「演奏不安研究の現状と展望」という論文の紹介
吉江路子氏の「演奏不安研究の現状と展望」『感情心理学研究』31‐1:28‐40 の内容を紹介します。
本論文の冒頭に、プロ・アマ演奏家の65%が、演奏時に不安を抱いている結果だったとあります。不安を抱かずに演奏される人の方が少ないんですね。
演奏時の不安は、心理面のみならず、生理面、行動面にも影響を及ぼすそうです。例えば、生理面だと、心拍数とか発汗の増加、行動面だと、筋緊張や手足の震えなど、だそうです。思い当たります。
主観的不安と心拍数の増加にともなって、演奏不安が生じていることが明らかにされています。また、それにともなって筋活動レベルの上昇も確認されています。
また、筋活動レベルの上昇の演奏に対する影響としては、音量の増加が挙げられています。つまり、繊細な音の表現が難しくなる、ということですね。ああ…確かに、です。
さらに、心理的ストレスにおける筋活動の変化は、発揮力や運動速度にも影響を与えているとされています。私の場合は、早くなりますね…。たしかに。
また、ジストニアにも影響するのではと思われる知見として、演奏不安は、筋活動レベルだけでなく。筋活動パタンにも影響を与えるそうです。つまり、主働筋と拮抗筋の収縮時の交互収縮パタンが乱れることがわかってきているそうです。なるほど。
現状、演奏不安と関連する筋活動や演奏動作の変容を検討した研究がごくわずかだとのことで、今後の研究の発展が期待されています。ジストニアの発現にも大きく影響をしていそうですね。ジストニアとの関連からも研究が進むとよいですね。