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負荷掛かりまくりの日常会話の妙〜ドラマ「ブラッシュアップライフ」の魅力
ビックリ!
2023年になって全く記事を書いてませんでしたね。コレが今年初の記事。失礼しました。
それはさて置き。
昔から個人的な感触として、テレビドラマは春夏期より秋冬期の方が面白い作品が多い説。
それを立証するように、年明けからの今季は良い作品が幾つも有ります。
今、レギュラーで視聴してるのが「罠の戦争」と「星降る夜に」そして「ブラッシュアップライフ」です。
特に日テレ日曜夜の「ブラッシュアップライフ」は群を抜いてオモロい。
ここ数年の日テレのドラマは『アホに見せたる』系の詰まらん作風が多かったのに、この作品は全く違うクオリティを見せています。
第一話冒頭から掴まれました。
木南晴夏、夏帆、安藤サクラの仲良し三人組の他愛無い日常会話だけでカフェ、カラオケルーム、コンビニ前での会話のみで繋ぎ、主人公が交通事故で突然命を失う(1回目)。
なんなんだ?!コレは?
後で判明しますが、肩の力が抜けた雑談ながら、この先に繋がるネタが恐ろしい数埋め込まれていました。
それにも増して、ホンマにオフショットのようにズッと三人の女優さんたちがプライベートから仲良しか?と思わせられました。
コレ、芝居のチカラが無いと出来ない高度な演技ですよね。
以前見た映画「幕が上がる」のメイキング・ドキュメンタリー「幕が上がる その前に」で、撮影前にももクロのメンバー5人(2014年当時)が劇団「青年団」稽古場で平田オリザ氏直々に舞台演技の基礎から叩き込まれたワークショップを思い出しました。
それは負荷。
日々生きる人々が発する言葉というのは、その台詞(喋る事)に意識をする。。。のではなく、常に『何かをしながら』自然に発するという事です。
歩きながら。
すれ違う知人と挨拶しながら。
景色をチラチラ眺めながら。
途中に時計で時間を確かめながら。
物を手に取りながら。
食べながら。
それが、台詞へ掛ける負荷。
負荷が多ければ多いほど、その演技がリアルに見えてくる。。。という平田さんが考える芝居の基礎でした。
「ブラッシュアップライフ」第一話冒頭20数分には、その『負荷』がたんまり乗せられているだけでなく、無理にチカラを入れない自然な肩の力が抜けた会話がてんこ盛りでした。
その後、色んなキャストの人たちが登場しますが、仲良し3人組のそれは群を抜いています。
最新話、主人公の部屋に突然訪れてひと晩過ごす場面でもそれは活かされていました。
3人の女優さんの凄さを思い知らされます。
そして、ソレを効果的に魅せる大きな要素がバカリズムの脚本です。
ストーリーの展開の面白さ以上に凄いのが、細かい日常会話の台詞回し。スジに関係ない日常会話が無茶苦茶細かい!
視聴者を「それ、あるある」と思わせる会話の展開の自然さ。今まで見たドラマの中で、アレだけ無駄な言葉数は無かったです。いや、でも人というのは普段からそういう「無駄な言葉」の山で溢れていて、その積み重ねの中にメインの大事な台詞があちこちに置かれるモノです。
いや、普通の役者ならその無駄な言葉の一つ一つが邪魔になり、何を言いたいのか?分からなくなりますが、この作品にはソレが無い。
きっとバカリズム氏と演出チーム、役者陣がしっかり打ち合わせを重ねて表現出来ているから成功してるのでしょう。
あのフリップ芸でも笑える、細かい所を突くセンスが最大限活かされていると感じます。
視聴者を懐かしく思わせ、もしかしたら自分も死んだら人生を繰り返せるかも?と思わせる、展開の妙と細かい台詞回しの妙に、毎週目が離せません。
ただ。。。
鉄道ファンとしては、
あちこちで出てくる電車が残念で。
その時代にその車両は無いよ。
と。苦笑。
仕方無いんですけどね。
実家の俯瞰カットでカーポートに止まっているクルマが、時代によって細かく変わっているのを見るにつけ、残念ではありました。
いや、でも、今季最も面白い作品である事は確かです。果たして主人公は、人間としての来世を迎えられるのか?それとも素敵な(人間以外の)生き物として生まれ変われるのか?
それとも長生きする事になるのか?
結末が気になります。