エスカレートする快楽~星新一「暑さ」

星新一のショートショート「暑さ」に触れてみる。といっても、ショートショートについてストーリーを書くのは野暮というか、反則だとわかってるので。暑さを別の快楽でまぎらわそうとした男が、最後に行き着く悲劇、というものが、シャープな筆致でコンパクトに描かれている、とだけ、説明しておきます。
エスカレートする快楽の怖さについて、教えてくれたのは今は亡き青山(正明)さん。少しだけ年上の、似たフィールドにいる友人として、尊敬してたし、今も尊敬してる。あの頃、資質的には一番似てると思ってたし。だからこそ、自分は自殺しないよう、用心してきたつもりだ。彼については、いずれ書くつもり。
それでは、みなさん、少しでも涼しい夜を。前出のショートショートをお持ちの方は、読んで背筋をゾクッとさせるのも、一興です。変な汗が流れることになるかも、ですが……

(初出「痩せ姫の光と影」2010年8月)


実践的ガイドブック「危ない薬」などで知られる青山正明については、この9年後「平成の死」のなかでもとりあげた。ナンシー関について書いたあと、彼とねこぢる、山田花子の3人をひとくくりにして、その自殺について語った数頁だ。人の寿命は決まってるものなので、こんなことを言っても仕方ないが、もうちょっと一緒に仕事をしたかったし「痩せ姫本」の感想を聞きたかったひとりでもある。


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