Fichronicle #55『都会的な店で その5』
急須と湯飲み茶碗の隣にあるのは、木のスプーン。
数百年前であればきっとメジャーな存在だったように見えるそれは、2021年の現代ではロマンや趣のあるものとして僕の中では存在している。世間的にはどうかは今のところ知らない。
木のスプーンもまた、この店の世界観に合っている。
(食器は何にしようか。)
スプーンを使うには食べ物が必要。食べ物を供するには食器が必要。
そんなことを思うお客の気持ちを汲んでいるのか、すぐ近くには数種類の食器があり、僕はとある素材で作られたそれに惹かれた。
近づいてみるとアカシアの木で作ったお椀らしい。
(アカシア、、、あのゲームのサバンナ気候で出てくるあの木か。)
あのゲームとは、何年経っても大人気な“あのゲーム”である。
それにしても良いデザイン。弥生土器や古代ギリシア、クラシカルな欧州を彷彿とするお椀がずらりと並んでいる。
アカシアの木の実物はもちろんサバンナに訪れたことは今のところまだないので、どんな感じかはテレビ画面越しに見たイメージに依拠しており、加工したらこういう見た目になるというのは驚きでもあった。
(どれにしようかな。)
買うことにした。何気に食器を買うのは初めて。価格の幅は広く、僕のバイトでの収入を考慮すると500円くらいのが良さそう。
使いやすさや食べ物がたくさん入りそうなものを探した結果、350円のお椀にした。
買うものが増えてきたので、カゴに商品を入れ次はどこかを見に行こうかとそわそわしてるとレトルト食品の売り場があった。
次回へ続く。
機材代に使います