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"お嬢様学校”私立ファイトバック女学園

「ごきげんよう」

 転校生の楓が校門を潜ると、お嬢様がチェーンソーで襲いかかってきた。

 すんでのところでかわし、相手の顎に拳を入れる。
 お嬢様はチェーンソーを持ったまま倒れた。

「ごきげんよう」「ごきげんよう」「ごきげんよう」

 続け様にお嬢様たち。
 それぞれの手には日本刀、鎖鎌、ピストル。
 冷静に考えればアウトだが、ファイトバック女学園の門を潜ってしまえば地外法権。
 ちなみに先ほどから、お嬢様たちが発している「ごきげんよう」とは、「お前をぶっ殺せるから私は機嫌が良い」という意味だ。

 日本刀お嬢様が斬りかかる。
 楓は前髪を数本失いながらも反転回避。そのまま刀を踏みつけて折り、さらに肘打ちにより相手の肋骨を折った。
 発砲音が聞こえた。
 ピストルお嬢様が放った弾丸、横っ飛び回避。
 弾丸は鎖鎌お嬢様の膝に当たった。

「ですわ!」
 
 ピストルお嬢様の掛け声とともに、さらに放たれる弾。
「ですわ」とは漢字で「死輪デスワ」と書く。
 すなわち、「お前は死の輪廻からは逃れられない」という殺し文句だ。

 しかし楓は倒れた鎖鎌お嬢様の鎖鎌を奪い、回しながら弾丸を弾く、弾く、弾く。
 そして鎖を投げつけ銃に巻きつけるとグッと引っ張り、エモノを奪った。
 ピストルお嬢様の眉間に引き金を引いた。
 弾切れ。それでも相手は泡を吹いて失神した。

 早くもお嬢様を4人倒した楓。
 しかし、これはまだ彼女にとって目的を果たすための序章。
 首にかかったブローチを開く。
 中には写真。幼き日の楓。そして、その隣で微笑む黒髪の少女。

「待ってて凛子。必ず貴女をこの学園から救い出してみせる」

 固い決意とともに楓は、校舎へと歩き始めた。

 ※

 その様子を屋上から眺めている少女がいた。
 腕には最高権力者の証である「生徒会長」の腕章。
 後方に部下お嬢様多数。

 妖しく微笑む顔には、先ほど楓と一緒に写真に映っていた黒髪少女の面影があった。


【続く】

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