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ファンフラに見るラジオのカタチ

閉局以来、金曜も空いたので…ずっと気になっていた番組を毎週聞いていまして…NACK5の「Funky Friday」です。

御大、小林克也氏が9時間1人でやっている!という毎週金曜の長時間生ワイドプログラム。1993年10月開始なので、もう27年。79歳ですって。すごいですね、ミッキー(笑)。

以前UPした記事でも一度触れました。

この記事でも触れましたが、以前は、長時間生ワイドが何本も有りましたが、今やこの番組くらいになりました。朝から夕方まで、何か仕事したり、出かけたりしても、帰宅してもまだ放送している!という、つまりは…1日の暮らしに寄り添うのが長時間生ワイドの魅力です。
各局目玉にしている朝の生ワイドというのはお出かけ前の忙しい時間帯に「時計がわり」に聞いてもらうというのが大抵コンセプトになっていますが、長時間生ワイドは、その真逆。いつまで経っても同じ番組(笑)。ボーっと聞いてて、いつの間にか1日経っている!ということです。

特にファンフラの場合、特徴的なのが1つのゾーンが緩いこと。
普通1つの企画コーナーなら、30分とか1時間とか、区切るものですが、そういうハッキリした区切りが無いので、いつの間にか次のゾーンに移ってたりします。交通情報もニュースも、ゾーン内にサラッと挿入。さらには、ギンザ・カンカンクイズとかミッキーのコーナーみたいな遊び枠も、サラッとゾーン内に入ってきます。それが終われば、再びゾーンの企画に戻ってたり…。そうやって、いつの間にか9時間目。リスナーへ出したお題についてのアンサーを延々読み続けます。そして、サラッとエンディング。

その意図を聞いてみたいところですが…
70年代からラジオを続け、一方でTVや音楽(ナンバーワンバンド)や映画、色々経験してきた克也さんだからこそ、コンパクトなパッケージじゃないラジオの生ワイドの特性を活かしたかったのかな?とも思います。それは、このNoteで何度も触れている”ラジオはながら””ラジオはパーソナル”と言う部分。無理にアレコレ仕込んで送り出しても全てを吸収してくれる訳では無いし、ラフな構成でラフな雰囲気でやる方が肩の力を抜いて1日聞いてもらえる…と。1対1、リスナーに身近であり、リスナーの暮らしに寄り添ったメディアだということ。ランチタイムのメッセージリクエストの枠なんて、完全に個人から個人のメッセージを曲に乗せて贈る訳だけど、それを丁寧に1曲ずつ流す。最近のラジオには余り無いスタイルかも。

もう1つ…気付いた事。それは、リスナーへの不親切。
具体的に言えば…オープニングでも、番組内でも全くコーナーの説明というのをしていません。
大抵の番組だと、オープニングのフリートークの後「では本日のメニューをご紹介しましょう」なんていうのが入ります。この番組は…無い。
自分も、以前やっていた番組ではオープニングのメニュー紹介をしていませんでした。「だって、毎日聞いてくれてる人は”あの時間にアレがあるから聞こう”なんて思わないから、要らないんだよ」と押し切っていましたっけ。
多分、克也さんも同じじゃないかな。
毎週聞いてる人は、ダラーっと1日聞いてる訳だし、どの枠で何しても、そこを目指して合わす訳じゃない。と。実際、リスナー参加コーナーも、9時間目を除いて時間固定じゃなく9時間の中、あちこちに散らされています。交通情報に併せて紹介される川柳なんか、どこで読まれるか分かりません。
特にゲストトークが有る訳でもない。目玉特集がある訳でもない。
だから不要なんだ。と。

まあメニュー紹介は無くても、このコーナーはどんな内容か?という説明くらいは普通入れるもんですが、それも無い。いきなりカンカン言って電話掛けてっていうし、突然ミッキーだよーっていうし。突然ストーリーを朗読し始めるし。突然拍手し始めるし。何週か聞いている内に学習しましたよ。

こういうのは、新規リスナー獲得しにくいスタイルのように思えますが…逆に「なんだこれは?」と深みにハマり出すと「今週も聞こう」とチューニングを合わせる…そんな”またたび”のような効果を出しています。
また、毎週聞いている人には、すんなり中身へ入っていくので快適ですね。
毎回コーナー頭で説明をして呼び込みを繰り返す…となれば、それだけで1分~1分半は食いますから。

ある意味、リスナーを信頼している…と言えるかも知れません。

作り手”お決まり”のパターンが一切無いという意味で新鮮な出会いでした。

今週は首都圏ではスペシャルウイークという名のレーティング週ですが…それさえも知ってか知らずか(知ってるに決まってる)いつも通りの内容で、派手な企画は一切無く、今も放送が続いています。(午後1時半時点)

週1の長時間生ワイドであり、特にパブリシティもレポート中継もなく、スペシャルウイークでも特別感も無い…まさに稀有な番組です。

勉強になります。

あ、そういえば…
克也さんといえば「ベストヒットUSA」。洋楽の人ですが、この番組では、そんな部分も全く無し。カウントダウンは国内物だし、懐メロや演歌まで流れてきます。元々、音楽ジャンルの括りも無い。
つかみどころ無いなあ…。

ラジオ界のウナギですな。にょろにょろ。

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