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月と痩せ姫、ダイアナ妃

竹久夢二ほど有名ではないけれど、同じ「抒情画」の名手として、人気を博した蕗谷虹児。戦時中には、国家当局からこんな抑圧も受けたという。
「この産めよ殖やせよの時代に、子どもも産めそうにない虹児の柳腰の女の絵はよろしくない。もっと尻の大きい丈夫そうな女を描かせろ」
ちなみに、虹児の絵には、29歳で死んだ母の面影が投影されているとされ、彼女は「細面の背のすらりとした代表的な越後美人」だったらしい。
「♪きんらんどんすの帯しめながら」で始まる童謡「花嫁人形」の作詞でも知られ、そこにも、幼くして妻となった母への想いが託されているとか。

そういえば、英国のウィリアム王子が婚約しましたね。相手は母のダイアナ妃とそんなに似てないと思うけど、母の形見の指環を婚約指環にしたというあたり、彼の心にも若くして死んだ母が生き続けているのだろう。
上の画像は、虹児作品のなかでも好きなもの(載せられるサイズの関係で、下の部分を少しカットしてトリミングしました)。
「月と痩せ姫」とでも呼びたい構図に、強く惹かれる。そういえば「ダイアナ(Diana)」という名前、ローマ神話の「ディアナ」に由来していて、それって「月の女神」「処女性の守護神」なのだそうだ。


(初出「痩せ姫の光と影」2010年11月)

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