京都紀行 ~北野天満宮~
大鳥居をくぐると梅花の芳香が私の身体中にまとった。金曜日のライトアップに偶然訪れられるとは、なんとも幸運である。梅苑チケットは800円、お茶菓子と梅昆布茶がついてくる。梅をみながら粉末の梅昆布茶を自分好みに溶解し飲むとは、なんとも現代風流。日が落ちるにつれてとてつもない角度に傾く大木の濃いシルエットに圧倒される。空はいずれこの色に侵略されて行く。太陽が存在を薄めていくのに反比例して、梅の木々に吊るされたガラス玉のろうそく火がその存在を強めていく。照らされる飛び梅たちはまるで地上の星空である。