「悲しみよりもそばにいる」島崎路子

「悲しみよりもそばにいる」(島崎路子・88年)
マイナーな曲で、すみません。昔、共編著として関わった、80年代アイドルポップス名盤レビュー集(91年)に、この、ほとんど売れなかったシングルをかなり強引に入れた。
で、バブル期の浮ついた日本にあって「恋愛の純粋性を真剣に希求した作品」として、映画「星空のむこうの国」(小中和哉)とか、漫画「ONE 愛になりたい」(宮川匡代)と並べて論じてる。サウンド的には、全盛期の原田知世や晩年の岡田有希子なんだけども、とりあえず、タイトルだけで、何かを感じてくれる人がいたらいいな。
悲しみよりもそばにいる。あなたを悲しませるすべてのものよりも、あなたのそばにいて悲しみから守ってあげたい。恋愛に限らず、大切な人を想う気持ちの基本は、こういうことなんだろうと思うから。
レビューの最後を、こう結んだ。
「未聴の人はぜひ聴いてほしい。特に、あなたが今、悲しみよりもそばにいたいと願う人がいるのなら!」
なんのことはない、自分が当時好きだった女の子のことを、想いながら、書いただけのことだけど。
リアルの世界で、最初に好きになった痩せ姫でもある彼女。知り合ったきっかけは、彼女が子供時代に童話を書いて、失敗しちゃった微笑ましい思い出を、雑誌の読者を対象にした取材で、聞いたことだった。
幸せでいてくれるといいな。

(初出「痩せ姫の光と影」2010年9月)


記事に出てくる痩せ姫については本格的に語ったことがないけど、けっこう影響を受けたというか、学習させてもらった。その魅力的な精神性、かつ、関係構築の難しさとか。そういえば、前記事で紹介したミスチルの「Over」に「失敗」という言葉が効果的に使われてる。失敗から学べることって、やっぱり多くて、意義も深い。

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