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生活習慣病に対するニンニクの効果 50の研究情報を整理したレビュー論文をご紹介

ニンニクは、健康の維持・増進に役立つ食品として広く認知されています。健康効果に関与しているのが、「アリシン」「ジアリルジスルフィド」「S-アリルシステイン」「ジアリルトリスルフィド」をはじめとする硫⻩化合物です。抗酸化作用や抗炎症作用があるこれらの物質は、高血圧・糖尿病・高脂血症などの予防・改善に有効かもしれません。50件の研究情報を整理した海外のレビュー論文では、さまざまな疾患に対するニンニクの効果が整理されています。

ニンニクの機能性研究の情報をレビュー

学術顧問の望月です。前回の記事では、アスタキサンチンの抗酸化作用のメカニズムを解説しました。今回の記事では、『The Scientific World Journal』に2021年に投稿された「Revealing the Therapeutic Uses of Garlic (Allium sativum) and Its Potential for Drug Discovery」というレビュー論文をご紹介します。機能性食品としてのニンニクの研究情報が整理されています。

ニンニクには、炭水化物・たんぱく質・脂肪・ビタミン・ミネラルといった栄養成分がバランスよく含まれています。ニンニクの機能性成分として知られているのが、「アリシン」「ジアリルジスルフィド」「S-アリルシステイン」「ジアリルトリスルフィド」などの硫⻩化合物です。これらの物質に加えてニンニクには、ペプチド、ステロイド、テルペノイド、フラボノイド、サポニン、フェノールが含まれています。

レビュー論文では、ニンニクの機能性研究に関する論文を医学論文検索ポータルなどから抽出。200件のうち、選定基準を満たした50件の研究情報を整理していきました。具体的には、「抗酸化作用」「抗炎症作用」「高血圧に対する効果」「高脂血症に対する効果」「糖尿病に対する効果」「心血管の保護作用」「肝臓の保護作用」「抗菌作用」「抗ウイルス作用」「抗ガン作用」「血小板に対する効果」「駆虫活性」「ストレス軽減効果」「貧血に対する効果」「膣感染症に対する効果」という項目があり、それぞれの概要が取りまとめられています。

健康効果のベースは抗酸化・抗炎症作用

すべてをご紹介するのは困難ですので、今回の記事では「抗酸化作用」「抗炎症作用」といったニンニクの基本的な機能性と、「高血圧に対する効果」「糖尿病に対する効果」「高脂血症に対する効果」「心血管の保護作用」といった生活習慣病に関する項目を抜粋します

●抗酸化作用

抗酸化物質が豊富なニンニクには、細胞膜やDNA を傷つけて老化を加速させる活性酸素に抵抗する働きがあります。これらの働きをもたらしているのが硫化ジアリルや二硫化ジアリル、s -エチルシステインやn -アセチルシステインです。抗酸化酵素を活性化させて、脂質の酸化を防ぐことが実証されています。

●抗炎症作用

抗炎症作用は、ニンニクの代表的な機能性の一つです。ある研究では、TNF-αおよびIL-1といった炎症誘発性サイトカインの発現と産生を抑制することが報告されています。ニンニク油を投与する動物実験では、腸の炎症の改善や炎症に関わるサイトカインの調節効果が認められています。関与成分と考えられているのが、ジアリルスルフィドやアリルメチルスルフィドです。

●高血圧に対する効果

ニンニクのサプリメントの効果を評価する臨床試験では、血圧と酸化ストレスの改善効果が示唆されています。ニンニクの有機多硫化物を硫化水素に変換するときに生成されるニンニク硫⻩化合物が血管に作用していることが、試験管実験で証明されています。

●糖尿病に対する効果

糖尿病のモデルマウスを用いた実験では、ニンニク抽出物がインスリンを増加させ、血液中のグルコース、総コレステロール、トリグリセリド、尿素、尿酸、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼを減少させるという結果が得られています。血糖値に対する効果は、糖尿病のウサギやラットでも確認されています。関与成分は、ニンニクの揮発性硫⻩です。ニンニクは、インスリン抵抗性の管理に役立つことも実証されています。

●高脂血症に対する効果

ニンニクには、肝臓における脂質の生成、コレステロールを形成する酵素の働きを阻害することがわかっています。これらの働きをもたらしているのは、成熟したニンニク抽出物に含まれる S-アリルシステインやニンニク油に含まれるジアリルジスルフィドなどの水溶性有機硫⻩化合物であることも明らかになっています。

●心血管の保護作用

高血圧・糖尿病・高脂血症に対する働きとの重複もありますが、ニンニクの摂取はアテローム性動脈硬化症の予防にも役立ちます。海外の研究では、血小板の凝集を抑制する働きや、血栓を取り除く線維素溶解活性を増加させる働きがあることが報告されているのです。

国内外で古くから民間療法に取り入れられてきたニンニクの健康効果のベースは、抗酸化作用と抗炎症作用です。これまでの記事でも解説してきたとおり、さまざまな疾患に関与している酸化・炎症の悪循環を断ち切るのは重要なことです。不二バイオファームでは、ニンニクスプラウトとアスタキサンチンを主原料とするアスタニンを展開しています。引き続き、これらの最新の研究情報には注目していきたいと考えています。

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