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B級映画の魅力

近年、B級映画の人気が高まっているのを感じる。
古くは筋肉少女帯の大槻ケンヂが取り上げたことでサブカル趣味の一角として確かな地位を気づいてきたB級映画だが、チェンソーマンのブームによりその地位をさらに押し上げた印象がある。
では、B級映画の魅力とはなんなのだろうか。
そもそも、B級映画とは、所謂ハリウッドで撮られたような大規模なものではなく、低予算で作られた質の悪い映画を指す。
もしくは、ハリウッド並みにお金をかけたが、大人の事情で配慮に配慮を重ねた結果配慮しか残らなかったような作品を指す。
内容としては展開が雑、演技が棒読み、オブジェが貧相などがあげられ、映画としては決して面白く無い。「このような映画を観るくらいであれば足の爪の垢を取っていた方が有意義だ」と感じるような映画である。
「そんな映画がこの世にあるのか」と驚く方もおられるかもしれないが、残念ながら定期的に制作されている。
俺が初めて触れたB級映画は、「ミステリーツアー」という映画だ。
ここで間違えてほしくないのが、ビートルズの「マジカルミステリーツアー」とは異なる。
ミステリーツアーは、イケてる男女グループが島に旅行に行くと、そこで殺人鬼が現れ1人ずつ殺されてしまう、と言ったホラー映画だ。
ここまでだといたって普通の、しっかりとしたホラー映画のようなのだが、とにかく雑なのだ。

まず、シチュエーションがワンパターンすぎる。
初めに殺人がおき、グループの1人が「俺はこんな殺人鬼がいるかもしれねぇ奴らと一緒にいられねぇぜ!」といい1人になる。するとそいつが殺される。ここまではいい。その殺人をきっかけに「俺はこんな殺人鬼がいるかもしれねぇ奴らとは一緒にいられねぇぜ!」と別の奴が単独行動を始める。当然殺される。すると、「俺はこんな殺人鬼がいるかもしれねぇ奴らとはいっしょにいられねぇぜ!」と単独行動をする奴が現れる。殺される…。

このパターンが延々と続く。

しかし、制作側も途中で「もしかしたらこのままでは退屈なのでは…?」と気付いたのだろう。対応策として定期的にお色気シーンが挟まっている。

そのため、この映画は
殺人→発覚→単独行動→おっぱい→殺人→発覚→単独行動→おっぱい→殺人…
というループによって成り立っている。
アダルトビデオの方がまだ展開がある。

次に、トリックが雑すぎる。
主人公が殺人鬼を追い詰め、この部屋のどこかに隠れている、というところまで来た、正にクライマックスといっていいシーンのことだ。
その部屋には、人が入れそうなサイズの水瓶が不自然にも2つある。
当然、主人公は片方の水瓶に手を入れる。いない。
「どうやらここにはいないようだ…」
耳を疑った。2つあるのに。

案の定、もう片方の水瓶から殺人鬼が出てくる。
「俺は長いこと息が止められるんだ!」

これにはコナンもびっくりである。これでどう怖がればいいのか。そもそも怖がらせる気はあったのだろうか。

最後に、ストーリーも雑なのだ。
「なぜお前は人を殺すんだ」
主人公が迫真の演技で殺人鬼に迫る。
「まぁ色々あるんだよ」
登場人物に多くは語らせない方がいい。とはよく言うが、流石に語らないにも程があるだろう。
色々あるんだよで済まされてたまるものか。

さて、ミステリーツアーについて長々と語ったが、ここまで読んだ読者の皆様方ならもうB級映画の魅力に気付いたのでは無いだろうか。

そう。とにかくB級映画は思い返すとおもろいのである。

元来、オタクと言うのはこのような「メタ」的な鑑賞方法を好む傾向にある。

普段から読者諸君も、

「オウフwwwまた庵野の悪い癖キタコレですねwww おっとっとwwww 拙者『キタコレ』などとついネット用語がwwwwついマニアックなコメントを書いてしまいましたwwwフォカヌポウwww拙者これではまるでオタクみたいwww 拙者はオタクではござらんのでwwwコポォ」

と、Twitterで楽しげに話していることからわかるように、オタクは「特有の癖」みたいなものが大好物だ。それが客観的に見て粗雑であればあるほど鼻息荒く興奮する。

そもそも、名作と言われる映画であれば、語る必要が無いのだ。「ルックバックマジやばい。俺のことかと思った。泣きすぎて顔ない」で十分である。

例えるならば、B級映画は視聴者参加型の相席食堂なのだ。

「あそこマジで意味わからんwwww」
「金返せwwww」

などと、「A級映画」を知っているサブカルクソ野郎だからこそツッコむことができる高尚な遊戯なのである。

読者諸君、「あの映画はなんだかつまらなかったね」で終わるような一般ピーポーに成り下がること勿れ。我々はB級映画にブヒブヒとツッコミ続けろ。

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