
百合樹 第一章いつだっていつだって始まりは ① 起床
第一章
いつだっていつだって始まりは
気づけば目に止まる、性分のせいだろうか。
いや、もうすでに鳴り始めているのだが、当人が気づいていないだけのこと。
それは、往々にして、日常の中に起こりうるのである。
起床
耳元で響くラッパの爆音、生き急ぐ叫び声を片手で止めて、今日も私の世界は目を覚ました。
顔を洗い、席につく頃には、朝ごはんが用意されている。
父は、音楽の鳴り響く忙しないリビングで
『お前ら元気だな』
と小言を言いながら家を出て行く。
私は、なんだかんだと支度を進め、部屋の電気を全て消して家を出る。
うちの朝は早いのだ。