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フォームが変なドラマー

ある日、Twitterを眺めていたらリンゴスターの映像が流れてきた。
俺は基本音源至上主義で、ライブ映像を観ることはあまりなく、ましてや自分がギタリストのため、ビートルズの中でジョンでもジョージでもなく、わざわざリンゴスターの映像など注意して観る機会などもちろんこれまで無かった。

初見の印象は「こいつフォームおかしくね??」だった。

初めに伝えておくと、俺は「まぁ一応ギターやってますけど、一通り楽器はできます」タイプのミュージシャンではないので、「ここのタムの叩き方が…」だとか、「レガートの刻み方が…」みたいなことは一切わからない。しかしながらリンゴスターのドラムから漂う「とりあえずこの太鼓叩いとけばいいんすよね?」といった雰囲気に大きな違和感を覚えた。

ただ、リンゴスターがドラマーの中で異質であることは知識として持っていた。
知識が薄い分、言語化は難しいのだが、なんかネトネトしてる。
リンゴスターの息子が「お父ちゃんドラム教えて!」とおねだりしたところ「ドラムなんて習うもんじゃありません!」と一喝したエピソードも有名だ。きっとリンゴスターがドラマー界の奇才であり、特異点なのかもしれない。そう思い、一喝された後、リンゴスターの息子の師匠となったキースムーンのドラム映像を見てみることにした。

結論から言うともっとおかしかった。

リンゴスターが「とりあえずこの太鼓叩いとけばいいんすよね?」感がある、と書いたが、キースムーンは「太鼓楽しいー!FOOOO!!!」と言った陽キャみを感じる。まるで初めてスタジオに入った高校生バンドのギターが初めて見る生のドラムに興奮してアンプのセッティングなど後回しでドラムから離れない時のような叩き方だった。

よく分からなくなってきたので、ドラムをやっていた大学時代の先輩に「キースムーンってちょけてんすか?」とLINEで聞いてみた。

「キースムーンとか、その時代のドラマーというのは理論など確立されていないので、ドラム以上に音楽をやっていたのだ。」

と返ってきた。とても腑に落ちた。

音楽を聞き始めたのが確か中学2年生の頃からなので、おおよそ14年ほど経つが、「ライブ映像で見るドラマーの変なフォーム」という新しい音楽の見方が自分の中に生まれた。音楽、ずっと楽しい。すごい。

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