母が500mlのコカ・コーラゼロを箱買いした。これで間違いなく1回分は応募できる。
 わたしは毎日コーラを飲み、ペットボトルのラベルに書いてあるマークをアプリで読み込んでは、地道に1ポイントずつ貯めていった。

 ついに数日前、12ポイントが貯まった。
 思えば長い道のりだった。涙ぐましい努力の結果だ。たとえお腹が張り気味で炭酸を受け付けない日でも、わたしはひとり、1日も怠けることなくコカ・コーラゼロを飲み、ポイントを集め続けていた。(家族はほとんどコーラを飲まない。)
 その日も最後の1滴まできつい炭酸飲料を飲み干し、ラベルのマークを読み込んでついに12ポイント目を手に入れた。
 さっそく「サッカー」競技を選んで応募ボタンを押す。
 さて、結果はいつ出るのだろうなと楽しみにしていたら、これはその場で抽選結果がわかるキャンペーンだったらしい。
 あっさり落選した。
 ふいうちにデコピンを食らったようだった。まだ心の準備もできていなかった。せめてもう少しの間ワクワクしていたかった。
 まあ、外れたものは仕方がない。まだコーラは残っている。諦めず、また1ポイントずつ集めていこうじゃないか。

 そこでふと気がついた。というか、気になっていたことを確かめようと思った。
 このキャンペーンでは、ポイントは1日に1回しか読み込めないという制限がある。しかし、ペットボトルのラベルのマークはどれも同じに見えるのだ。
 もしかしたら、ラベルのマークはひとつのペットボトルのものを使い回してもポイントとして読み込めるのではないか。1本のコーラさえ手に入れていれば、何本も飲まなくても毎日ポイントを集められるのではないか。

 次の日、わたしは震える手で昨日飲み干したペットボトルのラベルのマークを読み込んだ。
 ……読み込める。1ポイント獲得。
 わたしの日々のコカ・コーラゼロとの戦いは何だったのだろう。

 とにかく、わたしは正々堂々と戦った。
 せっかくのキャンペーンにあまり小賢しい手を使うのもどうかと思うし、キャンペーン期間中はまだまだコカ・コーラを飲んでポイントを集めていこうと思う。
 それに、わたしが飲んでいるのはコカ・コーラゼロだ。
 溜まったカロリーはゼロだから、これでよしとしようではないか。

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