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10/20 NVC体験ワークショップin高知が最高だったワケ!~下敷きさんと秋祭り~
「学ぶって楽しい!」という感覚を再起動させるために、誰かのための「役に立つ」から離れて遊び、学ぶイベントを行う場を作りたい!と思って立ち上げた「役に立たない塾」。
今回のテーマは「自分も相手も大切にするコミュニケーション」であるNVC (non-violent communication:日本語では非暴力コミュニケーションと訳される)。一見するとなぜ「役に立たない塾」でNVC?と思われるかもしれないが、実はピッタリのテーマだ。
NVCはアメリカの心理学者マーシャル・ローゼンバーグ博士が提唱した、自分も相手も大切にするコミュニケーション方法であるが、NVCが志向するのは、「何かをする場合に、恐れや罪悪感、恥の意識、義務からではなくて、豊かな人生に貢献したいという思いを原動力にして、心の底から与え合う」関係性。「~すべき」「~ねばならない」に囚われると、このような「お互いの幸福に貢献したい」というエネルギーから遠ざかったコミュニケーションになってしまうことをローゼンバーグ博士は指摘している。これが「誰かのために」という他人軸の「役に立つ」から離れて、自分が本当に大切にしたいものに目を向けてみようという「役に立たない塾」のコンセプトにピッタリなのである!
実は個人的に2年ほど前からNVC Singapore さんにお世話になり、NVCを学び続けているのだが、今回、「下敷きさん」というNVCツールが誕生し、全国でこの時期に~下敷きさんと秋祭り~という名のもと、イベントを同時多発的に行うことになり、「一緒にやってみない?」とお誘いを受けてワークショップをやってみることに。NVCのワークショップをやるのは初めてだったので、個人的にはとても緊張していたのだが、結果として「本当にやってよかった!」と思えるイベントになった。
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普段私たちは自分の「感情」に目を向け、言葉にして相手に伝えるということをどれぐらいやっているだろうか?「怒り」や「悲しみ」といった感情にハックされて声を荒げたり、キツイ言葉を突き付けてしまう、あるいはそんな態度をとってしまうことはあっても、「自分は悲しい」とか「自分はこわい」と相手に伝えることはあんまりないのではないだろうか?自分の感情を表す語いをみなさんどれぐらい思い浮かべられるだろうか?
今回、ワークショップで参加者に「モヤモヤした体験」を話してもらった。「モヤモヤ」というだけあって、実は自分でのその正体がわかっていないことが多い。そして正体がわかっていないからこそ、とてもしんどい。
そこで下敷きさんの出番である。下敷きさんには、小学生でもわかるようなことばで54の感情を表す言葉が記されている。今回は、話を聞いている側が相手の話を聞いて、「きっとこんな気持ちなのかも!?」と感じた言葉を下敷きさんのリストから選んで相手に伝えてもらった。
実際に伝えてもらうと、「うーん、それはちょっと違うかも」という反応になったりもするが、いくつか選んでいくうちに「まさにそれかも!」というものが見つかっていく。それだけでも不思議とかなりスッキリとするのだが、そこで止まらずに、その後、下敷きさんの裏面にある「たいせつにしたいのは?」というニーズを表す54の言葉のリストから、相手の感情の奥にある「大切にしたいニーズ」を一緒に探す。NVCでは、感情はニーズが満たされた or 満たされなかった結果に起こるものと捉える。そして「あなたは〇〇を大切にしたかったから、△△という気持ちになったんだね」と伝えてみる。これがうまくハマると、自分の本心とつながれた感じがして、本当にスッキリするのだ!
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なんとなく正体のわからないモヤモヤから、なんとなく不機嫌に相手に当たってしまったということはないだろうか?(私は身に覚えがありすぎる・・・)これって実は自分も他人も大切にできていない状態である。
「そうか!自分は〇〇が大切にしたかったのに、それが満たされていなかったから△△という気持ちになっていたのか!」と自分の本心につながれた時、その自分の中にある「願い」を満たすためにどんなことを相手にリクエストしたらいいかも明確に見えてくる。
そしてこの本心につながったリクエストを前にしたとき、相手は共感を覚え、不思議とそれに応えようという気持ちになることが多い(いつもではないが・・・)。人間にとって、相手の豊かさに貢献できることは喜びなのだ。
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NVCと下敷きさんが高知でも広まりますように
今回のワークショップでは、「感情」と「大切にしたいこと(ニーズ)」に目を向けてみることに焦点を当てた。参加してくれた人は、普段言葉にしないことを言葉にする気恥ずかしさを感じつつも、自分や相手の中にあるモヤモヤの正体がわかることで違う景色が見え、相手を思いやる気持ちが湧いてくることを体験してくれたようだ。そのインパクトは驚くほど大きかった!
そして、「この下敷きさんがとってもいい!」という声もたくさんいただいた。下敷きさんを世に送り出してくれたKumikoさん、さだかね志保さん、mikiさん、miyukiさんに本当に感謝!
「もっと学びたい」という声もいただいたので、マーシャル・ローゼンバーグ博士の本の読書会を定期開催しようと思う。高知でNVCと下敷きさんが広まってくれることを心から願う。