マガジンのカバー画像

認知症・高齢期の人が「よりよく生きる」ための支援

22
作業療法の視点を多くの人に知っていただき、活用していただくことを目的としたマガジンです。作業療法は「作業遂行」が様々な要因で障害されてしまった人へ、「作業遂行」を取り戻すべく支援…
運営しているクリエイター

#作業療法

認知症の人へ「人間作業モデル」という理論を用いる

引用・参考文献: ・竹原敦2017「読んでいただきたい文献」MEDICAL REHABILITATION (206)88 ・竹原敦2017「【認知症予防とリハビリテーション 最前線】 作業療法モデルに基づく認知症の人がうまく生活するためのアプローチ 」MEDICAL REHABILITATION (206)1-8 ○人間作業モデル(MOHO)とは  作業療法の臨床モデルの1つであるが、model of human occupationを略してMOHOと呼ばれる。「人が生活す

認知症予防ー作業療法の観点からー

四條畷学園大学 令和元年6月の認知症施策推進大綱によると、国は、認知症の人に対して「共生」と「予防」を両輪として対策を進めるとしています。具体的には下記のとおり。  認知症はだれもがなりうるものであり、家族や身近な人が認知症になることなどを含め、多くの人にとって身近なものとなっている 。 認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、 認知症の人や家族の視点を重視しながら、「 共生 」と「 予防 」 を車の両輪として施策を推進していく。

認知症の人へのリハビリテーション・作業療法(概要)

 認知症の人へのリハビリテーション・作業療法は、認知症の人の多角的な理解と方法から介入を行っていくので、その概略を以下に示します。  参考・引用文献:松下太2017「認知症の人へのリハビリテーションアプローチによる生活行為とQOLの改善ー作業療法を中心にー」森ノ宮医療大学紀要11:25-32 ○認知症の症状とリハビリ  認知症の症状を、中核症状と周辺症状に分けて捉える。中核症状はいわゆる脳の機能低下により生じるもので、見当識障害、思考・判断・遂行機能などがあげられる。周辺症

認知症の人が調理などで小集団を作るときの工夫点について

 認知症の方に集って頂いて、料理をしたり、という時に、どなたかは関心を示さなかったり、何が不快だったのか怒り出してしまったり…いろいろなことが想定されますよね  作業療法士は、作業活動を支援することが仕事で、集団を活かした作業療法を展開したりもします。今回は、作業遂行を支援する小集団づくりの際に熟練した作業療法士がどのような工夫をしているかご紹介します  参考にした文献は、西田征治他 2011 「認知症者に対する生産的作業の遂行を促進する支援技術に関する研究ー熟練作業療法

認知症の人と家族の共作業支援尺度

 「共作業」とは、2人以上が互いが主体となって相互作用しながら行う作業のことだが、認知症の人が在宅で生活する場合、家族が介護をする主体となることが多く、その負担感は認知症の人の在宅生活を左右する重要な要素となるため、介護を「共作業」と捉えることで、良好な相互作用となるための作業的課題を、認知症の人、家族、環境の接点から把握でき、介入による改善の可能性が向上するように思った。  共作業支援尺度は、①これまでどのような作業を一緒に行ったか、②過去1か月に行った作業の遂行状況につ

「楽しさ」についての評価法

 「高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法」を紹介します。作業療法士により開発されたもので、1で、これまでやってきた余暇活動のなかで、今後もやってみたい一番興味ある、一番楽しい・好きな活動をあげてもらいます。2では、その活動に対してどのように楽しんでいるか、19項目について4件法(とてもそう思う、ややそう思う、ややそう思わない、とてもそう思わない)から選んでもらいます。19の質問は、次のような質問です。この余暇活動は思い出すだけでも楽しい、この余暇活動は、人と話しながら行うのが楽し