あの花推薦防止条例
深夜アニメを観たことない人間に「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」を推薦することは条例で禁止した方がいい。
君に悪意がないのは重々承知だ。友人が君の趣味に興味を持ってくれたのだ。叶うならば、友人と「今期何観てるー?」などと会話したり、共にアニメイトへと赴き、お揃いのステッカーなどを透明なスマホケースの裏などにしたためるなどしたいのだろう。そのため、「物語として面白い」「設定が硬派すぎない」などなど、様々なフィルターをかけた結果、あの花が残るのはわかる。
ただ思い出してほしい。あの花は10話まで面白くない。
当時、まどマギが放送された頃、「3話までが伏線ってすげーよな!」などと囃し立てたものだが、あれは魔法少女→鬱アニメへのギャップが印象的なため、「えらく引っ張った」ような印象を受けるが、あの花は10話伏線だ。
当時観てた我々の記憶では最初から最後まで面白かったと思う。幼馴染のあだ名がアナルだったり、ヤンデレ女装お兄さんが出てきたりなど、「来週はどうなるのだろう」と展開を楽しみにできた。
ただ、君があの花を友人に勧めることによって、友人は休日の5時間半をあの花に費やすことになる。
11週で5時間半観るのと、貴重な休日を使い5時間半観るのとでは全く別物だ。君の善意は友人をさらにアニメから遠ざける行為に他ならない。
「でも、最後のめんまの「見つかっちゃった」まで観てくれたら良さがわかるはず」
そんなことを考えていないか。それは君がオタクで、アニメに見慣れているからだ。普通の人間は5時間半もアニメを観たら疲れてそれどころじゃない。
君が言っていることは「あの景色をみたら登山の疲れなんて吹っ飛ぶね」と、富士山の山頂でにこやかに笑うスポーツマンと同じであることを自覚したまえ。
挙げ句の果てに君は次の休み明けにきっと友人に感想を求めるだろう。「まだ見ていない」といえば「早く見ろ」といい、「合わなかった」といえば「ならばシュタゲを見ろ」といい、「おもしろかった」といえば「ならばとらドラ!も観よ」と勧めるだろう。君の友人はガチョウではないのだ。そんなに詰め込んでもフォアグラはできない。
それに今、君はシュタゲと言ったか。シュタゲなんて絶対に勧めてはいけない。オタクではない人間にとってラボメンの会話から分泌される共感性羞恥は致死量だ。そしてとらドラ!も危険だ。我々にとっては今更どうってことはないが、くぎゅのツンデレボイスが受け付けなかった場合は1発アウトだ。我々は長い年月をかけてくぎゅボイスのワクチンを打っているから平気なだけでアニメに触れてこなかった人間とっては少々ハードルが高い。
そして、君はやれあの花だ。やれシュタゲだと、ちょっと自分のセンスを出そうとしていないか。「ただのアニメオタクのように見えてるかもしれないけれど、実は芸術として鑑賞してるだけなので…。」というのを見せつけたい臭いがプンプンするぞ。君が芸術としてアニメを見ているのならば、スマホで微笑む白銀ノエルをどう説明するつもりだ。さては先日の給食の時間にぎゅーどんかーにばる!をリクエストしたのも君だろう。君のせいで教室の空気がとんでもないことになった。何が「雑談が面白いから見てるだけで…」だ。白銀ノエルに雑談から入るやつなんているわけないだろう。
いいかい。アニメを勧めるならば「面白い」ということと同じくらい「いつ観るのを辞めてもいい」というのが大事なんだ。とにかく1話観てみて、面白ければ2話も観てみようか。そのくらいで楽しめる作品を勧めるべきなのだ。
君は全く趣旨をわかっていないようだ。てーきゅうなんて勧めたところで早口で何を言ってるかわからないだろう。短ければ短いほどいいわけではない。
おそ松さんも違うぞ。あんなパロディだらけのアニメ見て面白いのはオタクだけだ。あと2期の下ネタが下品すぎて流石にしんどい瞬間がある。さらに君のことだ。純粋な気持ちで鑑賞した友人に一唐がどうたらこうたらと語り出すだろう。別におそ松さんはBLアニメではないんだ。弁えたまえ。
言うまでもないが、今君がdアニメストアで再生しようとしているゆるゆりも勿論違う。
君の視野はいつも狭い。自分しか見えていない。
友人に最初に勧めるアニメはついつい次の話を観てしまうようなアニメがいいとは言ったが、それと同じくらい深夜アニメ特有の癖がないようなアニメを選ぶべきだ。そのようなアニメであれば、友人も暇な時に少しずつ観ることができるだろう。
兎にも角にも、あの花は最初に観せるべきアニメではないんだ。ここまで説明すれば君ももうある程度どのようなアニメを勧めればいいかわかったのではないだろうか。Angel Beats!…。もう君には何を言っても無駄なようだ。好きにしたまえ。
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