見出し画像

お題「無し」

暑い~。


あほになる~。


何も考えられへん~。

アイスコーヒー飲もう…


さてと…。
今回もラジオのお話。

そう。タイトルの「お題『無し』」というのは、この記事にテーマが無いという訳ではなく、この記事のテーマが「お題『無し』」ということです。

お題。つまりテーマ。

まあ、全国各地のラジオ生ワイド、
だいたい何処でもオープニングで言いますわな。

「では、今日のメッセージテーマに参りましょう。今日のテーマは…
(以下リバーブ掛けて)”この夏、体験してみたいことー!”」

あれですわ。

設定しないと罰金でも取られるみたいに、どこもかしこも、
メッセージテーマを設けますな。

なんで?(苦笑)

別に罰金取られませんけど(笑)。

■メッセージテーマの意味とは?

簡単ですね。リスナーがメールを送ってきやすいように。
いや、それ以上に重要な事が有ります。

それは、DJが馬鹿だから(笑)。

いや、言い過ぎました。でも、当たらずとも…ですよ。
メッセージテーマをリスナーに提示して、それに沿って
リスナーがメールを送ってくれます。そうすると同じようなメールが沢山集まります。同じようなメールの山の中でも、キラリと光るメールは目立ちます。放送作家は選びやすい!そして、DJは、テーマが設定されていれば、そこを軸にして、自分がトークする内容を構築しやすいですね。メールへのリアクションも取りやすいですね。
ディレクターも選曲しやすいですね。語呂合わせであっても。
もちろん、リスナーは”お題”があるので書きやすいですね。
うぃんうぃんうぃんうぃんですね。(電動なんちゃらみたいですね(笑))

つまり、みんなが楽なんですね。

■馬鹿になる

でも、本当にそれでいいのか?
おっちゃんは、そう思うんですね。

ちなみに、閉局まで担当していた番組の場合、基本、メッセージテーマは提示しませんでしたよ。(水曜のみ、お寿司券のプレゼントがあるので、メールの枚数を稼ぐ為に設定しましたが…)
それでも、結構な数のメールが届きました。

月曜の放送前には、前の週末あったサッカーの試合への感想や意見がたくさん届いていました。放送が始まれば、10時台のお掃除・洗濯のコーナーへのリアクション。11時台の特集への反応。12時台の豆知識について。
火曜なら、リフォームについての相談。水曜は保険についての質問。
木曜は紹介グッズ関連。金曜は佐渡について。
そして、フリートークで触れた小ネタへの反応。
さらに、お誕生日の「おめでとう」を言って欲しい人からのメール。
番組で告知してほしい自主イベントの情報。
アーティストゲストへのメッセージ。
そういう反応系以外にも、「今朝、うちの庭にこんな花が咲きました」とか「昨日帰宅したら、こんな事がありました」という、いわゆる「ふつおた」もコンスタントに届きました。

しっかり番組内容を作っていたら、そりゃ何らかの感想を持つはずですし、DJが読んでくれたら嬉しいから、自主的に色々考えて書いてくれます。

東名阪、大都市圏だとなかなか難しいとは思います。大量に届く中から、絞り込んで数枚ピックアップするので精一杯かも知れません。いや、雑多なメールから読む物を厳選するには、ディレクターも放送作家さんも過酷です。
なのでテーマが必要なのでしょう。

しかし、リスナーは馬鹿になります。
毎回オープニングで提示されるテーマを待たないとメールが書けなくなります。テーマに沿ってさえすれば、書きやすくなります。でも、自らの想い、考えをゼロから生み出す機会が減れば、その能力は廃れます。

同様に作り手も、テーマトークに慣れると麻痺して、しっかりメール内容を吟味して採用する能力が廃れます。

■テーマを有効に使う場合も

ボロクソに言っていますが、自身、制作した番組には
毎日テーマを提示してメールを送ってもらったモノが有ります(笑)。

「おいこらー!」と怒鳴られそうですが(苦笑)。

それはお昼12時~55分間のみの生放送でした。
短時間ゆえ、リスナーとのツーウェイは、なかなか大変です。
番組内容のリアクションを送ってもらっても翌日しか紹介出来ません。
どうすれば交流できるか?そこでお題を設定し、どんどん送ってもらい、番組後半イッキに紹介する…という事にした訳です。

普通のテーマでは詰まらないので「チャレンジしてみたい事」ではなく「ヤッテミーナワカラーンテー(イタリア人風に読む)」という風に、より遊び気分を高める工夫をしました。

その代わり、過酷な条件を設けました。それは…
中身を紹介できなくても”全ての名前を読む”!!ということ。
DJさんが早口上手だったのを逆手に取りましたが、リスナーにとれば
OAで名前だけでも読まれれば嬉しいですし、作り手としても、
リスナーさんの出欠を取るみたいなもの。毎日読めば「最近あの人、送って来ないね~」なんて感じでラジオネームを覚えます。
いつしか「ねったー」(番組名を取って付いた)という言葉も生まれ、作り手と聞き手がファミリーのように一体になれました。たまにあった公開生放送の際は、同窓会か何か?のような盛り上がり。スタジオを無視して(笑)リスナーどうしで盛り上がる姿もよく見ました。

■みんなで賢くなろう

今紹介したのは特殊な例として…

特に地方の県域FM局の場合、老舗AM局よりもリスナーが付きにくい…という事もあって、テーマを設けてメールの数を少しでも稼ごうとします。
でも、本当に尽力すべきは「どんなテーマにしたらメールが沢山来るか」を考えるよりも、どんな内容にすれば積極的に聞いてくれて、反応を送ってきてくれるか?を考える事です。

今、radikoの普及で、地方局といえども 相手は「全国」です。

PORTでも、時々エリア外からメールが届きました。
嬉しかったのは「新潟に縁はないですが、色んな局を聞いていて、ふと耳が止まりました」というメッセージ。
以前担当していた日曜午前の生ワイドでは「どこを探しても、日曜の朝から心地よい生放送をやってるところって少ないんですよね」という声も。

工夫して面白い放送をしていれば、どこかで聞いてくれています。

テーマから外れますが…自身は、常に「全国どこで聞いてもらっても面白い内容」を目指して制作していました。選曲しかり、特集内容しかり。
(この辺は、また別の機会に…)

今やネット時代、私がADだった30年ほど前に比べれば、楽に色んな情報を入手、取材出来ます。是非、工夫して、全国に通用する番組を作って、テーマを設けずともメールが届く努力をしましょう。
全員のラジオネームを読まずとも、厳選した紹介メールでも、
心を込めて読み、心を込めてリアクションしてあげれば、ボツになったリスナーさえも幸せになれる放送になるでしょう。

送り手も受け手も頭を使い、お互いに賢くなって、面白いラジオを作ろうではありませんかっ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?