「不自然な君が好き」C‐C‐B
1986年9月に、オリコンで2位まで行った「不自然な君が好き」(C‐C‐B)。サウンド的には、筒美京平によって世に出たこのグループが、その薫陶を、いい形で消化してる(作曲はメンバーの関口誠人)ところが、魅力のひとつなのだけど、ここで褒めたいのは、松本隆の詞だ。
♪ぼくのことなんか 映らないポーズして 口笛吹いて 気をひくのさ
♪別に嫌いなら 帰ってもいいよ ぎこちない靴で ついてくる君
♪サガンの小説の 少女のように 気難しい顔が 素敵だね
要はツンデレソングなんだけど、その象徴として、サガンを持ってくるあたりが、いかにも松本というべきか。フランスつながりでいえば、彼が理想の女性像に、コクトーの小説「恐るべき子供たち」のエリザベートを挙げ、松田聖子にそのイメージを仮託していたように、松本と聖子のコラボには、フランス風のツンデレなものが少なくない。
話を戻すと、ギャップ萌え=違和感のエロスというものを、この「不自然な君が好き」という歌は、タイトルも中身も、秀逸に表現してるわけだ。
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このグループではいちばん好きな歌。ただ、わりと埋もれてしまってるかもしれない。中山美穂が急死した際、出世作の「Romanticが止まらない」がけっこう流れたが、思えばあの「毎度おさわがせします」というドラマは彼女と木村一八、そしてC‐C‐Bをスターにしたんだな。このグループも5人中ふたりがすでに亡くなっている。